いわゆる配送サービス
昼飯を終え、セイリュウが採取したキノコを受け取ったら作業館を後にして、再び町の外へ向かうダルク達を見送る。
俺はイクトとミコトを連れて料理ギルドへ移動し、未提出のオリジナルレシピを提供。
今回はこの三つだ。
ソフトサーモンのルイベのカルパッチョ
オーコツスープ
トライホーンブルのすね肉のトマトソース煮込み
意外だったのは、トライホーンブルのすね肉のトマトソース煮込みだな。
エバーグリーントマトをベースに、手作りのブルットワインを加えて緑のトマトソースにしたからかな。
これで提供したオリジナルレシピは三十五個か。
【クッキング・ヴァンガード】の称号のお陰で報酬が増えたから、それで少し食材を買い足したら、依頼を受けるために掲示板の前に立つ。
「どのいらいうけるの?」
「そうだな……これにするか」
労働依頼
内容:パン作り補佐
報酬:400G
労働時間:2時間
場所:ふっくらベーカリー
選んだのはパン屋の手伝い。
一応パンの作り方は知っているし、補佐ならできるだろう。
「じゃあ、しゅっぱーつ!」
待て待てイクト、出発する前に受付だ。
出入口へ向かおうとするイクトを捕まえ、受付で手続きをしたら改めて出発。
いつも通り二人に手を繋がれるから、周囲から微笑ましいものを見る目を向けられる。
「ぱっぱりきゅいんちょ、るんらっらー」
「なんで変な歌から脱却できないんだよ」
「えぇっ!?」
『レッサーァッ、パンダアァァァァッ!』
周りの目もおかまいなしに、この二人は今日もマイペースか。
イクトの歌は相変わらず微妙だし、ミコトは不意打ちとばかりにレッサーパンダグローブ鳴らすし。
周りに大きな迷惑を掛けている訳じゃないからいいけど、本当に自由だね二人とも。
これは主人である、俺の影響か?
注意すべき時はちゃんと注意しているとはいえ、少し甘やかしているか?
だけどテイムモンスターとはいえ、あまり叱りすぎると委縮させちゃいそうだし、好感度が下がりそうだ。
難しいな、子育てって。
「ますたぁ、おみせまだ?」
「ん? ああ、もうすぐだぞ」
イクトに返事をして地図を確認し、さらに少し歩いて目的地へ到着。
店は大通りに面している小さめの店構えで、中へ入ると商品棚には美味そうに焼き上がったパンが並び、焼きたて特有の良い香りがする。
「らっしゃい。何にする?」
出迎えてくれたのは白のコックコートを纏った、店名のふっくらベーカリーに相応しい、ふくよかな体型をした中年男性のNPC。
その人へ依頼を受けたことを伝えると、自分が店長だと告げたその中年男性のNPCに調理場へ通された。
そこでは他にもNPCが二人いて、パン作りに勤しんでいる。
「お前さんにやってもらうのは、食パン用の生地作りと成形と型入れだ。焼き上げとサンドイッチへの調理はうちの職人がやる」
「分かりました」
「んじゃ、やり方を教えるぜ」
腕まくりをした店長から生地の作り方と成形、型入れのやり方をしっかり教わったら作業開始。
俺達プレイヤーにとって、NPCが作った料理は美味くない。
だけどこの店にはこの店の味があるから、NPCの店とはいえ教わった通りの材料と分量と手順を守って生地を作り、成型して型入れをしたら職人のNPCへ渡して焼いてもらう。
作業館で借りるのとは大違いの、完全に業務用のオーブンで焼かれると良い香りが漂ってくる。
でもそっちへ気を取られていないで、しっかり仕事をしないと。
気を引き締め直して作業に没頭すること約一時間。
ようやく労働時間の半分が過ぎた辺りで、ふと気づいた。
イクトとミコト、どこに行った?
調理場へ通された時は付いて来ていたのに、いつの間にかいない。
「あの、連れの二人はどこに行きました?」
「一緒にいた子供二人かい? 店の方にいるよ」
店の方って、まさか迷惑掛けていないよな?
気になったからNPC職人に許可を得て様子を見に行くと、二人とも大活躍していた。
「いらっしゃいませー!」
イクト、来店したNPC達を出迎えている。
可愛い子だと愛でられ、笑顔で触角とレッサーパンダ耳を嬉しそうに動かすと余計に愛でられ、そのお陰かNPCのお客がたくさん入ってくる。
「こちら、焼きあがったんだよ」
ミコト、商品棚へ焼きあがったパンを並べていく。
浮遊スキルを使えば上の段にも並べられるから、ふよふよ浮きながらパンを陳列している。
「おう兄さん! あの男の子のお陰で客がたくさん来るし、女の子のお陰で接客に集中できるから助かるぜ」
「ど、どういたしまして?」
邪魔になっていないならいいか。
「二人とも、迷惑はかけるなよ」
「はーい!」
「分かったんだよ」
うん、しっかり返事できたなら良し。
さあて、調理に戻るか。
そうして働くこと二時間、イクトとミコトによる手伝いも特に大きな問題は起きず、無事に仕事は終了した。
「いやー、助かったぜ。おまけに儲けさせてもらったから、感謝するぜ」
ほくほく顔の店長はそう告げると、ギルドへ預けた報酬とは別に、うちのパンを持っていくかと聞かれた。
気持ちは嬉しいし、イクトとミコトは興味を示しているものの、NPC作だから美味くないんだよな。
だからといって断るのは悪いし、イクトとミコトの期待を裏切りたくない。
そこで、商品を持っていかない代わりに自分で食パンを焼き上げまでやってみたいと告げたら、材料費を払ってくれるのならと承諾してくれた。
今までに作ったパンは、ストックしているのがコッペパン式、公式イベントで作ったのがナンのような平焼き、あとは蒸しパンやバゲットぐらい。
型が無いから作れなかった食パンを、職人のNPCによる指導を受けながら焼いていく。
今回焼かせてもらっているのは三本分。
一本が三斤分とのことだから、九斤分だな。
なにせうちにはイクトとミコトに加えて腹ペコガールズがいるから、これくらい用意しておいた方がいいだろう。
「マスター、それが焼けたらどうするんだよ?」
「この前のもらい物に豚肉や鶏肉があったから、カツサンドを作る」
「かつさんど? よくわからないけど、ますたぁがつくるならおいしいよね!」
目をキラキラさせて、触覚とレッサーパンダ耳をピコピコ動かすイクトからの信頼が厚くて、つい苦笑してしまう。
だけど期待された以上は全力を尽くそう。
貰った物の中に卵もあったし、パン粉はストックのパンか食パンの耳を切り落として作ればいい。
いや、ここはストックのパンを使って、切り落とした耳はフレンチトーストにしよう。
でもってそれは晩飯には出さず、次回のログインでの外出中に食べる飯として渡そう。
今日の晩飯のメニューは、もう決まっているからな。
そんなことを考えているうちに食パンが焼き上がった。
蓋をして焼いたから、上が膨らんだ山型じゃなくて四角型の食パンが三本。
これを使いやすいよう、一斤分ずつに切り分けたらアイテムボックスへ入れ、材料費を支払って店を後にした。
「かーつさんど、かつさんど♪」
「初めてまともな歌を聞いたんだよ」
同感。だけど残念なお報せだ。
「カツサンドは作るけど、今日は食べないぞ」
「「えぇっ!?」」
イクトだけでなくミコトまでショックを受けている。
そんなに食べたかったのか?
でも駄目、予定に変更は無い。
「ますたぁ、たべさせて」
「マスター、食べたいんだよ」
ああやめろ、しがみついてそんなにうるうるした上目遣いで俺を見ないでくれ、決心が揺らぐ。
「料理長さん、凄い葛藤してるわね」
「あんな子達にねだられたら仕方ないわよ」
「イクトきゅん、料理長の何を食べたいの。はぁはぁ」
「ていうか、さっきカツサンドって言ってなかったか!?」
二人のおねだりをなんとか堪えて説得し、どうにか我慢してもらえることになった。
ふう、危うくおねだりに屈するところだった。
少し残念そうにする二人を連れ、料理ギルドで報告をして報酬を受け取る。
するとおばさん職員から、今回の依頼達成による貢献度上昇で、あるサービスを利用できるようになったと言われた。
「どんなサービスなんですか?」
「転送配達っていうサービスさ」
このサービスは、別の町にある店や生産者が取り扱っている食材や調理道具が欲しい時、ギルドへ注文を出すことで該当する町のギルド職員が店や生産者の下へ赴き、商品を購入して注文を出したギルドへ転送してくれるものらしい。
転送方法はギルドの奥にある、転移屋にある移動用の魔法陣の物品限定版みたいなものを使うとのこと。
代金は先払い方式で、注文した物の代金に加えて手間賃と転送代が掛かるけど、転移屋を利用して移動するより安く済むそうだ。
「人も物も移動させる転移屋とは違って物品のみだからね、転送費用もかなり安いんだよ」
ただし、購入できるのは食材や調理器具に限る。
料理ギルドなんだから当然だな。
「ちなみに対象の店や生産者は、あんたと契約を交わした先に限るよ」
契約方法はその町の料理ギルドが発行する、契約証という札に店名や名前を刻んでもらい、料理ギルドで手続きをするだけ。
とはいえ、町毎に手続きが必要なのは手間だな。
だけど遠くへ行くほど転移屋の代金は高くなるから、いちいち移動して買いに行くより、こういったサービスを利用した方がいいかもしれない。
でも今からだと時間が足りないし、次のログインの時にやっておこう。
幸い、次のログインの時はダルク達にカツサンドを持たせる予定だしな。
「分かりました。是非、利用させてもらいます」
「あいよ。これからもよろしくね」
こちらこそ、よろしくお願いします。
おばさん職員へ手を振るイクトとミコトを連れ、料理ギルドを出たら晩飯作りのために作業館へ向かう。
一階の作業台が埋まっていたから、同じく無料で利用できる二階の作業台とオーブンを借り、階段を上って移動。
イクトとミコトが踏み台を用意している間に、俺もバンダナと前掛けを表示させて食材を準備する。
「今日は二階に来てくれた」
「いやいや、素直に喜べないだろ。作業は中止だ、中止」
「今回は何を作るのかな」
踏み台に乗ったイクトとミコトが正面に陣取ったら調理開始。
まずはニンニクをすりおろし、オークのバラ肉を薄切りにしてボウルへ入れ、ここへブルットワインとすりおろしたニンニクと塩と砂糖を加えて揉み込む。
ミコトに柄杓で水を掛けてもらって手を洗ったら、肉に下味を付けるためそのまま置いておく。
次はお詫びの品の中にあるサンの実を四分の一のくし切りにして、果汁を鍋へ絞り出す。
これを酢のような状態へ加工するため火に掛け、果汁を絞り出した後のサンの実は皮を剥き取り、香りづけに使う時のために皮だけアイテムボックスへ入れておく。
サンの実の果汁は沸騰しない程度に温めたら火から下ろし、冷却スキルで冷ます。
さじで取って手の甲に垂らして舐めると、しっかり酢のようになっている。
これを手持ちの空き瓶へ移し、ボウルへ割り入れた卵に塩と油と一緒に少しずつ加えながら、魔力ミキサーで混ぜる。
「それ、まよねーずだね!」
「ああ。無くなったから作っておこうと思ってな」
お詫びの品の中に卵とサンの実があったから、マヨネーズ作りは考えていた。
一応カツサンドには、ソース代わりにこれを塗るつもりだ。
そうして完成したマヨネーズは、空き瓶へ移して一旦アイテムボックスへ。
次は酢のようにしたサンの実の果汁をボウルにいくらか出し、水と塩と砂糖で味を調整し、隠し味程度にブルットワインを加えて混ぜれば調味液の完成。
続いて種とヘタを取ったギッチリピーマンを一口大の乱切り、縦縞と横縞のシマシマタマネギは両方とも半分に切ってから薄切り、そしてバチバチキャベツも一口大の乱切りにする。
これを空いている熟成瓶に詰め、調味液を加えて漬け込んでおけばピクルスになる。
「ますたぁ、それ!」
「しばらく漬け込む必要があるから、食えないぞ」
「「えぇー」」
残念だったな。
代わりに酢のような状態のサンの実の果汁をコップへ少量注ぎ、砂糖を少し加えて水で数倍に希釈してスプーンで混ぜた、お酢ドリンクを作ってやった。
サンの実の果汁酢ジュース 調理者:プレイヤー・トーマ
レア度:1 品質:6 完成度:93
効果:給水度回復10%
MP最大量+10【1時間】 知力+1【1時間】
ある意味で果実酢の、酢のような状態に加工したサンの実の果汁をジュースに
心地よい酸味と甘さで飲みやすく、何杯でもいけそう
希釈する割合はお好みでどうぞ
「ちょっと酸っぱいけど、おいしー!」
「この酸味と微かな甘みがいいんだよ。酸味もサンの実の自然なものだから、丸みがあって嫌味が無いんだよ」
二人の反応が良いから飲んでみると、確かに思っていたよりも良い。
これを空き瓶に詰めて、次のログインでカツサンドと一緒に飲み物として渡してやろう。
そうと決まれば早速空き瓶でサンの実の果汁酢ジュースを作り、冷却スキルで少し冷やしてアイテムボックスへ入れておく。
さて、そろそろオークのバラ肉に下味が付いただろうし、これを使った料理を作ろう。
ギッチリピーマンの種とヘタを取り、一口大の乱切りに。
フライパンを熱して固形ラードを少しだけ落とし、下味を付けていたオークのバラ肉を炒める。
オークの肉は脂が多いから、ラードは少量でも十分炒められる。
肉に火が通ってきたらギッチリピーマンを加え、しっかり炒めたら塩と胡椒で味付けして完成。
オーク肉とギッチリピーマンの炒め物 調理者:プレイヤー・トーマ
レア度:4 品質:7 完成度:91
効果:満腹度回復24%
体力40%上昇【3時間】 腕力40%上昇【3時間】
オーク肉とギッチリピーマンの旨味が絡み合い、互いの旨味が増幅した一品
しっかり下味を付けたオーク肉にギッチリピーマンも負けていません
白米があればおかわり必須でしょう
表示された料理名こそ違うものの、これは青椒肉片だ。
青椒肉絲の「絲」が細切りを指すのに対し、今回作った青椒肉片の「片」は薄切りを指す。
細切りに比べれば作りやすく、それでいて美味さは変わらないからと、父さんに教わった料理だ。
ちなみに青椒肉絲に入れるタケノコは、無しでも構わないとのこと。
で、肝心の味は……いやこれ本気で米が欲しいって。
下味には日本酒や中国酒じゃなくてワインを使ったとはいえ、これは米が欲しいって。
オーク肉の旨味と脂、調味液による下味、そしてギッチリピーマンの歯ごたえと味わいが口の中で一体となって襲ってきて、目の前に丼飯があれば掻っ込みたい気分だ。
「ますたぁ、どう? どう?」
「美味しく出来たんだよ?」
正面にいるイクトとミコトが、目を輝かせて身を乗り出している。
あー、はいはい、口開けな。
餌をねだる雛鳥のような二人の口へ、一口ずつ食わせてやる。
「おいしいっ! おにくもぴーまんもおいしい!」
「これはお肉に下味を付けたのがポイントなんだよ。だから味が単調にならず、食欲をそそる味になっているんだよ。ピーマンもそれに負けていないから、食べようと思えばいくらでも食べられるんだよ」
イクトは触角とレッサーパンダ耳をぎゅいんぎゅいん動かし、ミコトは無表情ながらコメントが絶好調。
そんな二人を横目に見つつ、試食した分は自分の分としてアイテムボックスへ入れ、皆の分を調理していく。
全員分が完成してアイテムボックスへ入れたら、使った調理道具を洗って一旦作業台の上を片付ける。
それと二つの大きめの鍋でお湯を沸かす準備をしてから、二品目のオークのモモ肉とシマシマタマネギを使った焼売作りに取り掛かる。
ボウルへ小麦粉を出し、沸かしておいたお湯と塩を加えながら生地を作り、しっかりこねて塊にしたら寝かせる。
この間に縦縞と横縞、両方のシマシマタマネギをみじん切りにしてボウルへ入れておく。
さらにオークのモモ肉を小さく切り分け、魔力ミキサーでミンチにしてボウルへ加え、シマシマタマネギと混ぜ合わせる。
塩と砂糖と胡椒、さらに昼飯で作ったオーコツスープを少し加えて味付けし、全体へ混ぜ込んで味をいきわたらせたらタネの完成。
寝かせていた生地をまな板の上で、少し厚みがある程度に伸ばす。
普通の豚肉とタマネギなら薄くていいけど、オーク肉とシマシマタマネギは味が強いから、通常より厚めにしないと皮が負けて全体のバランスが崩れかねない。
そう判断して厚みを調整した生地を、包丁で正方形に切り分けたら皮の完成。
この皮でタネを包み、焼売を仕込んでいく。
祖父ちゃんと父さん直伝の焼売は、肉とタマネギ以外は使わないシンプルなもの。
俺もアレコレ入っているよりも、その方が肉の味がよく分かって好きだから、この焼売もそうさせてもらう。
「手作り焼売、ですって……?」
「餃子が作れるんだから、焼売も作れて不思議じゃないか」
「グリーンピースは無しなんだな」
包み終わったら蒸篭を出して焼売を並べていき、お湯が沸いている二つの鍋の一方に乗せて蒸す。
続いて、もう一方の鍋でてぼに入れた太麺を茹でる。
茹で上がった麺のお湯をよく切ったら、試食用に一玉だけ皿の上に残し、他は冷めないようアイテムボックスへ。
麺を茹でた方の鍋を片付け、焼売の方を注意しつつ、あえて多めに用意して残ったタネをフライパンで炒める。
頃合いを見計らってオーコツスープを少々加え、塩と砂糖と粉ビリンと胡椒で味付け。
一旦ボウルへ出し、一玉だけ残した麵の上にこれを載せ、再度オーコツスープ少々を掛けまわして完成。
おっと、焼売の方もできたっぽいな。
オーク肉とシマシマタマネギの焼売 調理者:プレイヤー・トーマ
レア度:4 品質:8 完成度:95
効果:満腹度回復11%
土属性強化【小・2時間】 器用+4【2時間】 運+4【2時間】
オーク肉の肉汁がたっぷり詰まった焼売
ところどころでシマシマタマネギの辛みと甘みが肉汁を引き立てる
少し厚めの皮で肉汁が封じ込められ、中身の旨味に皮が負けていません
しっかり味が付いているので、そのまま食べられます
オークそぼろ和え麺 調理者:プレイヤー・トーマ
レア度:4 品質:7 完成度:87
効果:満腹度回復18%
魔力消費軽減【小・2時間】 無属性攻撃時地属性付与【小・2時間】
オーク肉とオーコツスープ、二つのオークの味がまさかの競演
ダブルオークをまとった太麺は強烈に力強い
周囲を気にせず、思いっきりすすってください
肝心の味は……どっちも美味い。
焼売は噛むと美味い肉汁が溢れて、まるで小籠包のようだ。
でもってシマシマタマネギの辛みと甘みがあるから、味が単調になっていない。
しかも一個毎に縦縞と横縞の割合が違うから、辛みと甘みの変化があって楽しい。
和え麺の方は説明文通り、口の中でのインパクトが強い。
口の中で大きな太鼓を力強く叩いたみたいに、旨味がドオンと押し寄せてくる。
オーコツスープと肉そぼろ、どっちもオークだから相性が良いのか、組み合わせるとこんなに力強いのか。
ひょっとして焼売の美味さには、下味にオーコツスープを使ったからかもしれない。
「どっちもおいしー!」
「オークのお肉とスープ。この二つを合わせるとこんなに美味しくなるなんて、思ってもみなかったんだよ」
二人からの評価も良し。
さて、焼売は冷めないうちにアイテムボックスへ入れて、全員分の和え麺を作ろう。
まだこの後には、次回のログイン用のカツサンドとフレンチトーストの調理が控えているんだからな。




