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17話 撤退

さて、そろそろ新生活が始まる時期と思いますが、皆さんはどうでしょうか?

僕は、しばらくネットが使えません


凍「え?」

焔「え?」

雷「ちょっと」

花子「更新は大丈夫なんですか!?」


あ~、出来る限りストックを書いて投稿予約しておきますが、

ネット環境が復活するまでの量が書けてないので間に合うか分かりません!

4月15日にはネット環境が復活するのでそれまではスマホでコメント返信くらいしかできません

ご容赦をお願いいたします<m(_ _)m>


凍「何て爆弾発言だよ」

雷「いつだって作者突然よね」

焔「じゃあ早く本編進めないと!」

花子「何が『じゃあ』なんでしょう?」


さあ?

では、本編どうぞ~

さて、王様が色々と決める前に雷狼との戦闘が決定した。俺たちは体勢を整えるためにジャングルに戻り、魔都の戦力を迎撃する準備をすることにした。


【凍君、最初に色々と言うべきことがあったと思うのだがな?】

「まさか気付いて無いとは思わなかったんですよ」

「凍のせいじゃないよっ」

「お父様、行く前に見つかる可能性が高いって言ったじゃないですか……」

「ほら、娘に呆れられてるわよ?」

【貴様等、我が1族の長だということを全く気にしておらんだろう!?】

「当り前でしょう」

「凍以外はどうでも良い!」

「お父様の価値なんてお母様の半分以下です」

【いやああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!】


絶叫する王様の背中に乗った状態でジャングルの中央に乗り付け、背中から飛び降りジャングルに着地する。俺も将来娘にあんなこと言われて絶叫するんだろうかと思うと怖いな。

着地する瞬間、何かを忘れている気がしたが今更遅いかと思い直し気にせず花子の実家の洞窟を見ると花子の兄貴たちと母親が居た。母親は最初こそ笑って迎えてくれたが、どんどん顔が強張っていく。

……俺の後ろに焔が居るの忘れてた。


「あら、あらあら?」

「何かすみません」

「何で謝ってるのっ?」

「大人には色々あるんだよ」

「凍と私は同い年だよっ!?」

「焔、大人には色々あるのよ」

「雷までっ!?」

「焔、大人って、大変なんですよ?」

「花子は確かに成虫だけどさっ!!」


ちょっと顔色が悪くなり始めた夫人を兄貴たちが両側から支えるようにしている。兄貴たちは焔の暴走状態を知らないから自分の母親がどうなっているのかさっぱり分かっていないようだ。それでも話には聞いていたようで焔を見た後に俺に視線でどうにかしろと訴えてきた。俺にどうしろと?

周囲から浴びせられる様々は視線を全て無視して人化した王様を迎える。俺たちよりも少し遅れての着地だったが、夫人が何やら顔を青くして息子たちに支えられている姿を見た瞬間駆け出し、息子たちを弾き飛ばすように夫人を抱き留めた。


「どうした! 何があったんだ!? また凍君が何かやらかしたのか!?」

「何故俺?」

「あなた、あそこに炎狼のお嬢さんが」

「…………あ」


うん、王様も忘れてたよね。ジャングルのメス子供が焔にトラウマ植えつけられてること。特に夫人は花子を除けば1番近い位置で焔の殺気を浴びちゃってるから恐怖心の凄いことになっているみたいだ。ドンマイ!


「お父様、こうなると分かっていたのにジャングルの中央で降ろすだなんて、何を考えているんです?」

「花子よ、肩が! 肩が砕ける!!」

「あなた、まさか忘れてたなんて言わないですよねぇ?」

「我が妻よ、竜骨折りはマズイ!!」


おお、修羅場修羅場。傍から見ると妻に抱き締められ、娘に肩を揉まれているようにしか見えない。


「凍、笑ってる場合じゃないわよ」

「そ、そうだとも! せめて花子だけでも止めて」

「王様は放っておいて早く人間たちへの対抗策を練らないと」

「本当に敬意の欠片も持ち合わせておらんのか!?」

「凍ぅ~、私は何すればいいの?」

「俺と一緒に居て、なるべくジャングルの魔獣たちには近付かないようにな」

「は~い!」


『よくできました』と頭を撫でてやってから兄貴たちや炎猿が待っている切株の円卓に向かう。完全に『イチャイチャしやがってこの糞ガキ』と言いたげな視線を向けられているがスルーして円卓の空いている場所に座る。焔は俺の少し後ろの地面からはみ出した根っ子に座って足をプラプラさせている。俺の両隣には雷と花子が居る。

話し合いが始められる環境になっても王様は夫人と遊んでいるので満場一致で無視して会議を進めることになった。議長は長男、司会進行は炎猿の長、俺たちは外部アドバイザーだ。昆虫たちはそもそも炎猿の能力が怖くて隅っこで固まっている。

俺たちは王様の背中に乗って集めた情報を話した。人間たちの兵の数は100人が乗れる船10隻分、投石器のような大きな武器は無い、雷狼が最低でも20匹は居る、他にもトビ鶏とかの魔獣が居てもおかしくない、黒スライムが数匹確認されていてこいつに寄生されると敵になる、などなど俺たちが最低限知っている情報を話した。

ジャングルの魔獣たちは人間の数は問題ではないことにホッとしていたが、雷狼が最低でも20匹居ることを聞いた瞬間に絶望的な顔をした。てか俺に何かを求めるような顔をした。コッチ見んな。


「一応、蝶族の巨体を活かした風圧で魔都の軍勢をジャングルに近付けさせない、って戦法があるが、雷狼を全部バラバラで投入されたら必ずジャングルに侵入される。そうなってからの対処法が何か必要なんだが、何かないか?」


俺の質問に誰も答えない。かなり重い雰囲気の沈黙が円卓を包んでいる。気にしていないのは焔だけで雷も花子も考え込みながら沈黙を保っている。一応長としての責任感からか司会進行の炎猿が抜けてきた雷狼を強い魔獣で囲んで袋叩きにするという作戦を提案してくれたが、蝶族にあえて雷狼の抜ける穴を作れるかと訊いてみたら分からないと返されてしまった。

そんな重々しい雰囲気の円卓で雷が手を上げた。


「長の提案しか現実的な作戦が無いのだから、ここから煮詰めていきましょう。袋叩きにするにしても、雷狼の筋力は同種族の私が脅威に思う程よ。だから、ここは何か臭いものを嗅がして動きを鈍らせるなんてどう?」

【臭いもの……スカンクが居るな】

「あら、どれくらい臭いのかしら?」

【この前狼の子供がウッカリ嗅いでしまって気絶していたな】


スカンク居るのかよこのジャングル。

この案に便乗するように炎猿から最も遠い所に居た昆虫の中から体長50センチ程の1匹が出て来た。背中が派手に光を反射する緑色の甲羅に覆われている節足の6本脚、カメムシだ。人間には非常に臭くて気持ち悪いと避けられている。哺乳類な魔獣からもかなり避けられている。


【俺たちも、匂いだったらスカンクを手伝えるぞ】

「ああ、それは頼もしいな。だからなるべく近付かないでくれ」

【うむ。ではジャングルに入り込んできた雷狼の鼻を壊してやろう!】


気合の入ったカメムシ、というか匂いを扱う昆虫たちはジャングルに戻って行った。その後、嗅覚がほとんど無い魔獣が雷狼を袋叩きにし、俺たち鼻の利く魔獣は人間とかトビ鶏とかを相手にすることになった。

会議自体はそのままお開きとなったが、問題は魔都の連中がいつ来るか分からないことだ。ジャングルの入り口付近まで戻ってみると幻狼の視力で見える範囲には誰も居ない。花子の背に乗って上空から観察してみると港町からジャングルに向けて進軍しているようだった。人間たちは軽鎧で明らかに戦争をしようというには防御力が低いと思った。人間を守るように周囲を魔獣が囲んでいる。雷狼、トビ鶏、向こうの大陸の昆虫カマキリとかカブトムシとかだ。


「あと2時間くらいかしら」

【じゃあ皆に準備するように言わないとですね】


準備と言っても蝶族は風の準備、スカンクとカメムシたちが雷狼用に待機、俺たちが雷狼以外用に待機だ。

ジャングルに戻るとやっぱり焔に怯えた反応があるが、まあ気にしない。非戦闘員は緊急事態ということもあって種族関係無く非難している。以前とは違い最初からある程度の護衛が付いているみたいで焔は絶対に来ないようにと釘を刺された。

そしてジャングルを人間でも目視できる距離に魔都の連中が近付いた。今回はジャングルに被害が出ることを覚悟した作戦なのでジャングル自体は非常に静かだ。

『突撃!!』との号令に従い、雷狼を筆頭に魔獣のみがジャングルに向けて突撃してくる。編隊を組むわけでもない正面からの突撃はちょっと怖い。大人の雷狼って体デカいんだよ。ちなみに、トビ鶏とか昆虫たちはそんなに怖くない。だって個体の戦力は雑魚だもん。

作戦通り、ジャングルの入り口付近で人化して待機していた蝶の王族は魔獣の姿で強風を生み出しジャングルに近付けないようにしている。

そして、風圧の壁をすり抜けた数匹の雷狼にはスカンクやカメムシが隠密性を活かして近付き強烈な匂いを浴びせている。具体的に言うとカメムシの匂いで『鼻が曲がる!』と鼻を押さえて騒ぐ雷狼の鼻にスカンクが屁を噴きかけている。パッと見は物凄く嫌な光景だ。スカンクの屁を喰らった雷狼は袋叩きにするまでもなく、あまりの匂いにその場で気絶した。そして苦しむ黒スライムが口から出てきて嗅覚の無いミミズがジャングルに住むクワガタの方に叩き出し、クワガタが黒スライムを挟み殺している。

俺たち鼻の良い組は悪臭の効きづらいトビ鶏や昆虫を相手にすることにしていたが、そもそも蝶族の風圧は雷狼以外の魔獣が突破できるほど生易しいものではないようで、何もすることが無い。


「暇だな」

「暇だね」

「暇だわ」

「暇です」

「「「花子は手伝って来いよ!!」」」


盛大なフリだった。

そうして5匹ほどの雷狼がジャングルに侵入し、撃破された時に魔都の人間たちの方から法螺貝の音色が聞こえてきた。

何だ何だと戸惑う俺たちを余所に黒スライムに支配された魔獣たちがジャングルから離れて行った。


「引くの、早くね?」

「……最初からジャングルには興味が無い、とかかしら?」

「もうっ、時間を浪費させられた気分ですっ」

「あ、帝都の方に行くみたいだよっ」

「マジか」


【ふっ、魔獣を支配できると言っても所詮は人間。ジャングルの総力には手も足も出んようだな】

「流石に疲れた。我は休むぞ」


迎撃中、俺たちと同じように暇だった炎猿の長と王様が俺たちの方に来た。王様は歳も考えると体力的にキツいらしい。炎猿は自惚れてるが、知ったこっちゃねえ。

ともかく、魔都の引き際が気になる。ジャングルは本当についででどうする気も無かったみたいな印象を受けた。これってつまり、ジャングルで戦力を得る気は最初から無かったってことか?


「凍っ、レイちゃんの所に行きたい!」

「そうね。この分だと隠し玉がありそうで怖いわ」

「人間って、隠し玉好きですよね」


本当にな。

とりあえず、魔都の連中を遠回りして帝都に戻ることになった。


戦争、それは情報と物資がものを言う……何でしょう?


凍「平和ボケした作者が言っても説得力無いから何も言わなくて正解じゃね?」

焔「平和ボケ?」

雷「闘争心に縁の無い生活をした作者みたいな人のことよ」

花子「魔獣には縁遠いはなしですね」


そうなんですよね

では、次回~

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