俺二度目の登録(1)
ベルゴとのご飯兼情報収集が終わり、俺は冒険者ギルドに来ていた。いや、正確には冒険者ギルドの扉の前だ。
「王都よりは小さいけど、リンシャルよりは大きいな……入るか」
入ってみると、やっぱり騒がしかった。
「……ギルドはやっぱり騒がしくなくちゃな…」
冒険者ギルドにはもう半年も行ってないな……
この雰囲気も3回目だけどちょっと懐かしいな……
「さて、カウンターは……一番空いてるところでいいか」
カウンターは3つあり、真ん中が一番人?魔族が並んでいる。主に男性が多い、というか男しかいない。まぁ、そりゃあそうだろう、だって真ん中の魔族……美人だもんなぁ。
まぁ、俺はエルザさん達で慣れてるけどねッ!♪
次に多いのが右だ。こっちは女性が多い。ちらほら男性?というか少年も混じっている。カウンターで仕事しているのは、人の良さそうなお婆さんだった。
で、残った左が、まったく魔族がいない。カウンターで仕事しているのは、俺より年下っぽい少女だった。
…………何かこの光景にデジャブを感じる。いや、リンシャルの街で体験してるからデジャブではないか……というか、冒険者ギルドのカウンターは全部左から順に年が上がっていくのかッ!?
そして何故毎回左がスッカスカなんだよッ!?胸もスッカスカ…………いや、あの、出来心でつい言ってしまいました。すいませんッ!
「はぁ、早く登録しよ……」
俺は迷わず左のカウンターへ進んで行った。
「あの、すいません。登録したいんですけど、いいですか?」
魔族少女はって言いにくいなぁ……魔族っ娘でいいかぁ……よしッ!
魔族っ娘は俺の顔を見て、数回瞬きしてから目を見開いた。
「え?あ、お客さん……すいません!私ぼーっとしてて!」
あ、この反応、エルリみたいだな……アイツ今頃何してるかな……客来てるかな?
「あの?お客さん、どうしたんですか?」
「ん?あぁ、俺もちょっとぼーっとしてたみたいだな」
魔族っ娘は顔を赤くし、頬をかきながら……
「え、エヘヘ……お、お揃いですね?」
「あ、あぁ、そうだな……」
それは卑怯だ魔族っ娘!いくらエルザさん達で慣れてるからって不意討ちに……しかもエルザさん達には1日も会ってないから余計に……余計に可愛く見えるわッ!
あぁ、うっかり『魔族っ娘をテイクアウトで』って言いそうになったわッ!
クソッ!恐るべき魔族めッ!
「お、お客さん、どうかしました?」
「うん、今俺煩悩と戦ってるからちょっと待って」
「は、はぁ、分かりました」
よし、落ち着け、落ち着け俺。頭を撫でたいのは分かっている。でも、撫でちゃ駄目だ。我慢だ、我慢しろ。あと半年我慢すればアイラを撫でられる…………長くねッ!そんなに待てるわけないだろッ!
「あ、あの?戦いは終わりましたか?」
「はい、頭を撫でさせてください!」
「え!?煩悩に負けたッ!と、とりあえず落ち着いてください!」
「分かった。落ち着くから頭を撫でさせて」
「わ、分かりましたから、とりあえず席に座ってください」
え?マジで?…………ヤッホォーーーーーイ!!
頭の中は騒がしいが、静かに席に座った。
「あ、あの……どうぞ」
魔族っ娘は頭を俺に向けてくる。
「で、では……」
なでなで
「はぁうぅっ~」
魔族っ娘は顔を真っ赤にしながら悶えている。かわえぇなぁ……
なでなでなでなで
魔族っ娘はさらに悶える。
「ふぅえッ!……どうしてそんなになでなで上手なのぉ?」
「ん?それは……ひ・み・つ♪」
そろそろ止めておくか。撫でる手を頭からそっとのける。
「え?何でやめるの?」
え?まだやってほしいの?
「また今度ね」
「あうぅ……はい、お願いします」
あ、お願いしちゃってるよ……可愛いなぁ。
「じゃあ話を戻すけど、冒険者登録したいんだけど」
「はぁはぁはぁ、ちょっと待ってください」
あら、ちょっとやり過ぎたかしら?なんちゃって♪
それから、魔族っ娘が落ち着くまで待っていた。
総合評価よろしくお願いしますッ!!




