一話 選択。
伏線を作り過ぎて話が纏まらず困惑してしまって新しく書き直すことにしました。
書き直す上で構成を考え自分なりのテーマを考えながら今回は作っていくつもりです。
出来ればこちらも読んでいただける幸いです。
「デモンズレインっ!!」
技を発動させながら拳に力を込めた。眼前の敵は一切怯むことなく、それどころか先ほどの攻撃で過剰なまでに激昂状態にあるあれに悪態をつきたい気持ちでいっぱいだった。
初めて命を懸けた戦いで僕は静かにそう思った。
◇◇◇◇
朝目が覚めるとさきほどまで何か嫌な夢を見ていたような気がするが、それは記憶からすっぽりと抜けていて何があったのか思い出すことは叶わなかった。
ベットの近くに置いてあったカレンダーに目を向けるとそこには今日を示す日付に赤丸がされていた。
「……そろそろ行かないと」
時刻を見るとまだ朝の四時を回ったところだが、少年は眠たそうな眼を擦りながらゆったりとしたそれでいてテキパキとした動作で準備を始めた。
朝御飯を軽めに済ませると家を出る。玄関を出るとそこには見知った顔が朝早いというのに立っていた。
「おはよう、奏音」
「おはよう、将宗」
将宗と呼ばれた青年はまだ早朝の寒さが身に染みる時期だというのに関わらず、かなりの薄着で寒くないのだろうかと疑問に思ってしまう。
本人がなんともなさそうなので問題はないのかもしれない。
「それよりも行くんだろ」
「そうだね、そのために嫌いな早起きをしたんだから。それよりも将宗の方はいいの?」
「俺は別に問題ないな。それに午後にならないと製品版が家に届かないみたいだから、どうせ暇なんだよ。たぶんそれはお前の妹も同じだと思うけどな」
何故そこで妹の話が出るの疑問だったかその答えはすぐにわかることになる。
「なんだお前知らないのか、俺と同じでテスターだぜ」
将宗の言葉に奏音は心底驚いたような表情を作った。ここ一二年ほど妹とは碌に会話らしい会話などなかったためまさかテスターをやっているとは夢にも思ってなかった。
「攻略組四大ギルドの一つを率いるほどだぜ、紫苑ちゃんは」
「へぇ」
「何だ、反応が薄いな」
「妹がそれなりにゲームが得意だってことは知っているよ。それにしてもまさかそこまで優れてたなんて、僕的はびっくりだよ」
そんな会話をしているといつの間にか店は開店しており、長蛇の列は自分の番へと回ってきていた。
「お買い上げ有難うございます」
目的のものを手に入れた奏音は将宗にいろいろとアドバイスを貰い、家に帰ってさっそく設定に取り掛かることにした。
【アルファ・ギア】と呼ばれるフルフェイス型のデバイスを装着し生体データを認証させる。脳内に電気的信号を送ることで全体のデータを得られるということらしい。
───生体データ認証完了。
───名前を入力してください。
───名前、カノンで登録します。
【アルファ・ギア】の設定が終わったあたりで【スキルメイクオンライン】をデバイスにインプットする。データが読み込まれると先ほどまで真っ暗だった設定画面が色鮮やかに代わり、少女型のアドバイザーのような物が視界に出現する。
「では、始める前に簡単なキャラクターメイクをお願いします」
【スキルメイクオンライン】のコンセプトは名前でも分かるように【スキル】がかなり重要視されるゲームで、自分なりの【スキル】を作ることも出来る。もちろん【スキル】を作らなくてもかなりの数の既存技能があり、それだけでも十分楽しめる。その既存技能は店で購入したり、自分の行動によって習得されるといった面白い仕組みになっている。もちろんある程度条件はあるようだが。
その点種族はわりと少なかったりする。これでは失礼だ。かなりシンプルなものとなっている。
ヒューマン 【人間族】
この世界で半数以上の人口を誇る最も一般的な種族。成長はかなり緩やかであり、バランス良く育つ。初心者向けであり、上級者向けの種族。
固有技能 【女神の祝福】
【女神の祝福】
一定確率で即死系の攻撃を防ぐ。体力が八割以上残っている状態のみ発動可能。
ビースト 【亜人族】
人間のような立ち姿をしているが、身体の一部に獣の特徴を持っており身体能力がかなり高い。戦闘系として成長させるには持ってこいの種族
固有技能 【生存本能】【咆哮】
【生存本能】
体力が二割以下の時発動し、身体能力が二倍になる。確率によって三倍になることもある。
【咆哮】
攻撃力を一分間二倍にする。再使用時間十分。レベル上昇により持続時間が延長。
エルフ 【精霊族】
魔法技能に優れた一族。魔法にほかに弓を扱うことを得意とし、遠距離から支援を得意としている。魔法関連のステータスが成長しやすい。
固有技能 【精霊の目】【詠唱中断】
【精霊の目】
魔物の弱点となる属性を瞬時に見極めることが出来る。
【詠唱中断】
本来発動中の魔法を中断することが出来ないがエルフのみ魔法を発動中に切り替えることが出来る。
ドワーフ 【小人族】
鍛冶や物作りに優れ、攻撃力が伸びやすい種族。盾職に向いている。小さい身体を生かした小回りの利いた攻撃が特徴的。
固有技能 【鍛冶の恩恵】【火事場の馬鹿力】
【鍛冶の恩恵】
鍛冶を行った際に発生するボーナスが高い確率でレアな効果を生み出す。
【火事場の馬鹿力】
体力が三割を下回ると攻撃力が三倍になる。回復すると防御力が一定時間半分になる。
ドラゴノイド 【竜人族】
人とドラゴンの間に生まれた高いポテンシャルを誇る種族。ドラゴンのような硬い鱗をその身に宿し高い防御力を誇る。
固有技能 【龍転身】【超回復】
【龍転身】
龍の性質へと身体を変異させる。レベル上昇により龍化することが出来る。
【超回復】
待機状態になることで自動回復速度が三倍になる。
咎人 【堕人間族】
ポテンシャルはヒューマンと大差がないが、あらゆる制限を受けている。その特徴として孤独に愛されている。
固有技能 【罪の剣】
【罪の剣】
一定確率でクリティカルが発生する。自身の体力を削ることで攻撃力が1.5倍になる。
僕は何故か最後の項目に惹かれた。それが何故だったのは分からない。そして僕は迷わずにそれを選んでいた。
読んでくださって有難うございます。




