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6話 親の心子知らず、ということかしら?

村長の家から自宅へ

別名焔父が可愛そうな場所へ


凍「今回の話読まなくても内容が分かるって嫌だな」


分かりやすさって大事ですよ?

では、本編どうぞ~

村長の家から自宅に戻る途中で擦れ違った知り合いに適当な挨拶をして帰宅した。

色々と妬むような嫌味と皮肉を浴びせられたが基本的に『頑張れ』的なことを言われた。村のオスにツンデレが多すぎる不具合が……やっぱオスのツンデレは辛い。


家に着いたら焔の親父さんが肩で息をして待っていた。完全に焔をロックオンしているのかと思ったら、意外と俺にも殺気立った視線を飛ばしてくる。父親の意地か?

できることなら関わりたくないな。


【焔、本当に凍に着いていくつもりか?】

「うんっ」

【そうか……】


こっち睨むな。元はと言えば親父さんが焔が襲われても仕方が無い状況を作ったのが悪いんだろうが。自業自得だろ。


【それでも納得できんのが親心だ】


心を読まれただと!?


「凍は分かりやすいのよ」

「目で語る時多いですよ?」


知らなかった。まさか親父さんにまで読まれるほど分かりやすいなんて、何か嫌だ。

幼馴染の親父と以心伝心とか、吐き気がするな。


【貴様、かなり失礼なことを考えているだろう?】

「何の話やら」

「凍っ、早く寝床でゴロゴロしよっ」


焔は本当に親父さんに興味無いな。


【賛成だ。話もある】

「私と凍のイチャイチャタイムを奪う気だねっ!」

「焔だけじゃなくて私もですっ」

「……私は?」

「「吸乳狼は黙ってて!!」」

「…………グズン」

「おいおい、泣かすな」

【そもそも話を聞け!】


話が進まねえ……

とりあえず、ギャーギャー五月蠅いのを半分無視して家に入ると全員着いてきた。親父さんはずっと俺の家に泊まっているのか家の中に結構匂いが残っている。気持ち悪いな。

俺の両親は何故追い出さなかったのだろうか?


「あ~、焔に雷に花子はちょっと席外してくれ。両親と親父さんと話がしたい」

「え~、お父さんのことなんて放っておこうよ~」

【焔っ!?】


親父さん泣きそう。


「凍の寝床……ちょっと見てみたいわね」

「……毛とか落ちてないですかね?」


何ヶ月村から離れてたと思ってんだよ。俺の両親なら放置するか自分たちのスペースにしちまってる気がするが。


【おかえりなさい、凍。村長との話し合いの結果を聞かせてもらえるかしら?】

【……母さん、尻尾は駄目。毛が抜けちゃ、ギャアアアアアアッ! 抜かないでええええええええええ!!】


今日も俺の両親は仲良しだな~

あ、狼って尻尾の付け根とか敏感で弱いんだよ。お袋は的確に1番痛い尻尾の先端を攻撃してるけどな。


「……凍も毛を抜かれたりしたいのかな?」

「それよりも私たちの体力が問題でしょう?」

「思い切って、縛っちゃいましょうか?」


手錠を出すな手錠を。そして毛は抜かれたくないぞ。痛い。


「とにかく、私たちは寝床に行くから早く話しちゃいなさい」

「待ってるよっ」

「凍君の寝床~」


行ったか。ああ、場所は焔が知ってるから平気だ。それに小さい家だし壁も薄いし仕切りがあるだけだから声も筒抜けで別れる意味は殆ど無い。


【さあ、話してもらおうかしら?】

【母さんは離して!!】

【騒がしいわね。ここが良いのかしら?】

【ああっ、そこはっ、そこは外れちゃうからっ!!】

【……凍、貴様の両親だろう? 止めろ】

「無理だ」


絶賛SMプレイ中のお袋は止まらない。でもプレイ中でも話はできる。親父は尊い犠牲になったのだ。


【父を生贄にするとは、成長したな息子よ】

【お前それで良いのか!?】

「褒めるなよ。照れるだろ」

【照れるところだったのか!?】


さっきから親父さんが忙しい。しかし親父も余裕だな。お袋に出力アップさせたいのだろうか?


【さて、凍はこれからどうするつもりなのかしら?】


急に切り替えてきたよこのお袋。親父虐めは継続中で、今は狼式逆十字固めに入っている。親父の関節柔らかいな。まだ折れないのか。


「少し休んだら村を出るつもりだ。流石に花子が居ると村では暮らせないし、どっか4匹で暮らせる所を探すさ」

【なっ!? 焔を連れて行く気か!?】

「焔も俺のつがいの1匹だからな。焔自身もそうしたいらしい」


あ、黙りこくった。前に娘が襲われるのを自然の摂理だって言って助けなかった手前口出しできないんだろうな。別に魔獣なんだからその辺のシガラミとか無視して言いたいことを言えば良いだろうに。従うつもりはないけどな。

そう言えば、俺の初めてって大概焔に奪われてるのか。第一夫人ってのも間違ってないな。花子が聞いたら怒りそうだけど。


『凍の匂い、薄くなっちゃった』

『仕方ないわ、随分と離れていたんだもの』

『凍君の残り香クンクン』


……変態と言う名の蝶が俺の寝床に居るようだ。昆虫系が2カ月近く前の匂いを嗅ぎ分けるとかどんなだよ。


【……焔ちゃん、痛ましいわね】

【いや、親として今の娘の発言は何とも言えない気分にさせられるのだが?】

【焔ちゃん、ずっと凍の匂いで興奮してたからなぁ】

【氷狼の村に連れてきたのは間違いだった!!】


何言ってんだ、俺は焔に出会えて良かったと思っているぞ。最近はヤンデレも落ち着いてきているしな。そしてあらかじめ察知できなかった原因は村長の家に泊まっていた自分にあると自覚してくれ。


『昔は敵ばっかりだったなぁ』

『例えばどんなのが居たのかしら?』

『私の凍に色目使うメス犬とか、凍のための私の体をジロジロ見るクズ男とか、私と凍が一緒に居るのを邪魔する太陽とか』

『分かります!』


分からねえよ! 太陽は別に邪魔しようとしたんじゃねえよ、自然の摂理に従って日付を進めただけだよ! そして俺はお前のせいでまともに告白させてもらえなかったことすらあるんだけど!?


【……ま、まあ、焔ちゃんも塞ぎ込むより明るくなったでしょう?】

【そうだっ、結果オーライというやつだっ】

【その結果があの壊れっぷりか?】


あれでもかなり落ち着いたんだけどな。村を探さずに旅したのだってそれが原因だしな。

しかし話が進まないな。


【まあ、焔ちゃんが幸せそうでなりよりだわ。で、凍は村を出るのは仕方ないとして、婚礼の儀式はしないのかしら?】

「…………何それ?」


聞いたことないぞ? そんなイベントで村が盛り上がったことも無かったはずだ。


【あら、知らなかったの? まあ、ここ20年は1度もしなかったし無理も無いかしらね】

【凍、氷狼の村にはな、重婚をする時に山の風龍様に挨拶に行き試練を与えてもらうって習わしがあるんだよ】


「行きたくねえ!!」


風龍って、水龍と同ランクの竜種じゃねえか! それもこの森に住んでいる風龍っていったら人間が手を出して街1つ壊滅させられた伝説のドラゴンの可能性大じゃん!!


【そうそう、山の風龍様は人間の街を壊滅させた方よ。キスタニア王都の南にその残骸が残ってるわよね】

【村長のそのまた前の村長がその時の村長に話だけ聞いたってくらい昔だったな】


それって何年前だよ!? 情報の真偽は2代も前の村長が聞いただけってことで確認のしようもなくね? てか龍の寿命だと有り得るから怖いんだよ!!


【女の子を3匹も囲おうっていうんなら、それくらいは熟してみせなさいよ?】


我が家にお袋に逆らうと言う選択肢は許されないのだった。

ちなみに、焔と雷と花子にこの話をしたら、


「婚姻の儀式っ!」

「期待に胸が膨らむわね」

「楽しみです!」


……雷の胸は膨らまなくていいと思うんだ。

というか部屋に戻れ。


「また私の胸を吸収する気だねっ」

「許しません!」

「……言葉って、難しいわ」


同感だよ。


焔父の可哀そうな話~


焔父【は? 何だこのコーナーは?】


早く早く


焔父【んん? あ~……殴りたい 谷に落とした 糞ガキを】


以上、娘をどこかの馬の骨に取られた哀愁漂う父親の姿でした

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