8話 霊帝謁見
5の倍数の日に更新と言いましたが、
あれは嘘になりました。
凍「おい!」
焔「嘘って」
雷「本当に無計画なんだから」
花子「計画の前倒しですか?」
ご迷惑おかけしてスミマセンm(_ _)m
この章は1日1話になります。
依頼を受けた翌日、王子の依頼をさっさと片付けてしまおうと思って朝から聞き込みと捜索の段取りをしていたら宿に客が来た。
「某はジン・サイキミヤ。霊帝に仕える侍、霊士にございます」
何か侍所から霊帝の遣いだそうだ。霊士って面白い名前だな。士は侍って意味もあるが。
「来度の不振な魔獣の討伐を引き受けた貴公らに霊帝が興味を抱きました。是非顔を見たいと」
おいおい、王子、少しは隠しておいてくれよ。俺たちは人間じゃないんだぞ? それが人間の国のトップと会うなんて危険過ぎる。
「それと、霊帝から手紙を預かっております。謁見するしないに関わらずこの場で読んでくださるようにと」
そう言って部屋の外に移動してしまった。中身を聞かないようにって配慮か?
何々……焔と花子は近い。雷を見習え。
[やあ、こんにちは、幻狼さんたちに蝶族のお嬢さん。
初めまして、霊帝だよ。名前は無いよ。それが霊帝の霊帝たる所以だからね。気軽にレイちゃんとでも呼んで欲しいな。
手紙では分からないだろうけど僕は女、いや、メスだ。それはそれはロリでペッタンコな美少女だよ。胸に悩みを抱える娘は是非僕と友達になって欲しいね。共に巨乳を打ち倒す同士になって欲しいくらいだ。
おっと、話が変な方向に行ってしまったね。帝宅から出れない鬱々とした生活をしている弊害かな? 全く、権力者なんて望んでなるものではないね。欲望の権化のような老人たちの顔を見るのも飽き飽きだよ。僕は生まれつき権力者になることを強制された身だけどさ。
そんな僕の望みを叶えてくれたら僕から君たちに素敵なプレゼントをしようと思っているんだ。1国の主のプレゼントだ、期待してくれて良いよ。
望みと言うのは簡単でね、この国に巣食う権力に群がる害虫退治をして欲しいのさ。そうすれば僕も晴れて帝宅の外に出られる、君たちは正体をバラされない、誰にとっても良い事だろう?
ちなみに手伝わないからと言ってバラそうなんて思ってないよ。失敗しても君たちに介入する気なんて無い。幻狼3匹に蝶族が本気で暴れたらこの国は滅亡するからね。
では、君たちが僕に会いに来てくれることを祈っているよ]
…………何だこれ?
「変な手紙~
でもレイちゃんとは仲良くなれそうっ!」
「そうですね! きっと仲良くなれると思います!」
雷の胸見て言わないの。
「不思議な話ね。私たちが幻狼だとバレているのは王子繋がりで納得はできるけど、花子が蝶族だなんて何故分かるのかしら?」
そうなんだよな。王子が俺たちのこと話すってのは想像できないが有り得ない話じゃない。でも花子は別だ。王子は花子が魔獣だと知ってるが何の魔獣かまでは知らない。
霊帝はどうやって花子の種族を知ったんだ?
「……仕方無い、行くか」
「本気かしら? 明らかに怪しいわよ?」
「行かなきゃ分かるもんも分からないままだろ?」
「私は心配です。この霊帝って人は、何を考えてるか分かりません」
それは直接聞くしかないだろうな。てか雷の胸の話はもういいのな。
「凍、行くなら行こ?」
焔は本当に俺に従順だな。少しは疑ったりしてくれても良いんだよ?
「凍を疑ってもレイちゃんのことは何も分からないもん。だったら正面から乗り込んでも会わなくても結局同じだよ」
わ~お、乗り込むとか過激。ま、その通りだけどな。
「霊帝の召喚に応じていただいたことに最大限の感謝を」
霊士もこんな仕事して大変だな。
さて、乗り込むとしますか。
「やあ、よく来てくれたね。歓迎するよ。僕が霊帝だ」
帝都の最北にあるデカい敷地には和洋様々な建物が並んでいた。本当にアンバランスな街だ。霊帝は真ん中の侍屋敷みたいな建物に居た。
通された部屋には時代劇で出てくるような上座がある。主の顔を隠せるスダレも付いた部屋だった。ただし俺たちと霊帝以外は誰も居ないしスダレも1番上まで上がっている。
しかし驚いたのは霊帝が本当に幼女だったことではなく、
「この臭いは、ドラゴンか?」
「流石幻狼だね。そう、僕は霊龍。リストカット帝国の霊帝は代々契約した霊龍の一族が担うのさ」
ルビーみたいに紅い龍眼、子供特有の小さな体躯、若いが故に人化しきれていない角と尻尾。それが俺たちを招いた霊帝の姿だった。
霊龍というのは生き物の感情に干渉できるドラゴン種のことだ。と言っても気分をちょっと変えるくらいの干渉しかできない。食べ物を見て『あ、美味しそう』とか『あんま旨そうじゃないな』と軽く思わせることくらいしかできないのだ。
あと五感が優れているらしい。
1番の特徴は1度で必ず2匹生み、強い方を育て弱い方は放置するという教育方法だろう。
ドラゴン種としては中級で幻狼が4匹くらいで互角だ。今の俺たち全員と互角と言える。
「ふふっ、炎狼の君とは本当に仲良くなれそうだ。雷狼の君とは無理だと思うけどね」
胸ですね分かります。
「さて、ここに来てくれたということは僕の頼みを聞いてくれると見ても良いのかな?」
「それを決めるためにここに来た」
「ああ、そうだね。確かに僕は胡散臭すぎたね。謝るよ。あの手紙もほとんど脅しているのと変わらない。いやはや、中々思い通りの感情を伝えるのは難しいね」
手紙の時も思ったが、こいつの話し方まどろっこしいな。
「では霊帝のあなたに聞きたかったのだけど、どうして会ったこともない花子が蝶族だと分かったのかしら? 私たちのことはキスタニアの王子を使えば調べられるかもしれないけど、花子のことはそうもいかなかったはずよ?」
「そ、そうですっ! 何で私のことを知っているんですか?」
「簡単だよ。この帝都は僕の結界の中だからさ。この街の中で、僕が知覚できないことはほぼない。知覚さえできれば相手が魔獣かそうじゃないかなんて簡単に分かるんだよ」
結界?
「一部の魔獣が使えるセンサーみたいなものさ。狼は鼻が利くだろう? 僕は総合的に五感が優れているのさ。その範囲が帝都全域だからその範囲を結界と呼んでいる、それだけだよ」
ああ、五感が鋭いってことは耳は良いし鼻も利く、花子や俺たちを知覚したら魔獣なら簡単に分かるか。
蝙蝠の超音波、狼の鼻、猫の夜目などの色々な特殊感覚を持っているのだろう。
「ドラゴンって凄いんですね」
「相手の感じていることが分からないと上手く干渉できないからね。僕たち霊龍は感じ取る力が発達しているのさ」
「で、一体あの手紙はなんだったのかしら? 私たちに駄目政治家を殺せって言ってるように思えたんだけど?」
「別に殺す殺さないは君たちに任せるよ。奴らの横領の証拠資料を僕に届けてくれるだけでも構わないんだ。そうしたら僕が叶えられる範囲で君たちの願いを叶えよう。
例えば、好きな相手と結ばれる、とかね?」
霊龍なら相手への好意をちょっと弄るだけでいい。好感を持っている相手から告白されたら普通はOKするからな。普通の王様なら精神的な褒美は難しいが霊帝のこいつならそれも可能ってことか。
「焔、って言ったよね? 君が望むなら氷狼君が君に好意を抱くようにするのも可能だよ? その上で君が望む彼に近付けることも可能だ。どうかな? 悪い話じゃないだろう?」
げっ、こいつ焔篭絡しにかかった。
「巫山戯ないでっ!!」
っ! ……不覚にもちょっとビビリました。焔がメッチャ怒ってます。
なして?
「私が望むのは凍が自分の意思で私を好きになってくれることだよっ! 誰かが凍の心を弄ったらそれはもう凍じゃない! 別の誰かだよ! そもそも凍に介入する? できるものならしてみなよ。その瞬間、私はあなたを殺す。ドラゴンだろうと人間だろうと関係無い。凍を凍じゃなくする相手は、絶対に許さない! 何があっても殺す! 何も無くても殺す! 絶対に殺す! 今直ぐ、ここで、2度と凍に何かをする前に!!」
感情昂って法剣に手かけてる。さっさと止めないと面倒なことになるな。
「ふむ、例えが悪かったようだね。謝ろう。僕は凍には絶対に手を出さないよ」
え? 思ったより素直?
さて、新キャラ登場の第8話でしたが読者さんたち的にはどんな印象だったでしょう?
まだ1話しか出てないのでどんな感想か気になります。
そして、ちょっとしたお知らせです。
次章のコスプレアンケートを取りたいと考えています。
「これだっ!」と言うコスプレがある方は感想にて教えてくださると作者のモチベーションが上がるかもです。
アニメやゲームなら作品名とキャラ名を添えてくれれば調べて使ってみます。
期限は18話が投稿されるまでになります。
さてはて、どんなコスになるやら。
べ、別にネタ切れってわけじゃないんだからねっ!
凍「いや、どう見てもネタ切れだろ?」
焔「毎回3個か4箇だもんねっ」
雷「だからあなたは駄目なのよ」
花子「新妻コス……キャー!」
いや、最後のってコスプレか?




