俺達の旅立ち
修行を始めてから半年、ついに旅立つ時がきた……
「もう半年が経ったか……早かったな…」
魔族大陸へ行き、準備のでき次第魔王を討伐する。それだけを思い、俺達は修行してきた。まぁ、俺は暇潰し程度にしか思ってないけど…
「はぁ、旅の準備をするかぁ。と、確か王様に呼ばれてたっけ、早く準備しないとな」
大体の荷物は影の中に収納してるから"表向き"で使ってた物しか馬車に積めなくていい
そう、まだ皆には俺の能力の全てを見せていない。何故かと言うと、今のままでも十分王様に警戒されているにも関わらず全力を見せたら、魔王討伐を終らせて帰ってきたら、利用されるか脅威とみなされ殺されるかしか思いつかないからだ
正直に言って、魔王討伐が終わればとんずらするつもりだ。俺はこの世界でのんびりとやっていきたい。だから国のお抱えになるつもりも、殺されるつもりもない。ただ、エルザさん達の事はやっぱり心配だ。一国の姫と護衛を連れてとんずらするのも論外だな
「はぁ、今考えてもしょうがない。魔王倒してから考えよう」
「よし、荷物も準備出来たし、王様の所へ行くか」
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ここが王様の部屋か。部屋の前まで来たけど、普通の扉だな。もっと高級っぽいと思ってたんだけどな
おっと、早く入った方がいいな
コンコン!
「入りたまえ」
「失礼します」
やっぱり俺が使っていた部屋とあまり変わらないな。と、部屋の話ばかりじゃなくて、王様の話だよ。
王様と会うのはこれで2回目だ。1回目は、エルザさんを守った事の礼をしに来ていた。礼を言ってからすぐに出ていったのでほぼ話したことがない。何の話だろ?
「それで、俺を呼んだのはどうしてですか?」
「うむ、簡単な話だ。エルザを、わしの娘を絶対に連れて帰ってきてほしい」
それだけ?俺は誰も傷つけず帰すつもりだよ。傷があっても治して帰す
「それは当然の話です。傷1つ付けずに帰しますから安心してください」
「傷1つか、エルザがいった通りの男だな」
「エルザさんが?」
どんな事を言ったんだ?まさか俺の能力の事を……言われても別に困らないけどね
「あぁ、負ける事を考えていない。そばにいて頼もしいと言っていたぞ」
「はぁ、あまり自覚はなかったですね」
「うむ、本当に頼もしい男だ。……セイヤ・カゲノ殿、この国を、この世界を魔王の魔の手から救ってくれ」
「ッ!……お任せ下さい。この身にかけても魔王を破ります」
まさか王様が頭を下げるとは思わなかったな。それほどの敵か……おもしろい♪
「うむ、ありがとう。もう行きたまえ、エルザ達が待っとるぞ」
「分かりました。それでは陛下、魔王を討伐してきます」
「頼んだ」
「はい、失礼します」
娘と国思いのいい王様だったな。あの王様が心配にならないようにきちんと守らないとな
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「わるい、待たせた」
「あ、セーヤ遅ーい!」
「セイヤ、遅かったな」
「お兄ちゃん、遅い」
「セイヤさん!遅いです!」
「セイヤ様、5分の遅刻です」
こいつらとも随分仲良くなったな
「あぁ、すまない。王様と話しててな」
「お父様とですか?」
「うん、エルザさん達を守れってさ」
「まったくお父様は、私は子供じゃないから自分の身は自分で守れる!」
「親っていうものはそう言うものだよ。それより出発しよう」
「誰のせいで待ったと思ってるの!」
「すいません、俺です。でもここで話すより馬車の中で話した方がいいかなと…」
「そうですね。皆さん乗りましょうか」
さすがエルザさん!ありがとう!
「うぅ、姫様がそう言うなら」
「じゃあカレン、運転をよろしくね」
「分かりました、姫様」
「では、出発です!」
ヒヒーン!
馬車が動きだした。やっと出発か
こうして、セイヤ達の魔王討伐が始まった
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