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二人だけの秘密

「はぁい、どうしたの? イケメンの2人が揃って僕を見つめてるなんて」

「ねぇ、葵ちゃん。あの彼、何て名前だったっけ?」

 こそっと駿河に訊ねると、三枝巡査部長です、との返事があった。

「おはようございます、ミスター班長」

 三枝は聡介に向かって妙な呼びかけをすると、

「休暇をいただきたいんですが」


 捜査本部が立ち上がって刑事達が猛烈に忙しく動き回っているこんな時に、よりによって休みたいなどと言い出せるその神経が、和泉にさえ信じられない。

「後にしてくれ」さすがの聡介も気分を害したのか、素っ気なく答えて手元の資料に目を落とす。

 しかし三枝はどこ吹く風で、

「ずっーと口説いていたキャバ嬢のあかりちゃんが、やっとデートの誘いに応じてくれたんだよ!? このチャンスを逃したら二度目はないんだよ!!」

 聡介は嫌そうな顔をして、

「今は、眼の前の事件を解決することだけ考えろ」

「だとよ、王子様」友永は三枝の肩をポンポンと叩いた。「こりゃがんばって事件を早急に解決するしかないなぁ?」

「……じゃあ、頑張る!!」

 

 本気だろうか? しかしやる気になったのはいいことだ。

「ねぇ、聡さん。三枝君の有効活用法があるんだけど……」

 和泉がそう言うと父は不思議そうな顔をした。

 しかし詳細を話すと、しばらく悩んでいたようだったが、ゴーサインを出した。

「なんとかとハサミは使いようだよね。じゃ、行こうか葵ちゃん」


 さて、今日も聞き込みに出掛けるか。和泉が椅子の背に引っ掛けていた上着を取り、捜査本部を出ようとした時だ。

「あの、和泉警部補!」

 白うさぎが近寄ってきた。

「お願いが……あるんですが」

「何?」

「その、えっと……いや、やっぱり後でいいです!」

 何なんだ? 和泉は慌てて走り去る白うさぎの後ろ姿を見送った。

 どうせ、聡介の好きな食べ物は何かだとか、好きなタイプの女性はどんなだとか、そんなことを聞きたいのだろう。

 まったく、緊張感も何もあったものじゃない。

 

 ふと和泉は思った。

「ねぇ、葵ちゃん。女性から言い寄られたことある?」

「……何故ですか?」

「だからさ、ガイシャがどこの旦那に手を出してたかってことだよ。まず、親しくなったきっかけは何だろうって考えてみたんだ。今、うさこちゃんを見ていてふと気がついたんだ。ガイシャはあの変人、小野寺に好意を寄せられて迷惑していたんだよね? そんな時に相談相手として選ぶのは誰か?やっぱり直属の上司だよね」

「つまり、コールセンターの方の人間が怪しいと?」

「なんとなくそんな気がするだけ。推測に過ぎないから、まだ二人だけの秘密ね?」


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