クエスト開始
まさか自分にこんな役割が回ってくるなんて、欠片も思ってなかった。
緊急クエスト自体はもう始まってるとはいえ、正直どうすればいいのか分からない。
だけど、これを成功させないとタウンクエストの成功が困難になるって話だ。
集落までのマップデータを受け取ったとも表示されたから、これはもうやるしかないのか?
「おい、どうしたトーマ。何があった」
「えっ? あっ」
セツナに声を掛けられて、急な展開に困惑していた頭がハッとして我に返る。
「だいじょうぶ? ますたぁ」
「あっ、あぁ、大丈夫だ」
心配そうにこちらを覗き込むイクトにそう返したものの、内心まだ動揺している。
「何があった。ドゥームにリュウってのを連れてきてくれって言われてから、固まっちまってたようだが」
皆には緊急クエストの表示が見えてなかったのか?
とにかく俺一人じゃ判断が付かないから、説明しよう。
「そ、それが……」
頭を上げて不安そうにこっちを見るドゥームを横目に見つつ、セツナ達へ緊急クエストのことを伝えた。
すると誰もが驚き、ざわめきだした。
「これってひょっとすると、お助けキャラを呼びに行くクエストじゃない?」
「ひょっとしなくても、そうだって」
「前回は冒険者ギルドへの依頼だったけど、今回は料理ギルドへの依頼関係だったのか」
「だとすれば、他のタウンクエストのお助けキャラは別のギルドの依頼に関わるかも」
「どこのギルドの依頼に関わるか分からないから、誰にでもチャンスがあるってことね」
盛り上がってるところを悪いけど、俺はどうすればいいの?
「なにボサッとしてやがる、トーマ。さっさと行って、リュウってのを呼んでこい!」
いって! セツナ、背中強く叩き過ぎ。
「さっきのバリーってNPCの話だと、ここから3時間かかるんだろ? 早くしねぇと、失敗しちまうぞ!」
「分かってるよ。でも道中で死に戻った場合ってあるから、戦闘があるんだろ? 俺、戦えないぞ。イクト一人に任せるのは不安だし」
道中に何も起きないなら、今すぐにでも駆け出すよ。
でも注意書きのような箇所に、死に戻った場合の記載があるんだから、こういうゲームに詳しくない俺でも道中に戦闘があると予想できる。
開始前に発生してるから死霊魔法使いの妨害じゃなくて、町の外に出現するモンスターとの戦闘だろう。
でもダルク達から聞いた話だと、この辺りのモンスターのレベルは20台後半ぐらい。
俺は戦えないし、レベル19のイクト一人に任せて大丈夫なのか不安だ。
そもそも、イクトが俺を守りながらモンスターを倒せるよう、上手く立ち回れるかどうか。
「あー、それがあったか。アタシもリアルでの喧嘩ならともかく、ここでの戦いはからっきしだしな」
頭を掻くセツナから少々物騒な発言が出たのは、聞かなかったことにしよう。
「いくとががんばる!」
「うん、イクトには頑張ってもらうけど、イクト一人じゃ大変だろ?」
「たいへんでも、がんばる!」
両手を挙げて頑張ると宣言するイクトを説得しようとしたら、鼻息荒く再度頑張る宣言。
微笑ましくて弟可愛いけど、頑張ってどうにかならないこともあるんだぞ。
「おい、この中に戦える奴はいるか!」
「俺はやれるぞ」
おぉっ、エクステリオ。
そういえば、初めて会った時に戦闘もしてるって話してたな。
「だが最近は料理ばかりで戦闘をしてないし、装備も更新していない。ここには仲間にキャリーしてもらったから、今のレベルで通用するかも不安だ」
マジかー。キャリーの意味はよく分からないけど、天海も申し訳なさそうに首を横に振るし他の料理プレイヤー達も自信なさげだ。
よし、こうなったらダルク達を呼ぼう。
急いでメェナへメッセージを打って送信。
ところが返信内容は、望んでいたものとは違った。
『てんやわんやありつつも配置の割り振りが決まってる上に、もうすぐクエスト開始時間だから今になって抜けるのは無理。仮に抜けるために理由を説明したら、そっちに参加させろって騒がれて混乱が生じる可能性があるから、下手に動けない。悪いけど、緊急クエストはそっちでなんとかして』
なんてこった、一番の頼れる仲間達まで無理ときた。
「おい、どうした」
「戦闘職の仲間達も、今から抜けるのは無理だと言われた」
「マジかよ。どうすりゃいいんだ?」
頼んできたドゥームも、駄目なのかって表情になってる。
ああもう、こうなったら不安を承知でイクトとエクステリオに頑張ってもらうしかないか?
「ちょっといいか」
エクステリオにお願いしようとしたら、誰かの声がした。
そっちを見ると、大きな木製の盾と棍棒を持った赤巻布青巻布黄巻布、斧を持った彫りゴン、指の間にナイフを挟んで持つにゃーミー、そしてリュートとかいう楽器を持った奏がいた。
「話はそこの料理プレイヤーから聞いた。俺達がリュウって奴のところまで、彼の護衛をしようじゃないか」
そう言って彫りゴンは親指で自分を指した。
「アンデッド系が苦手だから、今回のタウンクエストの戦闘は役に立てないと思ってたけど、そういうことなら役に立てるわ」
「アンデッド系以外なら、問題無いよー!」
そういえば、奏とにゃーミーはアンデッド系が苦手だから後方支援をしているだけで、職業は後衛寄りだけど戦闘職じゃないか。
「トーマ、公式イベントの時の縁で協力させてくれ。どこまで戦えるかは分からないが、トーマや後衛の二人を守る壁ぐらいにはなれるつもりだ」
武器が木製なのは不安だけど、そう言い切る赤巻布青巻布黄巻布の姿は頼もしい。
「いいのか?」
「構わないから名乗り出たんだ。どうか俺達に任せてくれ」
そう告げる赤巻布青巻布黄巻布の後ろにいる三人も、こっちを見ながら頷いてくれた。
時間は無いし他に当ても無い以上は、この人達を信じるしかない。
幸い、知らない顔ぶれじゃないしな。
「分かった、頼む」
「よし、そうと決まれば出発だ。なにせ3時間も掛かるからな」
「いや、待ってくれ」
今度は誰かと思ったら、ローエンへの報告に行っていたバリーだ。
「さっき私が言った3時間というのは、遠回りになるが比較的安全な道を使った場合の話だ。モンスターが多い近道の方を使えば、上手くいけば1時間で行ける」
戦闘になる可能性が高くなる代わりに、大幅に時間を短縮できるショートカットがあるってことか。
おっ、今のがキーだったのか緊急クエスト用のマップデータが更新されて、ショートカットのルートが記載された。
「ただし、どれぐらい時間を短縮できるかは君達の強さと運次第だ。モンスターと多く遭遇して戦闘に時間を取られれば、その分時間を食うぞ」
そこは自分達の強さと運次第ってわけか。
自信が無ければ時間が掛かっても遠回りして、自信が有るなら近道をするっていうことかな。
「どっちで行く?」
「ショートカットで大丈夫よ。私、祈祷スキルがあるからモンスターと遭遇しにくくできるわ」
「加えて私の職業スキルのミスディレクションを使えば、モンスターと遭遇してもの意識を逸らして気づかれにくくすることができるから、戦闘を回避できる確率を上げられるよ」
優しく微笑む奏と目元で横向きのブイサインをするにゃーミーが頼もしい。
さすがは戦闘職。状況に応じて戦闘を回避するため、その術を持ち合わせていたか。
「いざとなれば俺達が戦ってる隙にトーマとイクトだけでも、集落へ行け」
「ここは任せて先に行け、ってな」
赤巻布青巻布黄巻布と彫りゴンもかっこつけてそう言ってるけど、二人の場合はその台詞を言ってみたいだけって感じがする。
とはいえ、戦ってくれる以上は感謝しないとな。
「分かった。よろしく頼む」
「よろしくおねがいします!」
おぉっ、ちゃんとお辞儀してお願いできて偉いじゃないかイクト。
「キィィィィタァァァァァッ!」
「イクト君からお願いされちゃった。やだもうお姉さん、勇気もやる気も気合いも百倍よ!」
イクトがお願いするとにゃーミーが両腕を突き上げて叫び、奏は赤く染まった頬に両手を当ててキャーキャー言いだした。
反応が過剰な気はするけど、二人が早くもイクトの可愛らしさにやられたのはよく分かった。
「このクエストに成功したら、後日お礼に何か作ってご馳走するよ」
「マジかっ! よしっ、やるぞ!」
「おう! 今のを聞いて気合いが入らないはずがねぇっ!」
急にやる気が増した赤巻布青巻布黄巻布と彫りゴンの気合いが凄い。
前にやった公式イベントお疲れさま会で、赤巻布青巻布黄巻布とその仲間達が料理プレイヤー作の料理をやたら喜んでいたからお礼に良いと思ったけど、想像以上の反応だ。
料理プレイヤー達の奮闘でゲーム内の食事情はだいぶ改善されたとはいえ、まだ美味い物に飢えてるのかな。
「そうと決まればさっさと行け。こっちの飯はアタシらでなんとかすっからよ」
「分かった。行こう」
「はーい」
「「「「おぉーっ!」」」」
「よろしく頼む!」
改めて頭を下げたドゥームやセツナ達に背を向け、タウンクエスト開始3分前に緊急クエストへ出発。
アップデートされたマップデータを頼りに、集落がある山へ向けて駆け出す。
「少しでもモンスターとの戦闘を避けるため、このまま祈祷スキルを使うわね。祓いたまえ~、清めたまえ~」
えっ、それってカグラが祈祷スキルを使う時に言ってる台詞だよな。
しかも奏は装備を非表示にしてまで、胸の前で両手を擦り合わせてる。
ダルクが超必要とか言ってたけど、本当に必要なんだ。
てっきりカグラが遊び半分でやってるのかと思ってた。ごめん、カグラ。
「てぇいっ!」
その掛け声まで一緒なのかと、祈祷スキルの効果が現れた証の薄い光に体を包まれながら思う。
本当に疑っていてごめん、カグラ。
「じゃあ私も、職業スキルのミスディレクション、発動!」
おっ、今度はにゃーミーが奇術師の職業スキルを使うのか。
指を鳴らすと何十枚ものトランプが周囲に現れ、それが上に飛んで俺達の真上で旋回を始めた。
「これでしばらくの間、モンスターがこっちに気づいても上のトランプに気を取られて、私達に気づきにくくなったわ」
そっちへ視線を誘導して、俺達に気づきにくくするってことか。
でもどうして真上を旋回なんだ? 周囲を動き回った方がそれっぽいのに。
気になって尋ねると、β版では周囲を動き回ってたそうだけど、視界が悪いという意見が多数あって本サービスではこういう形に修正したそうだ。
言われてみれば、何十枚ものトランプが自分の周りを動き回ってたら視界が悪いか。
納得して頷いていたら、天海から向こうの状況を報せるメッセージが届いた。
向こうは現在、空中に黒いローブを纏ってフードで顔を隠した死霊魔法使いの巨大な幻影が現れ、かつての恨みや復讐がどうたらと述べて戦闘が開始されたらしい。
何かの役に立つかもしれないから、戦闘の様子が分かったら追って連絡するとある。
「どうした? 何かあったか?」
「料理プレイヤーの知り合いから一報だ。町の方で戦闘が始まった、様子が分かったら追って連絡するって」
「向こうの状況が分かるのは助かる。そいつには感謝だな」
同感だ。向こうの状況を知れるのは大きい。
おっと、そろそろショートカットルートだったかな。
確認のため表示させたマップデータによると、この先にある分かれ道を右に行って湿原を抜けると、集落のある山までショートカットできるようだ。
「次の分かれ道を右に行けば、ショートカットルートだ」
「分かった! モンスターが多くなれば戦闘になる確率も上がる、気をつけろ! 祈祷とミスディレクションの更新、忘れずにな!」
「「「了解!」」」
「はーい!」
赤巻布青巻布黄巻布の掛け声に、彫りゴン達とイクトが返事をして右の道を行く。
あっ、なんかデカいトカゲみたいなモンスターだ。
だけど何故か上の方を向いて首を傾げ、どこかへ行ってしまった。
なるほど、これがミスディレクションの効果か。
これならなんとかなりそうだから、どうか向こうも頑張ってくれ。
*****
遂に死霊魔法使いとの戦いが始まって、タウンクエスト開始になった。
巨大な幻影での恨みがどうだら復讐がどうたらっていう長い演説をした後、だいぶ離れた場所に黒い靄が現れて、そこから死霊魔法使いが登場。
真っ黒なローブを纏ってフードで顔を隠してるそいつが、「サモン・アンデッドヒューマン」って唱えたら黒くて巨大な魔法陣が展開されて、そこから数える気も失せるほどたくさんのアンデッド系のモンスターが溢れ出てきた。
事前に聞いていたスケルトンだけでなく、ゾンビもゴーストも入り混じって地面から現れる様子は、アンデッド系が大丈夫な僕でもちょっと引いたよ。
でもって、死霊魔法使いの指示で迫るアンデッド系のモンスターの群れに、ゾンビ映画でゾンビ達に迫られる登場人物達はこういう感覚なのかと思いつつ応戦。
だけどこれ、ちょっと運営を恨むよ?
「こいつら、なんで復活するのよ!」
文句を言いながら剣を持ったスケルトン、スケルトンウォーリアーの頭を蹴るメェナに同感だよ。
だってこいつら、どれだけ骨を砕いても、どれだけ切り刻んでも、どれだけ光魔法を浴びせても復活するんだもん。
まるで時間が巻き戻ったかのように元通りになる様子に、僕達もそうだけど周りも驚いてた。
幸いなのはたいして強くないのと、倒したら即復活するんじゃなくて復活するのに三十秒ぐらいかかるのと、復活した時のHPが全快じゃなくて六割ぐらいなことかな。
「無駄だ。私が到達した死霊魔法の真髄、エターナルアンデッドコントラクトで支配下に置いたアンデッドは、まさしく不死身。どんな倒され方をしようとも何度でも蘇り、我が手足となって貴様らを蹂躙する!」
分厚い壁のようにいるアンデッド軍団の、ずっと後方にいる死霊魔法使いの声にイラっとする。
そんなんありかっ! こんなの、どうやってクリアしろっていうのさ、運営の鬼!
いくら死霊魔法使いを倒せれば、アンデッドは全部倒さなくていいとはいえ、これだけの数に加えて無限復活なんて何考えてるのさ!
追加でアンデッドを出してくる様子が無いのは救いだけど、展開次第では増援だってありえるかも!
「だったらこのアンデッド共の壁を無理やりにでも突破して、あいつを倒せばいいんだろ!」
そう叫んだ攻略組のドライオンが盾を構え、群がるアンデッド達を吹っ飛ばしながら強引に突破を掛けた。
アンデッド達が復活するまで二十秒、加えてシールドバッシュで吹っ飛ばせば、前進する時間を稼げる。
復活するまでの時間を利用して、少しずつでも死霊魔法使いに接近して直接倒すのが、今回の攻略法っていうわけだね。
さすがはステ任せの力づくとはいえ、攻略組に名を連ねるだけのことはあるや。
「よし、ドライオンを援護だ! 続け!」
誰かの掛け声に応じて何人かがドライオンの後に続くけど、それ駄目じゃない?
ほら、ドライオンにやられて復活しかけのアンデッド達が、縦に伸びた隊列に殺到してるよ。
『うわあぁぁぁっ!』
「なにをやっておるんじゃ! フレイムレイン!」
悲鳴を上げる考え無し達を助けるため、ローエンの魔法で火球がアンデッドへ降り注いで倒した。
お陰でドライオンと考え無し達はなんともないけど、一人減ってるから倒される前に死に戻ったのかな。
「下手に突出するでない! 全体が徐々に前進し、戦線を押し上げて死霊魔法使いとの距離を詰めるのじゃ!」
『了解!』
ローエンの指示に兵士と自警団は返事をしたけど、プレイヤーで返事をしたのは少ないね。
それを象徴するかのように、活躍するため所々で突出しかけてる。
「どうしてこう、自分優先な人が多いのかしら」
職業スキルの舞踏で僕達の強化をしたら、寄ってきたゾンビの頭を鈍銀の扇で引っぱたくカグラに同意だよ。
「町の防衛を成功させるより、貢献度を稼ぐことしか頭に無いからだよ。ウォータースラッシュ」
魔法で水の刃を放ってゴーストを倒すセイリュウの言葉に納得。
町を防衛できなければ、いくら貢献度を稼いでも意味が無いのにどうして分からないかな。
「あーっ、もーっ! カタカタうーあー、うるさい!」
この苛立ちをぶつけるべく、骨をカタカタ鳴らすスケルトンと、うーあーって呻くゾンビを盾で払うように吹っ飛ばす。
そしてその分を前進して、ジリジリと死霊魔法使いとの距離を詰める。
「なかなか抵抗するな。ではこれでどうかな。サモン・アンデッドアニマル、サモン・アンデッドモンス」
さっきとは違う黒い魔法陣?
今度は何を、って! 人型じゃなくて、動物やモンスターのスケルトンやゾンビが魔法陣から湧き出てきた⁉
おまけに炎の幽霊みたいなモンスターや、画像でしか見たことがないレイスまで⁉
「おい待て冗談じゃねぇぞ、増援あるのかよ」
「あれも不死身なのか?」
「こうなったら、全員で一点突破して死霊魔法使いに辿り着くしかねぇよ!」
誰が言ってるか分からないけど、それが出来れば苦労は無いよ。
ああほら、迎撃されて逆に押し返されてる。
スケルトンの狼に噛みつかれてるわ、炎の幽霊に燃やされそうになってるわ、ゴブリンのゾンビに飛び掛かられてるわ、相当なもんだよ。
「ダルク!」
「うん!」
メェナの掛け声に反応してスケルトンの熊の一撃を受け止める。
「こんのぉっ!」
その隙にメェナが拳を連打を打ち込んでよろめかせ、蹴りで後方へノックバックさせる。
「シャインショット!」
「ウォータースラッシュ!」
隙だらけになった熊のスケルトンへ、セイリュウとカグラが魔法を浴びせて骨がバラバラになった。
でもバラバラになった途端、やっぱり復活しようとカタカタ動き出した。
「えぇい、だったら!」
一か八か、熊のスケルトンの骨をいくつか遠くへ蹴飛ばしてみる。
これで復活できなければラッキーだけど、そう甘くなかった。
骨は空中を飛んで集まっていき、やっぱり熊のスケルトンは復活した。
「遠くへ放しても駄目なの⁉」
これでも駄目ならどうすればいいのさ、砕いても復活するし、ドロップ品じゃないからアイテムボックスに入れて復活を阻止もできないし。
「いや、無駄ではないのじゃ! 今ので復活時間が遅れた!」
えっ? そうだったの?
復活するかしないかしか見てないから、気づかなかった。
アンデッドを迎撃しながら試しに同じことをしたら、復活までに三十八秒掛かった。
本当だったんだ、ローエンの指摘。
「倒したアンデッド、スケルトンとゾンビはバラバラに遠くへ飛ばせ! 復活を遅らせれば、死霊魔法使いとの距離を詰められる。勝機はあるのじゃ!」
『おぉー!』
無限復活と増援で下がりかけた士気が上がった。
これでなんとかできるかな?
「ふむ、ならばこうだ。アンデッドフォース」
また別の黒い魔法陣出したよ!
それのせいか、アンデッドの体が薄っすら黒い光に包まれて少しだけ強くなった!
「今度は強化だと⁉」
「前のゴーレムも相当きつかったけど、今回もキツイー!」
もう、ホントキツイよタウンクエスト。
トーマ、早くお助けキャラ呼んできてー!




