俺の馬車内
「暇だなぁ」
馬車が出発してから1時間。最初は話していたが、今はみんな話す事がなく、黙っている。この世界には本当に娯楽が少ない。
トランプとかあれば良いのに……ん?無いなら作ればいいんじゃないか。いや、材料がないしな……う~ん、もしかしたら俺の能力で作れるかもしれないな。
「やってみるか」
「ん?やってみるって何を?」
「故郷の遊び道具を作れるか実験しようと思って」
「でも材料が無くない?」
「そこは俺の能力でちょちょいと」
「あー、出来そうね」
「だろ。んじゃあ、【影造形】……うわぁ、1枚しか作れないのかよ。はぁ、【影造形】【影造形】【影造形】【影造形】【影造形】【影造形】【影造形】【影造形】【影造形】【影造形】【影造形】……」
「うわ!セーヤが壊れた!どうしよう姫様!」
壊れたってなに!?君らの為にやってるのに俺がおかしいみたいじゃん!
エルザさんは、分かってくれるよね?
「えぇと、とりあえず様子を見ましょう」
エルザさ~ん!信じてたのに!
「わ、分かりました」
「……【影造形】【影造形】【影造形】…よし、出来た。見た目は黒いけど、マークと数字もちゃんとはいってるから問題無いだろ」
「あ、壊れてなかったんだ……何それ?」
「カードみたいだけど」
あ、こっちの世界にもカードあるんだ。これなら遊○王やデュ○マとかも出来るかもしれないな。……いや、無理だな!どんだけ種類があると思っているんだ!せいぜいUN○ぐらいだなっといけない、考えてないでみんなに説明しないと
「これはトランプと言って、俺の故郷の遊び道具?かな」
「どうやって遊ぶんです?」
「いろいろあるけど、まずはババ抜きからでいいか。え~と、人数分にカードを配って、同じ数字を引いたら捨てて、一番早くカードがなくなった人の勝ちっいう遊び?ゲームかな。まぁ、やった方が早いか」
やっぱり俺、説明するの下手だな。みんな?マークが頭にあるよ
「みんなカードはあるか?」
『はい!』
「じゃあ、今持っているカードの中で同じ数字のカードを2枚1セットで捨ててくれ。本当に馬車の外に捨てるなよ」
「わ、分かってるわよ!」
本当に分かってるのかミーネ?
「な、何よその目!疑ってるの!?」
「あぁ、ごめん、俺が悪かった」
「分かれば良いのよ。で、捨てたわよ」
「あぁ、じゃあ俺から時計回りに右隣の人のカードを引く。引いたカードが持っているカードと同じ数字ならそれを捨てる。なくなったら勝ち。簡単だろ?」
「そうね。面白そう」
「早くやりましょう!」
「ん、早く」
「早くしてくださいセイヤ様!」
みんなノリノリだな。今度はカレンも一緒に出来たらいいな
「はいはい、じゃあ引くぞミーネ」
「早く早く!」
「それ!お!そろってるな」
「ミーネ早く!」
「待って下さい姫様!……それ!うぅ、そろってない」
みんな楽しそうだな。作ったかいがあったな
「早く引きなさいよ!セーヤ」
「あぁ、悪い。……そういえばこの馬車はどこに向かってるんだ?」
「そんな事も知らないの?」
む!仲良くなってから言葉に棘が出てきたな
「え~とですね。港街のカルデラです」
「カルデラ?どうして港街に?」
「それは魔族大陸に行くには船でしか行けないからです」
あ!忘れてた!
「あ、そういえばそうだったな……よし、あがり」
「え!?いつの間に!?」
「お前ら分かりやすいぞ。もっとポーカーフェイスでいろよ」
「ポーカーフェイス?」
「みんな顔を見てたら分かるから、表情に出すなって事だよ」
「なるほど……ありがとうございます。顔に出さない顔に出さない。どうぞシズネ」
「……あがりです」
「え!?顔に出してないのに!?」
そのままエルザさんとミーネの戦いになった
二人とも顔に出やすいから仕方がないか
「負けないわよミーネ」
「私もです姫様」
二人の攻防は30分も続いた。勝ったのはエルザさんだった
平和な1日だったな
総合評価よろしくお願いします!!




