俺ツンデレ少女の事情を聞く
魔族は邪獣の存在を知っています。
王族が人間達に言っていないだけです。
ツンデレ少女が落ち着くのを待って5分。
ようやく落ち着いたので話を聞くことにした。
「どうしてこんな森の奥深くに来たんだ?」
「それは………早く強くなりたかったから……」
「だからって、いきなり森の奥はダメだろう。この森は奥へ行けば行くほどモンスターが強くなるんだぞ」
これはベルゴがくれた情報だ。
この街で冒険者をするならって何個かアドバイスをしてくれた。
でも、この街の住人は大体知ってるってベルゴは言っていたが、何でFランクくらいの実力(俺が見る限りで)しかないのにどうして森へ……しかも1人で……。
「早く……早く強くなってお金を稼がないといけないのッ!……じゃないとお母さんが……」
「……君のお母さんに何かあったのか?」
「お母さん……病気で倒れちゃって……しかもその病気が珍しいもので…薬を作る材料も高級なものばかりで……だから早くお金を稼がないといけないの…………」
「…………。」
ただのバカかと思っていたけど、実は母親思いのいいこだったのか……。
俺に何とか出来ないか?
「病名と薬の値段、薬の材料を教えてくれる?」
「……何で?」
「いいから教えてくれ」
「う、うん……病名はゴブリン病。一度かかったら肌がどんどん緑色に変色していって、2週間で全身変色し死亡するって言われている病気。薬の値段は、金貨5枚。薬の材料は、上級ポーションにゴブリンの血×10、
クラーケンの墨、邪獣の瞳、最後にこの森の奥にある精霊の実よ。上級ポーションとゴブリンの血は集められるんだけど他の3つが、特にクラーケンと邪獣がほぼ不可能なのよ。薬を作るのは不可能だと思うわ」
ん?何だって?クラーケンの墨と邪獣の瞳。へぇ、そんな材料がいるんだ…………って!俺持ってんじゃんッ!後は精霊の実って言うのを集めたら薬作れるじゃん!これって奇跡ッ!?
…………落ち着け、助かる見込みはあるんだ。ならゴブリン病にかかってから何れくらい経ったとか、いろいろ聞かないとな。
「お母さんはゴブリン病にかかってから何れくらい経った?」
「……3日です」
「ふぅ、良かった。それなら間に合うな」
「え?間に合うって?」
「ん?もちろん病気を治すんだよ」
「治すって言ってもお金がないよッ!私をからかわないでッ!」
ん?この反応は信じてないな……まぁ、会ってちょっとしか経ってないんだ、仕方ないか。
「別にからかってないよ。それにお金を集めても間に合うけど、薬を作った方が早いから薬を作るよ」
「薬を作るって言ったって材料がないじゃなあッ!数日でクラーケンと邪獣を倒せるわけないでしょッ!」
「まぁ、そんな事を言うのはこれを見てからにしてくれよ」
「これって何よ?」
「今出すって……【影倉庫オープン】」
「え……」
俺の影が広がり、クラーケンとアルゴスの上半身だけを影から出して、ツンデレ少女に見せた。
驚き過ぎて言葉にならないようだ。まぁ、そりゃあそうか、普通この2体が出てきたらこうなるわなぁ。
「これで分かったか?あとは精霊の実だけ。どうする?」
「……ど、どうするって?」
「精霊の実を取りに行くかどうかだよ」
「取りに行くに決まっているでしょッ!」
「よろしい。でも取るのは明日だな。もう日が傾いてきてるし」
「あんた何なのよ……」
「ん?」
「あんた何なのよッ!会って間もない私を助けようとするなんて何なのッ!?高価な素材をくれるなんて何なのッ!?バカなのッ!?」
えぇ~、人の善意をバカって言うッ!?酷くねッ!
まぁ、自分でもバカだと思ってるけどね。でも……
「バカって酷くないッ!それに誰もタダであげるとは言ってないだろ?俺のお願いを聞いてくれたらあげるよ」
「うッ!」
何かタダじゃないって言ったら急に肩を抱いてるんだけど……俺そんな事しないよッ!
体で払えなんて言うわけないじゃんッ!
「やめてくれないッ!別に君が思ってるようなお願いなんてしないから!」
「じゃあお母さんを……」
「するわけないじゃんッ!俺をどういう風に見てるんだよッ!」
「変な人だから変態……」
「変な人だからって変態とは限らないよねッ!?」
何で俺がこんなにツッコまないといけないんだよッ!
「そ、そっかぁ…………ふ、ふん!最初から分かってたわよ。で、お願いって何よ?私の出来る事なら何でもするわ」
「じゃあ……」
「やっぱり私の体をッ!?」
「俺そんな事言ってないよねッ!?……はぁ、俺が頼みたかったのは森の奥への案内だよ」
「案内?」
「そう。俺この街に来て間もないから案内してほしいんだよ」
「でも、そんなに詳しくないし」
「今日初めて来た俺よりかは断然詳しいだろ?」
俺1人だと迷いそうだからな……。
「あ、アンタがどうしてもぢて言うならいいけど……」
コイツ……チョロいな……。
「あぁ、任せた!さて、今日はもう帰るか」
「あ、待ってよ!私、レベッカって言うの。アンタは?」
「俺はセイヤだ。よろしくレベッカ」
「ふ、ふん!よろしくセイヤッ!」
まったく素直じゃないな……。
こうして街に帰って行ったのだった。
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