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案件115:〈オーロラ島〉スペシャルライズ!

 本日の活動が終わり、イトたちがログアウトする。

 残された烙奈は、所在なさげにソファーに座っている碧瑠璃に「貴女も休むといい」と優しく呼びかけ、リビングの端に移動させていた棺桶を目線で示した。

 碧瑠璃は一度は「うん」とうなずいたものの、立ち止まった棺の前でじっとそれを見下ろし、


「ねえ、わたしってやっぱり、普通じゃないんだよね」


 そんなことを不安げな視線に乗せて、こちらにこぼした。


「だってイトたちはああして消えていくのに、わたしは違うもの。わたし、変なんだよね?」


 これまで積もっていったものを少しずつ吐き出すように、碧瑠璃は言った。烙奈は湯気の立つティーカップに口を付けながら、努めて平静に返した。


「心配いらない碧瑠璃。わたしも貴女と同じだ」

「えっ?」

「わたしもイトたちとは違う、普通ではない存在だ」

「烙奈も?」


 烙奈はニヤリと笑った。


「みんなには絶対に内緒だぞ。バレたら大変なことになってしまう」

「そうだったんだ。全然気づかなかった」

「では、それくらい大した違いではないということなのではないかな。だからもうお休み」


 あえて素っ気なく言ってやると、碧瑠璃は安堵の笑みを浮かべた。


「うん、わかった。何だかすっごく疲れちゃったから、よく眠れそう」

「ああ」

「じゃあ、お休み烙奈」

「お休み、碧瑠璃」


 棺のフタが閉じた後は物音一つなくなった。静寂の中で烙奈は小さくため息をつき、ティーカップの水面に映った自分の顔をじっと見つめる。


「そうだ……。大した違いじゃ……ない……」


 ※


 次の日もレッスンは続いた。

 念のためオーロラが見えるグレイブにも出向いてチェックするが、ことごとくハズレ。やはり大本命の〈オーロラ島〉か。


 ダンスの練習は順調に進んだ。

 繰り返すたびに精度が上がっている。リアルでならそんなウマい話はないが、スカグフではAIがこちらのモーションをある程度補助してくれる。望んだ形をしっかりとイメージできれば、それらしい動きができるようになるのだ。


 そのために、イトたちはスパチャに撮影してもらった自分たちのダンス風景を何度も観察し、碧瑠璃のイメージに近づける方法を模索し続けた。何ならリアル側でも彼女を想像し続けた。


 ダンスが少しずつ形になる一方で、碧瑠璃は少し疲れた様子を見せていた。

 まだ落ちるには早い時刻でも、練習をやめてしまった。

 無理をして本番で失敗したら意味がない。イトたちも体調管理を兼ねて、早めにログアウトした。


「烙奈。何だか最近すごく眠いの」


〈オーロラ島〉攻略前夜。碧瑠璃は烙奈にそう打ち明けてきた。


「疲れが溜まっているのだろう。明日は本番だ。早く休むといい」

「うん。だけど……」


 碧瑠璃は棺に戻るのを渋る態度を見せる。


「わたし、明日もちゃんと起きられるのかな」


 それは寝坊を心配しているような呑気な問いではなく――明日もここに存在していられるのかという切実な思いが込められた言葉だった。


 碧瑠璃はかなり不安定な存在なのではないか――。アビスから伝えられた言葉は、烙奈の胸に拭いがたい淀みを残した。棺の調整機能はこのサイズならほぼ上限値だ。そうしなければならない理由があった。


 あとどれくらい、碧瑠璃はこの世界にいられるのか。

 彼女はそれを感じ取っているのかもしれない。


 烙奈は悪魔の手に体を掴まれたような気分になりながら、


「貴女は本番当日にしくじるような生易しいアイドルではないよ。明日のステージでは多分……誰よりも元気に駆け回っているはずだ」

「……ありがとう。烙奈は優しいね」

「あっ、ああ……。これくらいは……普通だよ」


 柔らかく微笑みかけられ、烙奈は顔を赤くして目を逸らした。いつ見ても彼女の微笑みは毒になる。


「おやすみ烙奈。明日は頑張ろうね」

「おやすみ碧瑠璃。ああ、楽しもう」


 ※


〈オーロラ島〉攻略&〈ワンダーライズ〉with碧瑠璃スペシャルライズ当日。

 イトは〈ワンダーライズ〉の仲間、碧瑠璃、そしてお手伝いのアビスと共に予定開催時刻よりだいぶ早く〈オーロラ島〉を訪れていた。


「ねえ千夜子、あそこにいるのってあなたたちのファンじゃない?」

「あっ、ホントだ……。すごい、もう来てくれてるんだ」


 アビスと千夜子が話す通り、島の入り口付近には数十人からなるシンカーたちの姿がすでにあった。

 こちらを見るなり、メンバーの名前や顔がプリントされたウチワを振ってくれる。そんなファン魂溢れる仕草にもかかわらず、全員が超ガチガチフル装備。神でも仏でもかかって来いという態勢だ。


「……ここ……」


 ライズ会場予定地――時間帯で橋が生成される崖の近くを下見している時に、碧瑠璃がつぶやいた。


「知ってる……。わたし見たことある」

「! 思い出したんですか、碧瑠璃ちゃん……!」

「うん」


 碧瑠璃は、進行を制限する靄のかかった崖むこうに視線を投じる。


「ここが、そうだ……。オーロラとの約束の場所……。それから……ここで決めたんだ。オーロラの名前……。ここで初めて見たから……」


 サポートAIのオーロラ。オーロラ島。約束の場所。全部一つだった。都合よくそうなったというより、それほどに思い出深い場所だから一つに収束したのかもしれない。始まりの場所が、約束の場所か……。


「この島の奥地には、作りかけというか、壊れかけの石段みたいなのがあるそうです。他に目ぼしいものはないし、目指すとしたらそこしかないです」

「必ず行こうね」

「ああ。必ずだ」


 千夜子も烙奈もぐっと拳の握って闘志を見せる。


「みんな……。うん! 行こう!」


 少し心配していた碧瑠璃の体調は、すっかり良くなったようにイトからは思えた。

 さすがはグレイブアイドルの神祖。本番当日に体調不良なんてミスは犯さない。


 後はお客さんがちゃんと来てくれるかどうかだが……こちらはほとんど心配していなかった。交流サイトは連日このスペシャルイベントの話題で持ち切りで、ケンザキ社長も号外をばら撒いて応援してくれた。例の最古参ファンの人は「リアル側の中継配信で死ぬほど応援させてもらう」とのことだ。


 もうここまで来たら後はやるっきゃない。

 ステージの設営はメニューからワンボタンなので、本番までの時間は岩場に隠れて軽いウォーミングアップにあてる。


 そんな中で、碧瑠璃はいつになく緊張しているようだった。

 笑顔が硬い。スペシャルライズへの気負い……なんてはずもなく、約束の場所が目の前にあることへの焦りだ。


 アタックチャンスはライズ終了後三十分。それを逃せば、次はいつ島が巡ってくるかわからない。ようやく本命にたどり着けた彼女に、次があるさという余裕は微塵も感じられなかった。


「碧瑠璃ちゃん。碧瑠璃ちゃん?」

「えっ? あっ、ごめん……! ぼーっとしてた」


 呼びかけられた彼女はビクンと肩を跳ね上げてこちらに向き直る。


「焦る気持ちはわかります。こういう時によくきくおまじないを知ってるんですよ」

「ホント? 教えて!」

「百合営業って言うんですけどぉ……」

「ここで? <〇><〇>」「今か? <〇><〇>」

「なあんてぇ! 小粋なジョークですよおお! 二人ともそんな目でステージに立ったら大事故ですよホラ、ねっ、ス、スマイルスマイルゥゥゥ……」


 イトは必死に祈りを捧げて大魔神を鎮める。その様子を見て、碧瑠璃はクスクス笑った。


「イトっていっつも二人に怒られてるね」

「イトちゃんが悪いんだよ」

「イトが悪いからだ」


 むっつりした顔で苦情を述べる二人に、「わたしも……そうだったかも」との碧瑠璃の言葉が続いた。


「オーロラにいつも注意されてた……気がする。わたしがいつも好き勝手やって……オーロラに心配かけて。でもライズの後は、必ず優しく笑って迎えてくれて……」

「会えますよ。ここで」


 イトは碧瑠璃の肩にそっと手を添えた。


「スペシャルライズを成功させて、オーロラさんに会いに行きましょう」

「うん!」


 うなずいた碧瑠璃は、いつもの輝くような笑顔だった。


 開幕時間が近づくにつれ、お客さんが続々と島に上がってきた。

 中には「碧」「瑠」「璃」と書かれた手製のウチワや横断幕を持った者もおり、早くも彼女のファンクラブが誕生している模様だ。


 外部への露出が少ないアイドルは、新しい波に呑まれて消えていってしまう。しかし彼女の場合は、その不在の時間が人気の醸成期間となったようだ。改めて思い知る、初っ端からモンスターという存在。


 崖の靄が消え、橋がかかるまであと一時間を切った。

 スペシャルライズの――始まりだ。


「皆さん、今日は来てくれてありがとうございます!」


 ステージ上でのイトの第一声に、観客たちは一斉に沸いた。

 心配はしていなかったが――いや逆に心配になるほどの入場者数だ。バフエリアなんてとっくにキャパオーバーしているし、ちょっとしたコンサートホールなら満員御礼間違いなし。後ろの方の人なんてほとんど姿が見えない。


 後方観客用の大型モニターをバザールで調達しておいてよかった。大人気アイドルご用達なので、自分たちにはまだまだ無縁だと思っていたが……。


「今日はこのスペシャルゲストの碧瑠璃ちゃんといっぱい楽しみたいと思います!」

「みんなー!」


 ヴォオオオオオオオオオオ……!!


 碧瑠璃のセンターインに物凄い轟音が応じる。モンスターの群れかな?


「今日は来てくれてありがとう。この大切な場所でみんなとライズができて、とっても嬉しいよ。いい思い出にしようね!」


 そう言った碧瑠璃がバッと手を掲げた瞬間、お馴染みのイントロが始まった。


 客席が破裂するように盛り上がる。

『草原を駆ける』。アイドル実装時から初期スキル中の初期スキルとして君臨するザ・基本ライズ。これだけで客席が熱狂するのは、グレイブアイドル多しと言えども多分〈ワンダーライズ〉だけだろう。


 しかも、曲が始まっても碧瑠璃が退場しない。

 イトとのダブルセンターに、会場からは歓喜と驚きの悲鳴が上がる。

 二人で手を重ね合わせるオリジナルポーズから、四人でのパフォーマンスが始まった。


 ――そこからは、誰にとっても夢のような時間になった。


〈ワンダーライズ〉のいつものバフ曲から、碧瑠璃秘蔵のレトロバフのオンパレード。

 客席は煮えた油に水をぶち込んだような大騒ぎ。


 それでも、誰よりも輝いてたのは、やはり碧瑠璃だった。

 空と海の色の髪が、伝説のコスチュームとアクセサリーが、卓越したアレンジダンスが、ステージの上できらめいた。


 まだ何のメソッドも存在しなかった時代に、自分のバフライズを完成させていた少女。

 どれだけ時が過ぎ、新たなアイドルが現れても、オリジナルに二人目はいない。

 人々はそれに酔いしれ、体に刻み込む。すべてのグレイブアイドルの始祖を。


 イトたちもそんな奔流の中で、碧瑠璃とのライズを全身全霊で楽しんだ。

 碧瑠璃に遅れないように――なんてあくせくする必要はない。

 碧瑠璃は自由自在で変幻自在。彼女のパフォーマンスは100%碧瑠璃だったから、いくらでも形を変えられたのだ。


 誰かがもたつくようなアクシデントがあろうと、すべて彼女がショーの内側に取り込んでしまう。ステージが乱れることは、開始から一瞬たりともなかった。


 そうしてラストダンス『夜風の蝶』。

 碧瑠璃の代名詞とも呼べるこの曲を、四人で演じた。


 通しでできるようになったのは正に前日。だが本番は――そんな苦労がウソだったみたいに、二段も三段も上の出来栄えだった。イトたちも信じられない思いだった。誰かが、この世界の神様が、手足を支えてくれたとしか思えないほど、体がスムーズに、思うがままに動かせた。


 完全無欠の盛り上がりのまま、ライズは終わった。

 割れるような拍手。鳴り響く指笛。地鳴りのような歓声。

 誰もが満足し、納得していた。今日、このライズに参加できたことを。


 そして――。ライスステージの背面にあった崖に飛び石の橋がかかり、その先の靄が晴れていく。


「おい……ウソだろ……?」


 客席の誰かが呆然とつぶやいた。

 それまでの熱狂が一瞬で覚めるような光景が、そこにあった。


 崖の向こう側に広がっていたのは、陸地をどす黒く埋め尽くすモンスターの群れ。

 いずれも一目で強力無比とわかる、凶悪な佇まい。

 浮かれていた人々を正気に戻すには十分な光景。


 しかし――。


「やったあああああああクソ強レアモンスの群れだあああああ!!!!!」

「レアメタルゴーレムにヒュベリオンにオイル・リッチ……!? 墓の底を這い回っても見つからねえ連中がわんさかいるぜえええええ!!」

「まさか〈ワンダーライズ〉はこのレアエンカ情報を掴んでいたのか!?」

「公式リークだろこんなの……!? いや違う……蛇の道……〈ヴァンダライズ〉なら……!」


 再点火もまた一瞬。

 元より重大な危険があることは(なぜか)完全に周知され、それを込みで集まった観客たちだ。恐れをなす者は一人もおらず、祭りの二次会とばかりに飛び石を踏み越えて崖の向こう側へと渡っていく。


 しかしこんな声も上がる。


「だがあの数はさすがにきちーぞ!〈ヴァンダライズ〉、フレとか呼んでいいか!?」

「バカ、ライズ参加者だけの特典だろ! つっても、確かにあの質と量じゃ稼ぎはしんどそうだけど……〈ヴァンダライズ〉さん!?」

「ヴァンダライズじゃありません! でも、もし呼べる人がいるなら、どんどん呼んでください! なるべく多く! 早く!」

『キターッ!!』


 イトはこの流れに乗った。ライズ配信用のボールカメラにもこの光景を映し、「みんなのりこめー!!」と煽る。


 コメント欄は「モニター見てる場合じゃねえ!」という、枠を超えてくるパンダのスタンプで溢れかえり、そのそばから島に新たなシンカーたちが上陸してくる。


 熱狂のライズ会場は、たちまち超! エキサイティングなバトルゾーンへと変貌した。


「よし……よし! このままみんなの勢いに乗って島の奥まで行きますよ!」


 イトたちは碧瑠璃とうなずき合う。

 ここまでのことになるとは思わなかった。

 嬉しい誤算だ。けれど今こそ決戦の時!


「――そういうことだったんですね」


 不意に、脇から声が差し込まれた。

 ぎょっとしてイトが振り返れば、そこには分厚い純白の重甲冑集団。


「セ、セントラルアーマーの皆さん……!」

「おかしいと思いました。イトさんたちがわざわざ危険な場所でライズするなんて。島の奥に行くのが本当の目的だったんですね」

「あ、あうあうあう……」


 イトは返事に窮した。そう、スペシャルライズは餌。お客さんは戦力として利用するために集めたのだ。これは怒られても仕方ない……。炎上不可避……?


「……ッかりましたァ! オレらが前衛につくんで、イトさんたちは後ろからついて来てください!」

「へ……? あの……怒らないんですか?」

「えっ、何で?」


 ぽかんとした顔が双方から向き合う。


「いや、だって、わたしはファンのみんなを利用して……」

「そこにいる碧瑠璃さんのためなんでしょ?」


 言われて、イトたちは目を丸くした。そんな説明誰もしていない。


「イトさんたちが自分のためだけにファンを利用するはずないじゃないですか。んな器用なことできねーくらい誰でも知ってますよ」

「そうっすよ。私利私欲に走る時はチョコさんがビームでお仕置きしてくれるし」

「だいたいおれら、いつも推しのバフもらってるんでぇ! 利用するとか水臭えこと言わんでください!」

「み、みんな……!」


 イトは思わず目頭を熱くした。

 見ましたか碧瑠璃ちゃん。これが〈ワンダーライズ〉の推し……!!


「待てい!」

「なにい!」


 そんなファンとの心温まる交流に、別の怒号が割り込んだ。すわ今度こそ大炎上かと思いきや、


「イエス!」

「マイ!」

「ダーク!」

「クイイイイイイイイイイインンンンン!!!!!」


 声高らかに誓いの言葉を打ち上げたのは、一様に黒いスカーフを身に着けた集団だった。


「なっ……〈ルナ・エクリプサー〉!?」


 イトたちが驚いていると、彼らとの間に颯爽と黒い人影が割り込む。

 黒いウェイディングドレスにヒュベリオン。〈ルナ・エクリプサー〉の頭領アビスだ。

 彼女は悠然と彼らに呼びかけた。


「来たのね、あなたたち……」

『イエスマイダーク!』


 アイドルファンより一糸乱れぬ返事をする団員。


「わたしと共に戦ってくれる?」

『イ”エ”ス”ウ”ウ”ウ”ウ”ウ”ウ”ウ”ウ”ウ”!!!』


 しかしその地響きのような呼応を、それ以上の怒号で洗い流す新たなエントリーがあった。


『ウオオオオオオオオオオ!!!!!』


 この蛮族の群れのような大音声をイトは知っていた。


「なんでえ、カチコミなら一言くらい声かけてくれよなあイトちゃん!」


 威勢のいい声を上げたのは、一団の先頭に立つ、青い十字マーク入りの重歩兵の少女。


「モズクちゃん!? まさか……!」

「ああ。ライズには間に合わなかったが、メンバーの危機はクラスタの危機! 大剣使いは同志! 大剣使いは家族! 大剣クラスタ見参だぜ!!」


 ウオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!!!!


「うるせえ!!」


〈ワンダーライズ〉と関わりのある三つの勢力がここに集結した。そして戦場にはすでに碧瑠璃のファンも突入している。

 正に総力戦!


「先鋒は攻撃力のあるあたしら大剣クラスタが務める。右側面は敵がヤバそうだから防御が硬いセントラルアーマー、左側面と後方は〈ルナ・エクリプサー〉が守れ!」

「鉄壁!」

「イエス!」

「後のことは考えんなよ。イトちゃんたちを島の奥にまで届けるのがあたしらの仕事だ。行くぞおめえら!」


『鉄ウオオオオオオオオオオオオオオオエスウウウ!!!!』

「うるせえ!」


 確かにうるさい。うるさいが、これほど頼もしい仲間もいない。

 残り時間三十分。

 四方をがっちりとガードされ、イトたちはモンスターの群れの中へと突入した。


このアイドルいつも敵陣に突っ込んでるな。

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