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Skill Make Online  作者: 金平琥珀
7/10

七話、可能性。

 攻撃力が高いステータスを持っているのかかなり重量のありそうなバトルアックスを片手で振っているミュウを見て、自分が戦うよりも効率がいいかもしれないと考える。


 ゴブリンの数は20前後といったところ。この程度の数であればレベル3になっているミュウと力を合わせればそれほどの脅威ではない。


「僕は右をもらう」


「うちは左をやるにゃ」


 カノンは短剣を逆手で持つと中腰で構えた。


「うちから先に行くにゃ」


 ミュウはバトルアックスを両手で握ると声高々に叫ぶ。


アーツ発動!!!ブーストアックスっ!」


 職業技能ジョブスキル・【戦士】が斧系の武器を装備したときに使えるアーツの一つ。


 攻撃力を高める能力だったはずだとカノンは記憶を頼りに思い出しながら、横目にそれを見ていた。


 身体能力ポテンシャルを向上させる関係のスキルや技には特徴があり、発動している間身体が発光する。


 今のミュウも赤く身体を染め上げ、戦場を駆ける獣だ。同様に武具に能力を付与エンチャントするようなスキルや技は武具自体が発光する。発動時間が切れると自動的に元の状態に戻るため、とても分かりやすい。


 カノンは心強いと内心思いながら短剣を投げた。


「ギャ!」


 曲線を描くことなく真っ直ぐと放たれたそれはゴブリンの額に直撃する。だが、それでも倒れることはなく武器を失ったカノンは次の武器へと切り替える。


「楯無流槍術、流水」


 襲い掛かってくるゴブリンの攻撃を受け流す。『流水』は受けに特化したカウンター技。相手の力が自分よりも高ければそれだけ効力が高くなる。


「……いつの間に」

 

 カノンが油断したわけではないが、カノンの足にはつるのようなものが絡みつき、『流水』は攻撃を受け流しただけで反撃の1打のためもう一歩が踏み出せなかった。


 一歩を踏み出せなかったカノンのすぐ隣を矢が掠める。


「レベル5のゴブリンアーチャーか。遠距離は厄介だ」


「屈むにゃ!」


 ミュウの叫び声と共に頭上をバトルアックスが通り過ぎ、直線上にいたゴブリンたちを一掃する。


「見たかにゃ!!」


 投げたはずのバトルアックスは木々を薙ぎ倒してミュウの手元へと戻る。


「何それ」


アーツ、『手裏斧』。投げた斧が戻ってくるにゃ」


 どういう理屈で戻ってきているのか分からないが、そもそも投げるだけの技なのか疑問が多く残るが今はよしとしよう。半分任せてもらったはずがほとんどミュウ一人でことが足りてしまった。


 パーティーを組んでいないため共闘ペナルティが発生しあまり経験値が入らなかったようだ。


「……結構おいしい狩場だったのに」


「それでもあれだけ倒してレベルが上がらないっておかしいにゃ。抗議するべきにゃ」


 ミュウの言ってることは何となく分かる。共闘ペナルティが発生しているはずなのにミュウはレベルが一つ上がっている。直接ミュウが倒しているということもあるだろうが、経験値の入り方がおかしい。


「全然成長している気配がない」


 僕の選んだ種族の特性なのか、それともやはりバグだったのか。どちらにせよこのままというわけにはいかない。


 もし仮に。


 この種族の特性だとするならば、咎人とはどういう種族なのだろうか。咎を持つ人間という意味合いならば、咎すなわち罪だ。


 罪を持つ人間というのはそのほとんどが犯罪を犯した人間。この世界でいうならPKプレイヤーキルをやった人間ということになる。


 それが特性なのだとしたらモンスターを倒してばかりでは早々にレベルアップは難しくなる。


「……咎人って珍しい種族にゃ」


 けれどよく考えてみたらこれほどおかしな話はない。咎人の特性にはもう一つ特性がある。それは元から存在する店での買い物が出来ないことだ。物の売買を犯罪者とはやらないそれなら分かる。けれどこの世界には闇商人もいる。そいつらとも商売が出来ないとなるとまた何か引っ掛かる。


 この世界の人間は何を恐れを成しているのか考えるとそれはモンスターの脅威が一番にあがる。


「……モンスターの脅威が咎人の特性に関係しているとすると」


 咎人とは魔族の部類に含まれるのではないかと考えを思い浮かぶ。モンスターの中には上位種として魔族と呼ばれるボス級の連中がいる。


 咎人が何なのかよく分からないがそれでも今後の方針は一応目処が立った。


「ミュウ、今日はありがとう」


「こちらこそ、おいしい魚をありがとうにゃ」


「僕はもう少しここで経験値を得られないか考えてるから、また何かあったら声を掛けてよ」


「分かったにゃ」


 ミュウはそう言うとフレンド登録を行った。これでいつでも連絡を取ることが出来るようになった。


 ミュウが去った後カノンはスキルの目録を調べることにした。数あるスキルの中でカノンがレベルを上げるために習得しようとしたのは習得条件が面倒で正直誰もやりたがらない【テイマー】の習得だった。


 【テイマー】習得条件

 

 魔物モンスターに合わせて特定の武器でのみ戦闘を行う。

 自身のレベルよりも高いものとする。

 アーツを使用禁止。

 種類を10とする。


「……可能性で考えれば、モンスターを使役して戦えば」


 カノンはその可能性に賭けることにした。

<ステータス>


 名前 カノン

 種族 咎人

 レベル 1


 HP80/80

 MP40/40


 攻撃力5

 防御力1

 魔法攻撃力2

 魔法防御力1

 回避力7

 速度7

 技術力4

 幸運1


 所持金0ガルム

 貯金0ガルム


 固有技能ユニークスキル

 【ギルティブレイドⅠ】レベル1


 独自技能オリジナルスキル

 なし


 既存技能ノーマルスキル

 【投擲】レベル1 【採取】レベル1


 職業技能ジョブスキル

 【薬師】レベル1


<装備>


 武器 なし

 武器 なし

 盾  なし

 頭  なし

 胴体 薄汚れた衣服

 腰  なし

 脚  壊れかけのサンダル

 羽織 なし

 装飾 なし

    なし  

    なし

    なし


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