俺は再開を願って
俺と影狼は洞窟から外に出た
「えっと……確かこっちから来たんだったよな……あ!……俺は何も見ていない。見ていないったら見ていない!」
来た道の方向を見ていたら、視界の端の方に、抉れた道が見え、その先に抉れた山が見えた
「うわぁ……あれを俺がやったんだよな……よしっ!見なかった事にしよう!いいな影狼?」
「ワァウッ!」
分かったッ!
「偉いぞ影狼……撫でてやるぞ」
なでなで
「キャウンキャウン♪」
エヘヘ♪
エヘヘ♪とか可愛い奴め!もっと撫でてやるッ!
「と!こんなことしてる場合じゃなかった!早く皆を追いかけないとなッ!」
「ワァウガウッ!」
そうだねッ!
影狼はいつも俺の意思を尊重してくれるからいいよなぁ……まぁ、元は俺の影だからな
そんな事より出発だ!
「さて、影狼、出発だ!」
「ワァウッ!」
オォーッ!
「よし、それじゃあ……あ」
「ワァウ?」
どうしたのセイヤ?
「あぁー!やっちまったッ!」
「わ、ワァウ?」
ど、どうしたの?
あぁー!やっちまったッ!カッコつけて馬車から飛び降りるんじゃなかったッ!しかもなに、あの時気絶してんだよ俺ッ!
ヤベェ……マジでどうしよう……
「ワァウガウッ!」
セイヤどうしたのッ!
「あぁ、すまない……ちょっと道が分からないだけだよ」
「ワァウワァウ……ガァウガウッ!」
なんだそんなことかぁ……ってダメじゃんッ!
「そうなんだよッ!だから焦ってるんじゃないか……」
何とかならないか?馬車が行った方向は覚えてるから、その方向に行けばいいんだが、後何れくらいで着くかも聞いてないし、分かれ道があったらアウトだ……
まだ気絶しなかったら全速力で行けば追い付けたかもしれないのにな……何とかならないかなぁ
「ワァックチュッ!」
影狼のくしゃみは可愛いなぁ……鼻をヒクヒクさせて……って、影狼って狼だよなッ!なら匂いで分かったりしないかッ!?
「なぁ、影狼、エルザさん達の匂いを追えないか?」
「ワァウ?ガァウワァウ、ワァウ」
匂い?今は遠いから分かんないけど、近くまで行けば分かるよ
オッシャーッ!これで再開できる可能性が増えたッ!
「そうと決まれば善は急げだ!行くぞ影狼ッ!」
「ワ!ワァウガァウ」
あ!ちょっと待ってよ
ん?影狼が俺を止めるなんて珍しいな
「どうしたんだ影狼」
「ワァウガァウワァウ」
昨日寝ずにセイヤの様子を見てたから眠くて
俺が気絶したから影狼が心配して俺の看病を……まったく、良くできた子だな
「影狼、ありがとうな。もう寝ててもいいぞ、分岐点に来たら起こすけど」
「ワァウ…ワァウ」
うん……ありがとう
そう言って、影狼は俺の影へ入っていった
「……俺が弱いから気絶して、それを心配した影狼の状態があんなだったのに気付いてやれなかったか……はぁ、俺もまだまだだな。もっと強くなって、誰も心配しないぐらいにならないと……」
そんな独り言を言いながら、馬車が行った方向へ歩いていったのだった……
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