俺邪獣遭遇!
馬車が出発してから3時間が経過した
そろそろ尻がヤバいな。この馬車揺れが直に来るから長くは座ってられないんだよな……
3時間も経てばやることがなくなるし、どのくらいで着くかを聞くのも毎回の事だから今回は我慢すると決めている
暇だし窓の外でも見てみるか……
ドドドドォッー!!
何かが砂ぼこりをたたせながらこちらに向かってきていた
「なんだあれは?」
「あ、あれはッ!?……なぜこのような場所に……」
エルザさんがこんなに驚いている……そんなにヤバい奴なのか…
「エルザさん、何なんですかあれは?」
「…………」
「あれは邪獣と呼ばれる存在です。聖獣とは正反対の存在で、昔姫様の母親、女王様を殺したのも邪獣なんです」
エルザさんの変わりにシズネさんが話してくれた
エルザさんのお母さんに会った事がないと思ったらもう亡くなっていたのか……ならエルザさんのこの様子も頷ける
今はそれより
「聖獣の正反対の存在?邪獣なんて聞いた事も無いんですけど……」
「それはですね、邪獣の存在を知られてはいけないからです」
「何故知られてはいけないんですか?」
「それは邪獣が邪界の、邪王からの刺客と言われてているからです。国民は魔王という存在だけでも不安を抱くにもかかわらず、本当に存在するか分からない邪王という存在に怯えながら生活するなんてあんまりじゃないですか……」
(邪界?邪王?そんなの聞いたことないぞ……邪王は魔王より高位の存在なのか……)
何故邪界や邪王という考えが出てきたんだ?
普通伝承なので伝わってない場合邪獣の裏に邪界や邪王なんて存在がいるとは思わないだろう……
「でもそんな存在が何故こんな場所に……」
「分かりません。ですがこちらに向かってきているということは……」
「襲ってくるでしょうね。何故かは知りませんが」
「セイヤさんもそう思いますか……」
シズネさんの表情が暗い。きっとシズネさんも恐れているんだろう。他の皆も顔が真っ青になっている
ここは俺が何とかしないといけないな
「……逃げなきゃ…早く逃げないと皆死んじゃう!」
「姫様……」
「エルザさん……」
「……お母さんみたいに殺されちゃう…」
エルザさんの気持ちはよくわかる。もう誰も大切な人を亡くしたくないんだろう……
俺もそう思ってる、ここにいる人達を亡くしたくないと思っている
思っているからこそ俺は戦わないといけない。このまま逃げてもアイツの方が速い。いずれは絶対に追い付かれる、だから俺が足止めをするんだ……
「……シズネさん」
「分かっています。皆様のことはお任せください」
「よろしくお願いします」
俺が何をしようとしてるか皆も分かったようだ
「セイヤさん!行っちゃダメですッ!」
「セーヤッ!」
「セイヤッ!」
「お兄ちゃんッ!」
『必ず帰ってくる』
俺は、馬車から飛び降りたのだった……
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