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10話 探索開始です

午前の部は終了、さてどうしましょう?


凍「いや、もう書いてるだろ」

焔「もう投稿してるもんねっ」


では、本編どうぞ~

結局、飯は屋台で適当に食べ歩こうということになった。飯屋に近付くだけで他の客が青褪めるんだよ。あんな顔されて見られたら飯が不味くなる。向こうは俺たちを見ただけで飯が喉を通らないだろうが。


「色々なお店が出てるねっ」

「串焼き、練乳焼き、カステラ、人間饅頭、武器の形をしたお菓子まであるわね」

「本当にお祭りなんですね」


いくつか変なのあるが気にしたら負けだ。

てか練乳焼きってタイヤキみたいな生地で中に練乳が入ってるみたいだな。大丈夫なのか? あ、餃子発見。


「とりあえず、お婆ちゃんの匂いを辿りながら屋台を巡る感じで良いか?」

「賛成~」

「私もそれで良いわ」

「まずはどこですかね?」


今は闘技場から屋台に向かっている、つまり北に向かっている。お婆ちゃんの匂いも実はそっちに色濃く残っている。

というか、


「ああ、あの婆さんはウチの常連だぜ?」

「匂いが濃いと思ったら常連かよ」

「は? 何だって?」

「何でもねえよ。また串焼きくれ。今度はネギとかカワとかよろしく」

「あいよ」


オッチャンの屋台にお婆ちゃんの匂いが色濃く残っていると思ったら常連だったか。てかこのオッチャンもかなり情報持ってそうだけど何者だよ。本当に変な奴に縁があるな。


「それにしても、お前さん金持ちだね~。宿はこの街で1番高いし服は4人分新品、根無し草にしちゃおかしくねえか?」

「あんたは情報屋かっての」

「街で屋台なんかやってっと色々と入ってくんだよ。今日なんてな、お前さんトコの赤いお嬢ちゃんがやらかしたって聞いてるぜ?」


あちゃ~……まあ良いか。


「ちょっと過激なんだよ。頼むから刺激して欲しくないんだが、色んな奴が構いたがる」

「人を惹きつける何かを持ってんじゃねえか? それはお前さんの方が知ってそうだぜ?」

「そりゃあ夫婦だからな」

「惚気やがった」

「悪い悪い。じゃ、またな」

「おう、また来いよ」


まあ、雷も花子も色々と他者を惹きつけるけどな。胸とか尻とか、髪とか匂いとか。

朝の雷は凄かった。本当に花子の清楚な見た目って大事だわ~


「あなた、色んな所で元気なオジイサンと仲良くなるわね」

「王都でも武器屋のオジイサンと色々話しますよね」

「凍は冗談を飛ばし合える相手と仲良くなるからねっ」


王都の武器屋、魔都の屋台、ジャングルの王様……オッチャン多いな。これ以上は増えないよな?

さて、お婆ちゃんの匂いは屋台から通りを1つ西に延びている。そっちの方にデカい家があるかと言うと、あるっぽい?

何か凄く、良い感じの家がある。そんなに大きくない家だが若い1組の執事とメイドが掃除したり洗濯物干したりしている。

そして、飾り付けが凄く良い。ステンドグラスやヌイグルミがメインで成金のような派手さは無く見ていて何の嫌味も感じない。椅子や机の家具は木製でデザインも綺麗に統一されているのが普通のガラス窓から分かった。

あ、氷狼の視力が成せる技だぞ。人間がこの家の内装を見ようと思ったら完全に犯罪者になると思うぞ。


「私もあんな家が欲しいなぁ~」

「良いセンスだわ。子供っぽ過ぎず、大人っぽ過ぎない」

「何だか憧れますね」


全員の見解が一致したようだ。まあ万人受けしそうなインテリアだしな。執事やメイドも掃除がしやすそうだ。

ちなみに、闘技場で覚えた匂いが1つだけあった。


「匂いが繋がったな」

「そうだねっ」

「この家に侵入するのは難しいわね。小さくて入ったらバレるわ」

「匂いが繋がっていなかったら危なかったですね」


本当だよ、ここで途切れてたら探し直しだった。

そして焔がきっとお婆ちゃんの家に入るのを嫌ったと思う。


「じゃ、次はこの匂いを辿るか」

「は~いっ」


さて、次の匂いは脂肪の匂いが強い。そしてそれなりに歳の行った男だ。

……デブジジイの匂いを辿らなきゃいけないかと思うと気が重い。

意外なことに馬車とかに乗った様子は無く男の匂いは数人の護衛らしき男たちの匂いを伴って街中を進み続けた。匂いはお婆ちゃんの家から西にある図書館やちょっと大きめの屋敷に続いている。他にもいくつかの館に続いているがそれはかなり薄い匂いであまり行ってないのが分かる。


「屋敷と図書館のどっちかかしら?」

「他の匂いは繋がっていないんですよね?」

「う~ん……実は繋がってるんだけど、匂いが多すぎてどれを辿れば良いのか分かんないんだよぉ~」


そう、選択肢が多すぎる。でも1つ変なこともある。

俺、焔、雷の全員が覚えている全部の匂いが図書館にそれなりに残っている。毎日通っていた時の匂いの残り方だ。政治家って毎日図書館に用があるのか?

つまり、図書館に何かあるかもしれないってことか?

……おおう、ゲームみたいになってきたな。


「凍、楽しそうだねっ」

「何をニヤケているのかしら?」

「ちょっとな」

「思い出し笑いはエッチだって言いますよね」


いや、雷は蔑んだような目で見ないでくれ。焔は照れてクネクネすんな。


「図書館に会議場でもあるのかしら?」


魔都の図書館は闘技場から北東の位置にある。お婆ちゃんの家からは100メートルくらい離れている。これなら馬車は必要無いな。

サイズとしては結構大きいと思う。2階建てで軽くサッカーコートくらいの面積はある。

これは散策のし甲斐がありそうだ。というか面倒そうだ。ちょっと広過ぎる。

ともかく匂いが不自然に集まってる所とか探してみるか。数人の匂いだけよりも匂いが多い方が怪しいと思うのは俺だけ?

両開きの扉を潜って館内に入ると人の気配がほとんどしない。今日は闘技場で大会であることを考えると人が見当たらないのは当然だと思う。受付に眼鏡で三つ編みの職員が1人居るけど凄く退屈そうにしている。


「あら、いらっしゃい。今日は闘技場で大会なのに、珍しいわね?」

「ちょっとな。今日は他には誰も居ないのか?」

「ええ、私はクジ引きで当番だけど、他の職員は皆観戦に行ってるわ」


くじ運無いんだなこの職員。


「まあ、今日は本当に誰も来ないでしょうから自由に時間を潰していってちょうだい」


実に勤労意欲の無い態度で俺たちを招いてくれた職員はそれきり手元にあった本を開いて口を閉ざしてしまった。

これはありがたい。自由に館内を探索できる。


「さて、どこから探すかな」

「順当に匂いかしら?」

「宝石とか、貴金属の匂いのする人間の匂いが集中している所は無いんですかね? ほか、政治家ってお金持ちじゃないですか?」


いや、それは安直過ぎるだろ。てか政治家=貴金属って法則は古くないか?


「油ギッシュな人間の匂いが固まってる所があるよっ」

「そうなの? オバアサンの家に残っていた男の匂いはあるかしら?」

「……あるな」

「あったねっ」

「正解でしょうか?」


ま、それは追ってみれば分かるってことで。

意外とアッサリ匂いは見つかった。図書館の2階の奥に『関係者以外立ち入り禁止』って書いてある扉の奥に消えていっている。数にして20人は超えていると思う。ちなみにお婆ちゃんの匂いもある。


「何でお偉いさんの匂いが図書館の進入禁止エリアに固まってんだ?」

「それは中に入ってみないと分からないでしょうね」

「行くのっ?」

「まあ、行くしかねえだろ」

「じゃあ、開けますね?」


そう言って花子が無造作に扉に手を掛けたが鍵が掛かっているみたいで開かない。壊すか?


「どうしましょうか? 壊すのは簡単ですけど、人間が集まってしまう可能性もあるんですよね?」


そう、人間がいくら集まっても問題無いが戦闘になるのは絶対だろうし面倒過ぎる。だってこの街の人間って絶対執拗に追い掛け回しに来るだろ。

あ、焔が何かし始めた。自分の炎で鍵穴溶かし始めやがった!?


「これでどうかな?」


完璧ですお嬢様。まさかこんな方法があったとは。

……帝都でスネーキングミッションした時も同じ方法だったような?

気にしたら負けだ。

焔の頭を撫でながら扉を押すと少しの抵抗と共に奥に開いた。

もはや意味を成さないドアノブが寂しさを醸し出している気がするが放置することにした。これ見つかったら色々と問題になりそうだな。

扉の奥は普通に廊下が続いている。部屋もいくつかあるようだ。


「これは、匂いが万遍なく広がっているわね」


つまり、1部屋1部屋探していく必要があるってことか。

……面倒だなぁ~


スネーキングミッションの始まりです!

でも直ぐに頓挫しそうで怖い!


花子「どこか不味いところがあったでしょうか?」

雷「ドアノブ溶かすなんて人間の間では大問題よ」

花子「あ」


そもそも大会当日に図書館に居る時点でアウトな気がする

ワールドカップ放送中に火サス見てる感じでしょうか?


この小説は気にしたら負けですよねっ

では、次回は本格的な探索になると思われます

お楽しみに~


凍「……何で確定じゃないんだ?」

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