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最終話 弱さのあり方


「ウルルは、魔素マナが満ち易い土地ですからニャ、竜脈の影響も受け易いのですニャ」


 確かに、霊樹に『魔素マナ支配』を使った時に、霊樹の真下に龍脈が通っていた。


「つまり、他人事じゃないって事だな」

「そういうこったぁ」


 暫しの沈黙。そして、アラドが口を開いた。


「奴ぁ、害悪だ。だから、殺る」

「でも、他の種族の協力がない今は危険ニャ」

「今、奴は力を蓄えてぇる最中だぁ。だから、今しかねぇのよ」


 アラドの言葉に反論は出ない。それによって、ユニークモンスター討伐は決定した。


 話の時間だけなら、驚く程に短かったが、皆それぞれ覚悟を決める様な表情を浮かべていた。そして、この作戦には、『龍脈之王』のスキルを持つ俺の存在が要となる。


 ウルルに沈む夕日を眺めながら、緊張と恐怖に高まる体。その隣に、オムニスが立つ。


「暁は、いつも危険の中にいるな」

「え?」

「出会った時から、何度もお前は危険に跳び込み乗り越えて来た。だから、今回も大丈夫だ」


 そんな物は、何の根拠にもなりはしない。

 だが、隣で「大丈夫だ」と言ってくれる存在がいる事が、こんなに嬉しいとは思わなかった。


「あぁ」


 俺は弱い。それでも、仲間がいる。

 弱くても、強くなる事が出来る。隣に、仲間がいてくれるなら。

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