142話 胸を張って
「あ、あー……というわけでfelizさんの最終ステージは終了となります!」
MCの人が困惑しながら宣言した。そりゃ困惑するわな。本当にごめん。
薫が百合営業のことをぶっちゃけた時、当然のようにこの東京アイドル武道館の雰囲気は悪くなったけど、今は不思議と温かい空気が流れている。
薫はマイクの音量が自動で切られていることを確認すると、ずけずけと歩いてMCからマイクを奪い取ってしまった。やることが早い!
「皆さまを放置して勝手に盛り上がってしまい、申し訳ありません。でもこれが私たちの答えです。謝罪もします、感謝もします。ただ今日のことは分かりません。それは皆さまにお任せするほかありませんから。では」
さらに困惑を深めたMCさんにマイクを返して、薫は満足げにこちらへ帰ってきた。本当、むちゃくちゃするなぁ……。
私たちは一度控え室まで戻る。ここから30分間、国民投票が行われるからだ。
「あんったら! 何しとんの!!!」
「「すんません」」
当然のようにマネージャーから大目玉をくらった。色々百合営業のために準備していてくれたみたいだけど、全部水の泡になったな。
「まぁ……いいわ。とりあえずあなた達が結ばれたこと、1番近くで見ていた私が祝福してあげる。おめでとう」
「ありがとう、マネージャー」
「あ、ありがとう」
私と薫は見つめあってクシャッと笑ってみせた。
そうこうしている間に30分が過ぎ、ICL決勝ラウンド結果発表の時間となった。
「さぁ、最下位だろうとなんだろうと胸を張ってきなさい!」
「おう!」
「うん!」
私たちは再びステージへと向かう。
途中、トップアイドルたちからの視線が痛いほど浴びせられた。こわいこわい。
そんなトップアイドルたちと一斉にステージの上に並び、結果発表を待つ。
「さぁ……皆さん、心の準備はできているでしょうか。ICL決勝ラウンド、結果発表のお時間です!」
MCさんの宣言とともに、私たちのICLの結果が発表される。
私たちの心の準備なんてとうに終わっていた。
次回、最終回です。




