レベリング
補習を受けることになった早紀と健を教室に残し、バイトの面接へ向かう晋太郎を見送って帰宅。
客で賑わう店を手伝いつつ、能瀬がバイトの話を受けてくれたことを家族へ報告した。
「他の子達は駄目だったのか?」
「諸々の事情でな」
春巻きを包みながら父さんの質問に答える。
俺に対する能瀬の気持ちを分かっていて、理由を付けて譲った感があるのは否めないものの、事実無理そうなのがいたのは本当だ。
接客はお断りの晋太郎とか、塾がある長谷と桐生とか、何かやらかしそうなのと今日みたいに居残りをさせられそうな不安がある早紀と健とかな。
「こんなに早く見つかったんだから、それでいいだろう」
「だね。祖父ちゃん、春巻きの準備できたよ」
「おうよ」
父さんの発言を肯定しながら包み終わった春巻きを祖父ちゃんへ渡し、それを揚げる音を聞きつつ、父さんが取り掛かったチャーシュー麵に載せるチャーシューを切る。
「でもあの子で大丈夫ですか? 前に大将が、なにかとよく気づくから仕事がしやすそうだって言っていましたけど、小柄で体力的に不安というか……」
空いた皿とジョッキを運んできた瑞穂さんの不安は尤もだ。
確かに能瀬は体力面で不安が残る。
体育の長距離走では最後の方はヘロヘロのフラフラだし、バスケのように常に動き回るスポーツでも毎回汗だくでゼェハァ息を切らしているし、通っていた中学の隠れた名物の競歩大会では終了後に座り込んでぐったりしていた。
うん、体力的に心配だから、いざとなったら俺からフォローしてやろう。
「場合によっては俺がヘルプするよ」
「それもそうだな。頼んだぞ」
体力なんてそう簡単につくものじゃないし、慣れるまでは長い目で見た方がいい。
昔は俺だってそうだったんだからな。
「アタシは大丈夫だと思うよ。途中から斗真とゲームのために抜ければ、そこで休めるでしょう」
ああ、それもそうか。
土曜は昼と夜の営業の合間になるけど、夜営業の時は途中で抜けてUPOをするから、そこで休むことができる。
時間も大体二時間から三時間ぐらいだから、それくらいなら二人抜けていても大丈夫かな。
そう考えれば祖母ちゃんの言うように、なんとか――その時って俺の部屋からログインするのか?
……うん、あまり意識しないようにしよう。
「なんだ三代目、とうとう未来の若女将候補が花嫁修業に来るのか?」
「おぉっ、そりゃめでたいな。誰が来るんだ?」
「さっき言っていただろう。あのちっこい子だよ」
「あちゃー。てっきり早紀ちゃんだと思って賭けていたのによ」
「これでお前の奢りだな。ごっそさん」
おいこらそこの酔っぱらい共、何を賭けているんだ何を。
今日の代金を倍にするぞ、倍に。
そんな会話に常連やそうでない客達も笑う中、約束の時間が迫っていたから俺は厨房を抜け、自室からUPOへログインしてカイゴー島の拠点へ降り立つ。
「あら、来たのねトーマ君」
来ているのはカグラだけか。
セイリュウとメェナとポッコロとゆーららんは、まだ来ていないんだな。
「ますたぁ!」
「まーたー」
「マスター」
おっと、登場と同時にイクトが飛びついて来たから受け止めて片腕で抱き、脚へしがみついて来たネレアの頭を軽く撫でた後、姉的立場として少し我慢しているっぽいミコトを手招きで呼んで待たせたなと頭を撫でる。
あっ、いつも無表情なミコトの表情が少しほころんだ。
「あらあら、子供の面倒を見るのが堂に入ってきたわね」
「毎日のように接していれば、自然と慣れるって」
微笑むカグラに答えながらイクトを下ろす。
それから少ししてセイリュウとメェナが現れ、セイリュウから親にバイトの許可を貰ったことを伝えられ、俺からは体力的に不安視されていることを伝える。
頑張ると言われたものの、無理はしないでくれよ。
そうこうしているうちにポッコロとゆーららんがログインしてきて、ポッコロのログインに伴ってころころ丸も現れた。
「こんばんは」
「あれ? ダルクお姉さんは?」
「テストが悪かったから、居残りよ」
ゆーららんの挨拶の後にポッコロが不在のダルクについて尋ね、それにメェナが答えると揃って「えぇー」って表情をした。
年下にまでこんな反応をされるようじゃ、あいつの先が思いやられるな。
まあそれは自業自得だから気にしないことにして、木の実と果物の味見といこうか。
場所を食堂へ移し、皆が見守る前で新発見の木の実と果物を洗い、切る必要があるものは切っていく。
前回は飯を食ってログアウトしたから満腹度も給水度も回復させる必要は無く、単なる味見目的といことで新鮮なる包丁も生鮮なる包丁も使わない。
回復やバフ効果さえ気にしなければ、調理せずとも味がするようになったからな。
ちなみに一緒に採取した薬草は、木の実と果物を各種一つずつと共にポッコロとゆーららんに預けてある。
味見の後に町へ転移して、農業ギルドで木の実や果物を種や種と交換し、製薬ギルドで薬草の使い道を尋ねるらしい。
「はいよ、お待たせ」
切り分けた木の実と果物を、分かりやすいように別々の皿へ載せて皆の前へ並べる。
なお、この島で採取した木の実と果物は四種類だ。
ミルーブの実
レア度:7 品質:7 鮮度:96
晴天の如き空色をした楕円形の木の実
爽やかな色合いの通り、スッキリした酸味が特徴
甘さは控えめだが、嫌味の無い酸味で食べやすい
ナグルの実
レア度:6 品質:7 鮮度:93
握り拳のような見た目の真っ赤な木の実
パンチのある強い甘さが強烈
だけどしつこさは無い、強くも潔い甘さ
パイプル
レア度:6 品質:8 鮮度:92
小さいパイナップルの見た目をした、温度で味が変わる不思議な果物
薄茶色の皮の下を剥き、濃い黄色の果肉を食べる
常温だと甘苦いが、冷やすと甘く、温めると苦い
ストロン
レア度:7 品質:7 鮮度:95
一見するとサクランボのように二つか三つの実が一緒になった小さい果物
実の一つ一つは蕩けるような甘さ
二つ同時、または三つ同時に食べると何十倍も甘くなるので注意
ギョクコウ包丁で切っただけだから、満腹度も給水度もバフ効果も表示されていない。
どういうものかを説明し、それぞれ手を伸ばす。
俺はまずナグルの実を食べてみると、確かにパンチの利いた強い甘味が口の中を襲った。
だけどいつまでも残るようなしつこさは無く、潔くスッと甘さが引いていく。
後には心地よい甘い香りと熟した桃のような食感、ほどよい甘さが残るのみ。
ただこれは単品として食べるならともかく、料理に使うならどうすればいいんだろう。
甘いものは専門外だから良い活用法が思い浮かばない。
「最初にガツンときて、後からほどよい甘さが残るのは良いんだよ。でも最初の甘さが強すぎて、どういう料理にするか悩むんだよ」
さすがはミコト、一口食べただけで俺と同じ考えに至ったか。
「わっ!? ミループの実って本当に酸っぱいですね」
「でもレモンよりずっと食べやすいから、使いやすそう」
ポッコロとゆーららんがミループの実を食べ、感想を口にした。
ということはサンの実よりも、そのまま食べるのに向いているってことか。
「パイプルはパイナップルの食感と、ビターチョコの甘苦さを合わせた感じね」
「温めたらどう苦くなるのか少し気になる」
へえ、パイプルの甘苦さはビターチョコみたいな感じなのか。
今のメェナの感想はしっかり覚えておこう。
あとセイリュウの意見は俺も気になるから、後で軽く温めてみるか?
「うぷっ、あますぎ」
「ぶえー、あまーぎてきもちわーい!」
「い、一度に三つ食べるとこんなに甘くなるの。吐きそうなくらい甘いって、こういうのを言うのね」
ストロンを食べたカグラとイクトとネレアが、揃って口を押えている。
甘味の権化たるカグラが甘さにやられるなんて、複数同時に食べるとどれだけ甘いんだよ。
というか、注意したのにやったのか複数食い!
涙目のイクトとネレアによると、一つだけ食べたら甘くて美味かったから、次は複数同時に食べてしまったそうだ。
カグラも何十倍になった甘さを体験してみたくて、三つの実があるので同時食べをしたらしい。
で、結果がこれだ。
同じことをしたころころ丸も、モルモルと悲鳴を上げながら口を押えて床で悶絶している。
「ミループの実とパイプルはともかく、ナグルの実とストロンは少し使い道に迷うな」
ストロンの複数食いによる甘さにやられたカグラとイクトとネレアが、うんうんと頷きながら用意しておいた水を飲む。
「一つだけなら甘くて美味しいのに……」
そう呟き、ストロンの一つだけ食べたカグラが蕩けて艶っぽい笑みを浮かべた。
「レア度が高いから期待していたけど、そうでもなかったね」
「これはあれね、美味しさじゃなくて入手の難しさでレア度が高いのね」
レア度の高さはそういうのにも影響するのか。
確かに現実でも入手の難しさから、値段が高い物はあるから不思議じゃない。
まあ何にしても、俺に扱えそうなのはミループの実とパイプルぐらいだな。
他の二つについては使い方の研究次第、ということで。
そうだ、例のごはんに関する集まりの時に冷凍蜜柑達へ相談しよう。
甘いものに詳しい天海もいるだろうし、同じく甘いものに詳しいエリザべリーチェも呼ぶ予定らしいから協力を頼もう。
「ひとまず、ナグルの実とストロンの扱いについでは保留だな」
「そういうことなら、種や苗と交換しても栽培はしないでおきます」
「需要も供給先も無い物を生産しても、余って腐らせるだけですからね」
頭を掻きながらの呟きにポッコロが栽培についても保留すると言い、ゆーららんが生産者目線の意見を告げる。
カグラもこれには納得してくれて、後日知り合いの料理プレイヤー達とも検討すると伝え、この場はこれで終了。
ポッコロとゆーららんは農業ギルドと製薬ギルドへ寄ってから自分達の畑へ向かい、俺達は俺とイクト達のレベル上げのために拠点の外へ出る予定だ。
補習でダルクが不在の分、より慎重な行動が必要になる。
でもその前に何か作り、昼飯用に渡しておくことにした。
「パパッと焼きそばを作って渡すから、昼はそれを食ってくれ」
「「お願いします!」」
「俺達の昼もそれでいいか?」
「「「全然オッケー!」」」
「「いーよー」」
「大丈夫なんだよ」
腹ペコ軍団の許可が出たから調理開始、
鍋に水を張って火に掛け、緑豆もやしを洗って水をよく切る。
マダラニンジン、ギッチリピーマン、バチバチキャベツ、フィフスアイランドノースパシフィックへ寄った時に買っておいたシーワームの肉を細切りに。
ストックの太麺をテボに入れて沸いたお湯で軽く下茹でし、深皿フライパンを火に掛けて油を敷いて温めたらシーワームの肉を炒める。
次いでマダラニンジン、ギッチリピーマン、緑豆もやし、お湯を切った麺、バチバチキャベツを順番に加えてさらに炒める。
最後に醤油を加えて味つけと香りづけをして、胡椒とビリン粉を掛けて完成。
シーワーム焼きそば 調理者:プレイヤー・トーマ
レア度:7 品質:9 完成度:96
効果:満腹度回復18%
HP最大量70%上昇【4時間】 体力70%上昇【4時間】
水耐性付与【特・4時間】
シーワームの肉と変異野菜をふんだんに使った太麺の焼きそば
食べ応えだけでなく、バチバチキャベツと胡椒とビリン粉による刺激も良い
醤油の適度な塩気が味をまとめあげ、香りが食欲をそそる
説明の通り、醤油の香りに食欲がそそられる。
その証拠にカウンター越しに見学中のイクト達とポッコロとゆーららんところころ丸が、唾液のダムが決壊しそうな表情をしている。
肝心の味も……うん、美味い。
変異野菜の旨味がシーワームの肉に負けておらず、もやしは食感で存在感を出している。
細麺じゃなくて太麺を選んだから麺も存在感を主張して、ただの付け足しにはなっていない。
そして胡椒とビリン粉の刺激が、全体を引き締めてくれている。
「よし、いける。すぐに全員分を用意するけど……今すぐ食うなよ?」
『はーい』
良い返事だけど、フリじゃないからな。
受け取った途端に食ったら、昼飯は抜きになるぞ。
念のためそのことを注意して、試食したのは自分用としてアイテムボックスへ入れたら、皆の焼きそば作りに取り掛かる。
カグラとセイリュウは同じぐらい、ミコトとポッコロとゆーららんのはビリン粉と胡椒控えめ、イクトとネレアところころ丸のは胡椒を少しだけにしてビリン粉は抜き、そしてメェナは胡椒もビリン粉もたっぷりと加える。
飲み物は前回作ったジャンキーガニの出汁スープの残りを持たせよう。
あとは熟成瓶に入れていたカクテキを取り分けておく。
一つ味見をすると、熟成したことで辛さが丸くなって酸味も良い感じにこなれているから、イクト達でも食べられそうだ。
もう一方の熟成瓶に入れてある豆板醤はメェナに味見してもらい、刺々しさの無い美味い辛さだと感想を告げられた。
辛さは味覚じゃないから、美味いのは辛さ以外の味が熟成したことによるものだろうな。
「じゃあこれ、焼きそばとスープとカクテキな。ころころ丸の分もあるからな」
「分かりました!」
「ありがとうございます!」
ポッコロとゆーららんに続いて、ころころ丸が「モルモル」と鳴きながら小躍りする。
イクトとネレア、一緒になって踊らなくていいから。
ともあれ、飯を渡したら転移するポッコロとゆーららんところころ丸を見送り、俺達も出発する前に前回ミコトが仕込んだ水出しポーションを配り、そのついでにステータス画面を表示させてレベルを確認。
仲間にしてからまだ戦闘をしていないネレアはレベル二十三のままで、海賊イベントで戦闘があったから俺が三十九、イクトが三十五、ミコトが三十四に上がっている。
「この島に出現するモンスターに対する適正レベルを考慮すれば、トーマ達には結構な経験値が入るわ。トーマとイクト君とミコトちゃんはレベル四十台に、ネレアちゃんは進化できるレベル三十にはなれるだろうから、頑張ってね」
レベルを伝えるとメェナがそう告げる。
「おー!」
「分かったんだよ」
「しーか? ねーあ、どーなーの?」
熱量の差はあれど意気込むイクトミコトに対し、ネレアは進化を分かっておらず首を傾げた。
これで大丈夫かなと思いつつ、これからの行動についての説明を受ける。
今回はダルクがいなくて戦力不足ということで、各々が嫌いな虫やザリガニやミミズが出てこない、拠点の裏を少し行ったところにある岩場へ向かうそうだ。
不安要素はそこへの道中で嫌いな類のモンスターが出ないかどうかだけど、幸いにもそんなことは無かった。
遭遇したのは絡み合ったツタが人の形状をしている、ヒューマノイドバイン二体。
木々を利用してアクロバットな動きで翻弄する猿、アスレチックモンキー三体。
近づくと茎の部分から手足が生え、傘の部分に鋭い牙がある口を開いて襲ってくるキノコ、イーターマッシュルーム三体。
そして前回のログインでダルクが逃げたっていう巨大なウシガエル、ギガントワイルドフロッグ。
盾役のダルク不在の穴はミコトが死霊魔法で巨大な盾を持ったスケルトン、スケルトンガードナーを召喚して埋め、危なげなく勝利することができた。
「前回より戦いやすいね」
勝ったことに喜ぶイクト達を褒めていると、セイリュウがそんなことを呟いた。
「当然じゃない。役割を教えあっていたとはいえ、初めて組んだ人達とじゃ連携の経験値が違うわよ」
「しかも玄十郎さんの頼みで、攻撃パターンや防御力について検証していたものね」
メェナとカグラの言葉になるほどと思いつつ入手したアイテムを確認し、食材系は無いから全てカグラへ渡しておく。
ついでに確認したレベルを見ると、俺は四十一、イクトは三十八、ミコトは三十七、ネレアに至っては二十九になっていた。
なるほど、確かにカグラ達よりレベルが低い俺達にはレベルを上げる良い場だ。
「次の戦闘でネレアちゃんは進化できそうだね」
「うふふ、どんな進化をするのか楽しみだわ」
セイリュウとカグラだけでなく、俺も少し楽しみにしている。
一体ネレイスから、何に進化するんだろうか。
「さっ、もうすぐ目的の岩場よ」
先頭を歩くメェナに続いて歩いて行くと、徐々に地面から水気が無くなっていき、木々も少なくなっていく。
やがて森が終わると、そこには大小様々な岩が転がっている場所に出た。
「ここが目的地か?」
「そうよ。ここは主に爬虫類系とか動物系が出るの」
「たまに植物系や両生類系も出るけどね」
周囲を見回しながらの質問にカグラとセイリュウが答え、モンスターを探すために再び歩き出す。
俺よ右手を繋ぐイクトと左手を繋ぐネレアがセッションした、微妙で調子外れで「ボエ~」な歌をBGMにしながら。
「二人とも、不快感しか生み出さない歌は即刻止めるんだよ」
「「えぇっ!?」」
ガーンってなっている二人には悪いけど、心の中でミコトを支持させてもらう。
イクトの微妙な歌だけならともかく、歌が「ボエ~」なネレアまで加わったら口には出せないけど不快でしかない。
口に出せない理由? そんなの二人を傷つけたくないからだよ。
「ミコトちゃん、もうちょっとオブラートに包んであげたら?」
「ハッキリ言った方がいいこともあるんだよ、メェナお姉ちゃん」
そりゃそうだけどさ、だとしてももう少し言い方に気をつけてくれ。
ずーんと落ち込む二人にはフォローを入れ、なんとか少し立ち直ってくれたところで、背中に尖った岩がある大きなアルマジロみたいなモンスターと遭遇した。
「相手はロックアルマジロ、数は五! 物理はあまり効かないから、気をつけて!」
モンスターの情報と注意点を飛ばしたメェナが前に出て、カグラが職業スキルの「戦舞」で味方を強化し、ミコトが死霊魔法でスケルトンガードナーを二体召喚して戦闘開始。
固くて鎌も鋏も通じないイクトは、蛾の羽での飛行や蜘蛛の脚での素早い動きでかく乱に専念。
余った袖口から鎖分銅を出したネレアは、それを振り回して勢いをつけ、与えるダメージは少なくとも上から横から正面からと多彩な方向から攻撃をして注意を逸らす。
有効な魔法攻撃ができるミコトは闇魔法で攻撃しつつ、時折幻術で混乱させて同士討ちをさせながら、攻撃を防ぐスケルトンガードナー二体を死霊魔法で回復したり強化したりする。
雷系は効果が無いためセイリュウは水魔法で、カグラは光魔法か植物魔法で攻撃。
メェナは攻撃してヘイトっていうのを稼ぎつつ、素早い動きで翻弄。
そして俺は戦闘をする気が無いから、定位置の最後尾で待機。
数が多くて少し手間取り、少々危ない場面はあったものの、どうにか勝利。
経験値と入手アイテムに関する表示にオッケーをして消すと、目の前に別の表示が出た。
『従魔ネレアがレベル三十に達しました。進化可能です。進化しますか? YES or NO』
思ったより早く訪れたネレアの進化。
これを伝えると、水出しポーションで回復していたカグラ達も、どんな進化があるのかと詰め寄ってくる。
待て落ち着け、すぐに確認するから。
三人を宥めてイエスを押すと、進化先が表示される。
『進化先を選んでください』
・プリンセスネレイス
・ネレイススイマー
・クラフトネレイス【亜種限定特殊進化】
・ヒールネレイス【亜種限定特殊進化】
・アンノウンネレイス【亜種限定特殊進化】
・やっぱり進化をやめる
*通常種とスキル構成が異なるため、通常種では表示される進化先の一部が表示されていません
今度はこっちが待ってくれ。
亜種限定特殊進化ってなに!?
スキルが関わっているようだけど、亜種じゃなくて通常のじゃないと選べない進化先があるのか?
「どうしたのよ。目を見開くほど、驚く進化先があったの?」
「……亜種限定特殊進化っていうのが、三つもある」
「「「どういうこと!?」」」
こっちが聞きたいよ!




