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時空間魔法で異世界旅行記  作者: 紙紙紙
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アイラの自宅にて

 ブルーストームドラゴンのメイルの背に乗ったアスカの姿は雲の中に隠れ見えなくなった。その時マモルの背中が叩かれマモルは振り返る。


「いった!……なんですかヴァーナルさん……」


 ヴァーナルは二カッと笑っている。


「流石だ! これでランクAの冒険者は俺とお前で二人目だ! エレンももうすぐでランクAになるし、この街は安泰だ! がっはっは!」


 手を腰にあてヴァーナルは高らかに笑う。


「マモルさんお疲れ様でした」


「エレミレさんもお疲れ様でした。髪……大丈夫ですか?」


「えぇ……」


 強風によりエレミレの髪はぼさぼさ。マモルが気に掛けるとエレミレは目を逸らし手で乱れた髪を梳かす。


「わふ!」


 クロがマモルの胸元のに飛びつき、しっかり受け止めたマモルの腕の中で物凄く尻尾を振っている。


「クロ、さっきはありがとうな!」


「わふわふ!」


 頭を撫でられクロは嬉しそうに鳴く。


「ワフ」


 クロを降ろしククリに声を掛ける。


「ククリ怪我とかないか?」


「ワフ」


「そうか」


 ククリの頭をマモルは撫でる。

 そんなところにエレミレが話しかける。


「マモルさんお話しよろしいでしょうか?」


 立ち上がりマモルは答える。


「はい、大丈夫です」


「書類関係でお話しがありますので部屋までお願いします」


「分かりました」


 マモルたちはギルド長の部屋に向かい、到着するとエレミレが事前に準備していた書類に必要なことを書き込む。書き終わると外は茜色の空をしていた。


「……はい、ご協力ありがとうございますマモルさん。ギルドカードは明日の昼頃に来ていただければお渡しできます」


「分かりました。あ、エレミレさん。出来上がるまで前のギルドカードで受けれますか?」


 書類を纏めていたエレミレが答える。


「はい、問題なくクエストは受けれます。ただマモルさんはまだランクFなので受けれるのは一つ上のランクE指定のクエストまでになります」


「そうですか。なら、午前中はゆっくりしてから冒険者ギルドに寄ります」


「分かりました。マモルさん改めて今日はお疲れ様でした。それとランクAおめでとうございます」


「ありがとうございます」


 マモルは席を立つと退屈で寝ていたククリとクロもマモルの後ろについて行く。ドアノブに手をかけた時ヴァーナルが言う。


「ちゃんと休めよ!」


 機嫌が良いヴァーナルにマモルは軽く会釈し部屋を出ていく。

 もうすぐ夜になるため冒険を終えてクエストを報告に来た冒険者でロビーは溢れていた。


「マモルだ、今帰り?」


 時々騎士団長のアスカやドラゴンの噂を耳にするが気にせず人波を掻き分け外にで出るとアイラとばったり会う。


「うん、アイラも帰るところ?」


「そうだよ。じゃ一緒に帰ろうよマモル」


 特に予定もないのでマモルは素直に頷く。


「了解」


 大通りで並ぶ屋台の匂いにつられてあっちこっち行こうとするクロを止めるクロが先に行き、マモルの隣にはアイラが並び歩く。

 人も増えきた為マモルは無意識にアイラの手を掴み先導する。


「///!?」


 マモルの突然の行動にアイラは顔を赤くする。大きくてしっかりと掴んでいるマモルの手を見た後視線を上げるとニマニマしているベラと目が合う。


「あ、あ、あのう……えっと……」


 俯くアイラにベラはマモルに気づかれないようにふわっと飛びアイラの肩に止まる。


「アイラさん、あとで部屋に伺いますね」


「う、うん」


 ウィンクしてベラはフードの中に戻る。

 アイラは心中で家に着かなければいいのにと思うのだった。


 

「今日人多かったね」


「そ、そうだね」


 結局アイラの家の前まで手を繋いでたマモルとアイラ。家が見えた途端マモルの方から自然と手を離す。

 アイラは握ったり開いたりしてマモルの手の感触を思い出す。


「どうしたの?」


 振り返ったマモルが尋ねる。


「えっ、な、なんでもないよ! 今日はお父さんが夕飯作って待っているって言ってたから早く入ろう!」


 はぐらかすようにアイラは早足で家に入る。


「う、うん」


 マモルも急いで家に入る。後からククリもクロも入り居間に行くと既に料理が並べていた。


「お、帰ったか。ほら、冷める前に飯にするぞ」


 パイウスに言われマモルたちはそれぞれの席に座り夕飯を食べ始める。

 談笑しながらあっという間に食べ終わったマモルはすることもなく疲れていたためククリとクロのもふもふを感じながら直ぐ眠りに就く。





「アイラさん、入りますね?」


「ど、どうぞ」


 扉をノックしアイラの入室許可が出たのでベラは扉を開け座ってるアイラの膝にちょこんと座る。そして、ベラは真剣な表情で尋ねる。


「アイラさん、単刀直入に聞きます。マモルさんのこと……好き、ですか?」


 ベラに言われマモルことを考えアイラは口を開く。


「……はい、好きです」


 アイラの言葉を聞いてベラは微笑む。


「その答えが聞けて嬉しいです」


 膝のから肩にベラは移動する。そして、独り言のようにベラは呟く。


「私がいなくなってもアイラさんがいれば安心です……」


「……え? どういう――」


 アイラが聞こうとしたとき肩から飛びドアの前に。出ていく前にベラは振り向いて言う。


「アイラさんこの事はマモルさんに内緒でお願いしますね。じゃアイラさんおやすみなさい」


 ペコリしてベラは部屋を出ていく。


「秘密って……」


 アイラは悶々していると閉まった扉が開き少しビクッとする。


「アイラさん、言い忘れていたことがありました。応援してますし、マモルさんとうまくいくように協力しますね!」


「う、うん……」


「おやすみなさい」


「お、おやすみベラちゃん」


 再び扉が閉まり一人になったアイラは横にながら色々なことを考えているといつの間にか眠ってしまう。



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