7話 狩りの常識だよっ
何故か帝都は長くなっちゃう
前回の帝都も長かったけど今回も結構な話数いくかもです
その分ストーリーは進むんですけどね
凍「いや、コメディパート長いのが原因だろ」
だってシリアス苦手なんですもん
読むのも書くのも
では本編どうぞ~
さて、ギンガとスバルのお別れ会BBQも終わって2人は荷物を整えたら東の森に帰って行った。明日俺たちが霊帝を連れて森に入ったら合流してくれるらしい。花子が匂いのある粉を広域に撒けば場所は分かってもらえるはずだ。
……この作戦穴だらけだな。
水龍が森を荒らすなって怒ったら全部台無しだ。水龍の空気読みスキルに期待しよう。
で、変態コンビが来る日の朝に帝宅を抜け出した。
そもそも幻狼の身体能力があれば帝宅の塀を飛び越すことなんて簡単で抜け出すための下見すら必要無かった。それに気付いたのはBBQの直後に帝宅の敷地内を散歩した時だった。
人間の常識と魔獣の常識が違うって実感した。
さて、ギャーギャーと騒がしい帝宅を背に帝都から東にある水龍の住む湖がある森に着いた。
入る前に花子が匂い粉を撒くと花子目当ての魔獣が寄ってきた。
【グヘヘ、姉ちゃん良え匂いやのぉ】
「死ね」
何かムカついたので近付いてきたゴブリンの首と胴体を泣き別れにさせておいた。皆から手が速いと怒られた。
「凍君、私のために怒ってくれたのは凄く嬉しいんですけどもう少し落ち着きましょう?」
「もし水龍が霊帝より私たちを気に入ったらどうするつもりかしら?」
……はい、すいません。俺じゃ水龍には勝てませんね。幻狼10匹居てようやく引き分けに持ち込めるような相手だし。
【おお、良い匂いがすると思ったら良いメスが居るじゃ】
「失せろ」
何か赤い熊が来たけどやっぱりムカついたから首を跳ねた。やっぱり怒られた。
だってあいつ3匹全員をジロジロ見てたんだぞ?
「凍が私のために怒ってくれたっ!」
スゲー嬉しそう。
分かったから抱き着くな!
「……何のコント?」
「ギンガ、見ちゃいけません」
何やら心外なことを言いながらギンガとスバルが森の前で待っていた俺たちに合流した。
さて、我らはこれから帝都で最も重要なミッションを熟さなければならない。
「ではここに、水龍ロリコン化計画の発動を宣言する!」
「うんっ」
「楽しみね」
「頑張りますっ」
「待て!」
「頑張りましょうね?」
「分かった」
「待て!」
何やら霊帝が五月蠅い。一体何の文句があるって言うんだ。
あ、ギンガはスバルに言われたから頑張るみたいだけど中身は分かってなさそうだな。3歳児だし当たり前か。
「ロリコンってどういうことだい!?」
うわ、凄く根本的な質問だった。まさかそこから説明することになるとは思わなかったぜ。
「レイちゃん、とても簡単なことです。レイちゃんは何歳ですか?」
「8歳だ」
「水龍の予測年齢はいくつですか?」
「ドラゴンで成獣間近と考えれば200歳前後だろうね」
「水龍がレイちゃんを気に入ったら、ロリコンですね?」
「…………あ」
気付いてなかったのかよ。というか前の騒動でもお前の周りにはあれだけロリコンが居たんだから今回も上手くいくって。
「大丈夫だよっ、この計画の成功は凍が保障してくれるって!」
焔さん無責任だよ。
「母さん、ロリコンって何?」
「幼女を見てハァハァする看護婦さんみたいな奴のことよ」
「変態ってこと?」
「正解。良くできました」
「んっ」
スバルも充分変態だけどな。何をしているかはご想像にお任せする。ただ一言、霊帝がスバルとギンガの方を意識的に見ないようにしているとだけ言っておこう。
「さて、水龍との再会だ……全員逃げる準備は万全か?」
「大丈夫だよっ」
「問題無いわ」
「神は言っています、まだ死ぬ運命ではないと」
「何で逃げることが前提なんだよ!?」
「スイ様はそんなに怖くないよっ」
「ギンガ、皆はギンガみたいに良い子じゃないからスイ様も怒るのよ」
スバル、純粋なギンガに変なことを吹き込むのは止めてもらおうか? ギンガに本当の親じゃないってバラすぞ?
「焔たちに凍が『夜の準備は万端』って言ってあげましょうか?」
「すんませんマジ勘弁してください」
弱い? HAHAHA、生き残るためなら何でもするのが魔獣なのだよ。
騒がしい一行ではあるが力だけは本物なので花子が匂い粉さえ撒かなければ魔獣たちは隠れて襲ってこない。たまに馬鹿が襲い掛かってくるが焔と雷が惨殺ショーを行うので襲われてから暫くは襲撃が無い。
「私たちのじゃなくて、凍の惨殺に怯えているのだと思うわよ」
何を仰る雷狼さん。俺ほど苦しまないように一瞬で昇天させてやっている氷狼なんて珍しいぞ。普通は首を噛んで窒息死させるからな。
「私たちを襲おうとした魔獣は凍の攻撃範囲に入ったら縦に真っ二つか首が落ちるかの2つだもんねっ。昔の凍の方が殺すまでに時間掛かって残酷だったよ」
「例えば?」
「小っちゃかったから力が足りなくて30分くらい息吸いづらい状態にさせられたり、窒息させるのが面倒だからって手足を切り落として地面に張り付けた後出血多量で死ぬまで目の前で手足を食べたりだねっ」
「体が小さいと殺すまでに時間が掛かって不便ですよね」
「全くだ。成長して速く殺せるようになって本当に嬉しいな」
「ギンガの教育に良くないから余所で話してくれないかしら?」
何を言っているんだ。森で生きるなら獲物確保のためにも速やかに息の根を止めないと他の奴らに狙われるだろうが。
獲物は速やかに殺し、極力誰にも見られずに自らのテリトリーに運んで隠す。これが森に住むための最低限の常識だろう。
「それは魔獣の理論で私とギンガは人間よ」
「ギンガ君は鬼人じゃないんですか?」
「私の家族なのに変わりは無いわ。種族なんて知ったことじゃないわよ」
「母さん!」
「ギンガ!」
はいはいバカップルバカップル……違う、馬鹿親子だった。
お前らもう付き合っちゃえよ。
ギンガに本当は親じゃないけど愛してるって言っちゃえよ。
……何か『お前が愛してるって言えよ!』って誰かに言われた気がする。
「…………ねえ、凍」
何やら霊帝が俺を睨んでいる。
水龍の湖まではあと10分くらいだから手短な要件だと良いんだがな。
「何だ?」
「今回の主役は僕だよね?」
「そうだな」
霊帝の婚約者探しだしな。
「この森に来たのは僕のためなんだよね?」
「そうだよ」
「じゃあ、じゃあだよ?」
速く要件を言え。湖に着いちまう。
「何で僕がほとんど空気なんだい?」
「…………HAHAHA何を仰る霊竜さん」
「その沈黙が答えだよこのヤロオオオオオオオオオオオ! 分かりやすく視線まで逸らしてっ、僕の目を見て同じことを言えよおおおおおおおおおおおおお!」
まったく、五月蠅いお子ちゃまだ。
あ、湖が見えてきた。水龍は栄えある変態紳士になってくれるかな?
計画名は、まあ勢いです
ロリコン化計画って考えてみると光源氏みたいなもんですかね?
霊帝「僕の周りはロリコンばっかりか!?」
だって貴重なロリ要因ですから
では次回もよろしくおねがいしま~す




