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拝啓、悲劇的で素晴らしいゲームのシナリオライター様。私が平凡でつまらない物語に改悪してみせます。  作者: 明。


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38話 私の炎

 そこは、灼熱地獄みたいだった。

 そこに平気で立てている自分に驚く。 


 すべてが焼かれていた。


 ああ、そうか。コレは未来だ。彼が泣いている。炎の中で涙を流さず泣いている。


「欲しかったものは灰燼に帰した。だからもう、すべて消えてしまえばいい」


 彼の……ガイアスの欲しかったものはなんだったのだろう。


 ガイアスがぐにゃりと歪んで溶けて、私になっていた。自分、のはず。だけど……まるで炎の塊のような私に似た少女は、醜悪な笑みを浮かべていた。


「壊す壊す壊す壊す壊す。憎い、皆大っきらい!!」


 うん、どうしよう。








 痛〜い。






 苦痛的な意味でなく、メンタル的な意味で痛い。コレ、どう見てもちょっと前の私やん。客観視するの厳しいよ!メンタルが、メンタルが痛いよぉ!


「まあ、そうだね」


 周囲にある嫌な奴がたくさんいた。パパ様も忙しくて、私の現状に気がついてはくれなかった。


「嫌い、嫌い!!自分が1番大嫌い!!」


「………そうだね」


 嫌な奴はたくさんいた。それでも、その中で自分が1番嫌いだった。上手くやれなくて、上手く言えなくて、いつだって苛立っていた。


「全部全部全部全部燃やしてなくしてしまいたい!!」


「それは嘘」


「……………えっ?」


 相手の炎を私の炎で相殺する。相手も私自身だからか熱くなかったけど、なんとなくそうするのが正しいと思ったから。

 炎が消えて、周囲は暗くなった。


「みんな嫌いだし、自分が1番嫌いだけど、全部燃やしたいとは思ってない。嫌いじゃない人も少しはいるし、もうなんでもかんでも燃やしてしまえばいいなんて思ってないよ」


「嘘よ!全部燃やしてしまいたい、抗えないほどの衝動があるでしょう?!」


「あるけど、したくないからしない。だから、私は……もうお前には負けないよ」


 以前の私が凶暴だったのは、その怒りに負けていたから。今では自覚もあるし、コントロールする術がある。


「だから、ごめんね。お前の出番はもうないの」


 そう言って、私は怒りで顔を醜く歪めた私を抱きしめた。


 彼女は氷になって溶けて消えた。


「と言ったものの……怒りに負ける日はあるかもしれないけどね」


 苦笑して、私はあてもなく歩き始める。出口がどこかはなんとなく解っていた。






「ルビーたぁぁぁん!!」


 厚い胸板により強制的に覚醒した。寝起きに厚い胸板は勘弁して欲しい。鼻ぺちゃになったらどうしてくれる。


「パパ様……」


「魔力暴走するなんて……何があったんだい?!」


 気を失う直前の光景を思い出す。


「ガイアスは?!無事なの?!」


「彼は無事だよ。不思議なことに君の炎は彼を傷つけなかった。暴走しながらも、一部を制御をしていたということなんだろうな」


「そう、よかったわ」


 助けようとした相手を丸焦げにするとか本末転倒もいいところ。危なかった。


 激しい怒りが胸の奥にありながら、凪いでいる。とても不思議な感覚だ。


「無理をしてはいけないよ」


 起き上がってガイアスを探そうとしたらパパ様に止められた。


「大丈夫よ、パパ様。怪我が酷かったから、ガイアスが大丈夫か確認したいの。どのくらい寝ていた?」


「倒れて30分ぐらいだな」


「そう、安心したわ」


 まだ黒の教団と明確に敵対するわけにはいかないが、自領の膿は出しきらなくてはならない。


「ルビー?」


「大丈夫よ、パパ様」


 絶対パパ様を死なせたりしない。私も死なない。

 ガイアスを悲劇のラスボスにもさせない。


 ずっと最適解を考えていた。


「燃やすわ、この館まるごと」


「……………うん??」







「あーははははははははは!!」


「や、やめ、やめなさい、ルビー!」


「きゃははははははははははははは!!」


 館を炎が包む。そう、秘密の部屋ごとすべてを私の炎で焼き尽くす。これが現状での最適解。私は屋敷の秘密には気がつかず、すべてを焼き尽くしたことにする。



 もっと力をつけなければ。やつらを摘発できるぐらいにならなくては。今はすべてを闇に葬ることしかできない。



「ああ……素敵です……義姉様………」


「…………」


 ところで、何故私の婚約者の弟と婚約者が同伴しているのだろうか。私は君らの家を燃やしているなうなんだが、止める気配はない。

 ガイアスは騒ぎを聞きつけたパパ様の指示できちんと手当てされていた。とはいえ応急処置程度なのでちゃんとヒールで治しておいた。休むよう言ったがついてくると聞かず、隣にいる。


「ああ、ようやくあの愚かな大人達に義姉様による正義の鉄槌が下されるのですね。この日を、僕はずっと待ち望んでいました」


 目線でガイアスに君の弟、どんな教育を施した?と問う。

 ガイアスは目線で、君からの悪影響と答えた。解せぬ。


「とりあえず、あんた達はしばらくウチに住んでもらうわよ」


「うん」

「はーい!」


 え、2人の親はどうするのって?知らんがな。大人だしどうとでもできるでしょ。


 なんか言ってたけど無視して屋敷を焼き尽くし、消し炭にしてやった。

 はぁ………とりあえず色々山積みだけど気持ちはすっきりした〜!

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― 新着の感想 ―
弟君、いい味醸してますねぇ。 更新、ありがとうございます♪ 時期柄、無理せず、どうぞご自愛くださいね。気候変動が激しすぎて身体にこたえますものねぇ。 他のシリーズの更新も気長にお待ちしております。特に…
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