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ASTRAL LEGEND  作者: 七瀬渚
第3章/魂たちの傷痕
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2.偽り〜Make believe〜(前編)



同じく一年前。


ミラが退院した日から一週間と数日が経ったある日。皆が昼食を終えた頃。


誰もがしばし羽を休めている。穏やかな時間が心地よく流れる王宮から、ミラは外へと足を踏み出した。


門番の立つ表側は当然選ばない。残るは森へと続く裏道のみ。温室が持ち場である彼女にとってそちらへ進むのは案外容易なことだった。


何処までも続くかのようにさえ思える深い森だけど目指すべき方向は知っていた。いずれ賑やかな町に出られるということも、また。


辺りからは草木の騒ぐ音と遠い鳥の声、気休め程度にわずかに射し込む木漏れ日があるだけ。広大な森の中にたった一人の少女。だけど彼女の足取りは変わらない。


孤独なら十分に味わい尽くした。これくらいのこと…とでも言うように立ち塞がる草をかき分けて進んでいく。強い光を水色の瞳に宿して。


森を抜けると高くそびえ立つ建物の壁が彼女を迎えた。年季を感じさせるレンガ造りの家屋でそれなりの大きさがある。メイサが言うにはここに人は住んでおらず今や単なる物置と化しているらしい。そして今回の計画にこれ程都合の良い存在はないのだと。


壁に沿って歩いていくと流れる人々の波の中へと実に自然に紛れることができた。


色鮮やかで可憐な容姿のミラ。誰が見ても妖精の血を引いているとわかる彼女は非常に目立つ。だから今日は大きな麦わら帽子を被って薄桃色の髪をしまい込み、後れ毛がはみ出す襟足にリボン型のバレッタを付けた。


そして最後のアイテム。町の皆が手にしているような買い物用のカゴを持った。これで何処から見ても町のおつかい少女…という訳だ。


多くの人々で賑わう商店街。道端で話し込む婦人たちに客を呼ぶ商人。無邪気に走り回る子どもたちだけが、時折ちらちらと彼女を気にしていた。


どんなに平静を装ってもやはり見た目上の同年代である彼らの目ばかりは誤魔化せないのか。ミラは緊張に固くなった顔をわずかにうつむかせた。




ーー話し方が変!ーー


ーーおばちゃんみたい!ーー



数ヶ月程前に王宮の見学に来た従事者の家族の兄弟。大人しいミラは同年代である少年二人に容赦なく馬鹿にされた。そこへやってきたクー・シーが少年たちに掴みかかって怒り、なかなかの騒ぎとなった。


可愛い子程いじめたくなる男の子のさが…というのが実際のところだったが、強張った表情でオロオロするだけの当のミラは気付かなかった。秘密を見透かされたのでは…ただそればかりを気にしていたことだろう。




くすり、とうつむいたままのミラが小さく笑った。結局秘密が知られることはなかった。明らかになったのはクー・シーの不器用な優しさだけ。今、彼女にとっては笑い話として振り返られるものらしい。


いくらか緊張のほぐれた様子の彼女はやがてバス停の前に辿り着いた。タイミングの良いことにそこには彼女の探し求めていた“ちょうどいい年代”の女性が立っている。


このチャンスを逃す訳にはいかない。ミラは足早に彼女の後ろに着いた。力いっぱい明るく声を上げた。


「お姉さん、こんにちは!」


自分へ向けられたことにすぐに気付いた女性が振り返り、視線を落とす。帽子のつばを手で少し持ち上げてにっこり笑いかける可憐な少女。女性が嬉しそうに目を細めた。


「あら、可愛らしいお嬢さん。今日はおつかい?」


「うん!今日ね、初めてバスに乗っておつかいに行くの」


「偉いわね」


人懐っこい笑顔が女性を虜にするまでいくらも時間はかからなかった。


お姉さんは何処に行くの?


髪の毛自分で結んだの?


ミラは次々と質問を投げかける。一つ一つ丁寧に答えてくれる女性。そうしているうちに一台のバスが滑り込み停車した。


「わぁー!大っきい!登れるかなぁ」


これ見よがしに声を上げてみると、女性がそっと手を差し伸べてくれた。ミラはその手を取ってバスのステップを登る。


「すごーい!広いねぇ」


当然のように女性の隣の席に座って足をバタつかせてみる。女性もごく自然に受け入れていた。むしろその為に長椅子の席を選んだのだろう。


笑い合う女性とミラ。その光景を車内の大人たちが優しい目で見ていた。


「お姉さん、ママみたい」


そっと耳打ちをして女性の母性をくすぐる。彼女はすっかり母のような顔になっていた。きっと周囲の誰もが二人を親子だと思って疑わない。


ミラは外を眺めようと背伸びをして窓枠にしがみ付いた。周囲からそむけたその表情が、陰った。




ーー裏切り者になる覚悟はある?ミラーー



一昨日の晩、ミラの部屋を訪ねてきたメイサが言った。


驚いて目を見開くミラに彼女はある“作戦”を打ち明けた。話が進む過程でミラはみるみる身体を固くしていった。


かなり際どいもの。自分だけでなく周囲も大きく巻き込む。だけど子どもだからこそ許される、とメイサは言った。この作戦が裏切り行為であることさえ知られなければ、と。


「唯一事情を知っているレグルスは私が上手く誘導する」


任せとけ!と力強く言ってメイサは胸を叩く。当然ながら提案者であるこの彼女も罪を背負うことになる。


しかし彼女の意思はすでに固まっていた。真っ直ぐな眼差しが物語っていた。


「これは兄貴の気持ちを試すチャンスでもあるんだ。もし本当にミラのことを大切に思っているなら、なりふり構ってなんていられないはずさ」



“試す”…そのあたりでミラは苦しげにうつむいた。罪悪感を覚えるのも無理はない。大人の思考を持ちながらハンデであるはずの幼い外見を利用しようとしているのだから。


だけど、知りたい。後ろめたさがあってなお滲み出るそんな思いを、メイサもまた知った上での提案だったのだろう。




バスの振動に身体を揺すられながら、ミラはひたすら流れる景色を見つめる。変わりゆく町並み、遠のく王宮…後戻りなんてできるわけもなく。



ーーもう自分の為に生きていいじゃん。壊れるくらいなら我儘わがままになんなよ、ミラーー



優しいメイサの言葉。きっとそれだけが今の彼女を支えていた。



やがてミラの表情が変わった。大きく変化した景色に伴って。


人も車もほとんど見えないのどかな田舎の風景。今通り過ぎたばかりの牧場は昔と変わらない。彼女は思わず腰を浮かせる。


ちら、と我に返ったように振り向いた。隣の女性はまだ目的地に着かないらしい。窓の外を眺めるその目はちょっぴり眠そうだった。ミラはほっと安堵の息を漏らした。


遠く離れたこの場所まで来ると乗客はほとんど残っていない。そんな中、見せかけの保護者である彼女がまだ居ることは幸いだった。もし彼女が先に降りてしまったら、ミラは周りの大人の目を避ける為に一緒に下車してまた次のバスを待たねばならなかったからだ。


料金先払い、尚且つ後部から降りる形式のこのバスなら運転手に間近で顔を見られはしないし、降りてしまえばこっちのものだった。


降車ボタンに手を伸ばすミラ。その様子に女性が気付いた。


「あら、ここで降りるの?」


買い物に行くにしてはあまりにも人気ひとけのない停留所を選んだ為か、彼女は心配そうな顔をミラへ向ける。


大丈夫。


ミラは言った。満開の笑顔を見せつけながら。



「お兄ちゃんが来てくれるから」


「そう、良かった。お迎えが来るのね」


ほっと胸を撫で下ろす女性。降車口に向かうミラに彼女は降りられる?と声をかけた。大丈夫!元気よく答えたミラは跳ねるようにしてステップを降りた。車内から手を振る女性に大きく腕を振って返す。


ありがとう…


ミラは呟いた。バスがうんと小さくなる頃、力なく腕を垂れた。



…ごめんなさい……



痛みと戦った時間。無邪気であざとい幼女の演技が、終わった。



✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎



大きく動き出したのは夕暮れ時だった。王宮は慌ただしく、ピリピリと痺れるような空気を溢れんばかりに漂わせていた。


皆が自分の仕事をほっぽり出して一人の消息を求めて走り回った。親衛隊長の彼の元に次々と報告が届くがどれもこれもが期待外れなものばかり。レグルスはもどかしげに表情を険しくさせる。


一人で外出することなど許されていないはずの6歳の少女。そんな彼女の異変に警備班が気付いた。セキュリティシステムの母体である管理室のコンピューターにミラの外出記録が残っていたのだ。それから5時間が経った今もなお、彼女の消息は掴めていない。



「ミラはもう一年もまともに王宮の外に出ていないんだ。そう遠くへは行っていないはずだよ!」


何故か当然のようにレグルスの横に立つメイサが親衛隊たちに指示を出している。そして彼らも当然のように従っている。


蜘蛛の子を散らすように多くが立ち去ったところで彼女はちら、と隣を見た。思いつめた表情で押し黙っている、彼を。


「何だよ、レグルス。何か心当たりでもあんのか?」


「……いや」


怪訝に向けられる表情からレグルスは逃げるみたく目をそらす。それでも一人思い悩んでいる様子。メイサは横からじっと見つめる。秘めているものを伺おうとしている。


「なぁ、レグルス」


低いトーンの声でメイサは切り出した。今回の事件、全ての鍵となる一言を突きつける為に。



ーーアンタ、シャウラを呼んでくれねぇか。



目を見開き、えっ、とこぼすレグルス。思いがけない提案といったところか、その顔がみるみる困惑していく。王宮前の庭園の中、二人の間に流れる緊張と、沈黙。その間もメイサは変わらぬ表情で隣の彼を鋭く見つめ続けた。彼女はまた言った。



「聞こえなかったか?シャウラを呼んでくれって言ったんだ」


「アンタ、何言って…!アイツは…っ」


狼狽するレグルスを目の前にメイサの顔には苛立ちが滲み始める。限界といったところまで膨らんで一気に吐き出す。


「そりゃあこっちの台詞だよ!敵、味方を気にしている場合か?ミラを育ててきた兄貴だったらわかるモンがあるかも知れねぇだろ!」


荒々しい声が響く。ぐっ、と言葉に詰まっていたレグルスも怒りを露わに目を吊り上がらせる。


「そんなこたぁわかってんだよ!だけど危険過ぎるだろ!それでもしミラに何かあったら…」


「このまま無意味な捜索を続ける方がよっぽど危険だろうが!兄貴が妹に何かするってのか?本気でそんな風に思ってんのか?」



アンタの従兄弟なんだろ?



「……っ」



レグルスの勢いが落ちていくのにそう時間はかからなかった。ただ悔しそうに、やるせなさそうに、唇を噛み締めている。そんな彼にメイサは続けて言う。


「アンタだって薄々気付いてんだろ?言ってたじゃねぇか、自分じゃ兄貴の代わりにはなれないって。それは二人の信頼が厚かったからこそじゃねぇの?」



それは…



レグルスはうつむき加減で口ごもる。メイサはここぞとばかりに畳みかける。


「ミラは兄貴を探しに行ったのかも知れない。子どもだし、そんな遠くまで行ける訳ないって思ってたけど…何かあり得るような気がしてきたよ。あの子、頭いいしさ」


「……」


顔を上げない、いや上げられないのか、動きを止めているレグルスはすっかり意気消沈しているかのよう。反論の一つもせずに、じっと。



「アンタは知っているはずだ。ミラが死のうとした理由も、あの子にとって……兄貴がどんな存在なのかも、な。」



一瞬揺れ動いた赤の瞳をメイサは見逃さなかった。やっぱり、という様子で目を細めていく。


だけどそれ以上の反応は返ってこない。知っているはずの事実をレグルスは話そうとは、しない。


それ以上の詮索を諦めたメイサがため息をついてまた切り出した。


蝙蝠コウモリ魔族は超音波を使って通信が取れるんだろ?シャウラは聞き取れんの?」


巧みに話を誘導していく。動揺の拭い去れないままのレグルスが小さく頷く。



「発信することはできないけれど、聞き取るだけなら…できる」


「じゃあ決まりだな」


「……」



再び口を閉ざすレグルス。葛藤しているみたいに顔をしかめている。だけど傾きかけている。押しの一言を放とうとメイサが口を開きかけたときだった。



レグルス…!!



遠くからの声に二人は驚き振り返った。王宮の裏口からスピカが向かってくるところだった。徐々に姿を大きくする彼女は息を切らし、うっすらと汗まで滲ませている。癖毛のショートヘアはぐしゃぐしゃに乱れている。目にも止まらぬ素早さでレグルスがそちらへ駆け寄る。


「何やってんだよ!中で待ってろと言っただろ!」


「ごめんなさい…でも、私もミラちゃんを探しに行きたいの…!」


眉を八の字に寄せ、涙目で訴えるスピカ。皆にとってまだ記憶に新しい自殺未遂の一件でも彼女は泣いていた。ミラの苦悩に気付けなかった。心を開くこともできなかったし、こんなことをするとは思わなかったと、後悔をこぼしながら。


それからわずか一週間と数日で起こった今回の失踪。取り乱すのも無理はない。


「気持ちはありがたいが…スピカ、さすがにアンタをこの外に出す訳にはいかねぇ。考えたくはないけれど、ルナティック・ヘブンが関わっている可能性も…捨て切れない」


「でもっ…!」


かぶりを振るスピカの細い肩をレグルスは両側から掴んだ。顔を寄せて視線を合わせる。大切な彼女に向けられたその目は柔らかな色に変わっていった。


「わかるだろ?その場合、奴らの真の狙いは間違いなくアンタなんだ。待っていてくれ、スピカ…必ず、連れて帰るから」


「レグルス…」


真摯な彼の説得にスピカの声がしぼむように消えていく。しばらくの間を置いてから彼女は静かに頷いた。下を向いた拍子にポタ、ポタ、と光る雫が数滴こぼれ落ちた。



スピカ様…!こんなところに…


殿下っ!



侍従長・ウェズンを先頭に数人の従事者たちが彼女の元へ駆けつけた。足の速いスピカにあっという間に撒かれてしまったのだろうか、誰もがすっかり疲れ切った顔をしていた。


「スピカを、頼む」


「ああ、任せなさい、レグルス」


レグルスは泣いているスピカをウェズンに託すと、目をそらすようにそちらに背を向けた。メイサの方へ向いた顔。その瞳に強く確かな色が宿り始めた。



「メイサ」


「おう」


「俺……アイツを、呼ぶわ」


「…そうだな」



ついにその一言を発した彼にメイサは真摯な表情で頷いた。


「呼び出すなら南の町外れ…そうだな、書店裏がいい」


淡々と今後の計画を語り出す彼女。レグルスはまだ少しうつむきがちなまま、それを聞く。


「わかってると思うけど、極秘でやるよ?こんなことがバレたらアンタの信頼は地に堕ちる。私の調査でミラの前住所の当てがついたことにして、後の指示係は副隊長に引き継ぐんだ」


「ああ…」


いまいち張りのない声を漏らすレグルスの肩をメイサの両手ががし、と掴んだ。自分も一緒に罪を背負う…そんな覚悟を見せ付けるかのような強い視線で彼女は言った。


「アンタは真っ直ぐな奴だ。良心の呵責があるのも…わかるよ。だけど今は手段を選んではいられない。誰にも言うなよ?もちろん王女様にも、だ」


レグルスが顔を上げた。はっきりと答えた。



「わかっている」



いつもの凛々しい表情が戻っていた。



✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎



のどかな田舎の風景も夕焼けに染まって赤みを帯びていた。バス停から15分程歩いた場所にひっそりと佇む小ぶりな家。その二階の窓際にミラは腰掛けた。ぼんやりと外を眺めていた。


この窓からは牧場の羊たちが見える。煙を上げるパン工場の煙突、30分に一度くらいの頻度で横切る人影…懐かしい光景に表情がほころんでいく。かつては毎日目にしていたそれを抱き締めるみたいに身体を縮めた。



ーー3時間程前。


懐かしいここへ辿り着き、大切に持ってきた鍵を開けて中へ踏み込んだとき。迎えた空気にミラはすぐに息を飲んだ。


夏の日に締め切られた室内は蒸していた。だけど埃っぽさはまるでなかったのだ。まるで今でも当たり前に人が住んでいるかのように。


駆り立てられるように走り出したミラはまず一階の部屋に向かった。きっちりと片付いたリビングダイニング。雨戸と浅葱色のカーテンが締め切られて、射し込むのは小窓からの小さな光のみ。


椅子に上がって照明の紐を引くとぱっと灯る。まだ電気が通っていることに更に目を見開く。


何か希望を見出したのか、ミラは冷蔵庫の重い扉をやっとの思いで開いた。しかしそれは冷気の感じられない空っぽの箱と化していた。彼女の目からまた光が薄れていく。


扉を閉じたミラはキッチンへ視線を移した。暑い夏の日の旅路に喉の渇きを感じていた彼女、そちらを見たのは自然なことだったであろう。それは再び彼女の瞳に色を与えた。動きを止めていた。


シンクのわきのカゴの中にぽつんと一つのマグカップが収まっている。全ての食器が収納されている中、その一つだけが表に出ている。


ミラは両手で口元を覆った。耐え切れないように肩を小刻みに震わせていく。


一度気付くと次々と目に止まるもの。室内を彷徨う彼女の目はあらゆるものを順に捉えていく。


月の合っているカレンダー、塵一つ乗っていないカラーボックス…


誰が見たってわかる。何者かが定期的に管理していない限り、こうはならないと。



シャウラ…



部屋の片隅でミラが呟いた。彼の残り香を確かめるみたく雫を含んだ目を閉じて、深く息を吸った。




ーーあれから大体2時間くらいが過ぎた。


二階の寝室に場所を移したミラは十分に換気をした部屋の中から紅に染まりゆく外の風景に見入っている。


小さなこの家の所有権はまだシャウラが持っている。それはメイサの調査によって明らかになっていた。だけどただそれだけのことだと思っていたのだろう。だからこそ足を踏み入れて初めて見えた痕跡が彼女をここまで揺さぶったのだろう。


やがておもむろに立ち上がり、ベッドに身を投げ出したミラ。仰向けの彼女の目に映るのは、窓枠に切り取られた燃えるような空の絵画。



懐かしい…



微睡みにゆらりと目を細めながら彼女は呟く。



あのときもそうだった。


あのときの空と…似てる……



何か思い出し恥じらうように頬を染めた彼女は首を横向きに、そっと目を閉じた。




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