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時空間魔法で異世界旅行記  作者: 紙紙紙
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冒険者ギルドでひと騒動

 マモルたちは屋台で賑わう大通りを通り冒険者ギルドに向かう。

 食欲をそそる匂いで目でつい屋台を見てしまうマモルは、この後夕食だから我慢と自分に言い聞かせ通り過ぎていく。

 やっと抜けると所でクロがいないことにマモルが気づく。


「あれ、クロは?」


 マモルに言われベラもククリも一緒になって辺りを探すがいない。すると、遠くからクロの鳴き声が聞こえ見ると尻尾を振って屋台の前で待っている。

 マモルたちは人の波を掛け別けクロに駆け寄る。


「食べたいのは分かるけど今急いでいるから後にしよう?」


「くぅん……」


 クロはマモルに注意されしょんぼりしている。

 哀愁漂う姿にマモルは今回だけと決める。


「仕方ないな、今回だけだよ」


 マモルはそう言いながらクロの頭を撫でると、


「わふ!」


 嬉しそうにクロは一鳴き。


「すいません串一つお願い――」


「ワフワフ!」


 クロ分だけ頼もうとしたとき後ろいるククリも鳴く。マモルは振り向くとククリの目が僕のは?と言いたげな目をしていた。


「――串二つでお願いします」


「あいよ」


 マモルは串を受け取りクロとククリにあげる。


「わふ!」


「ワフ!」


 ククリとクロは美味しそうに食べる。


「すいません、もう一つお願いします!」


「あいよ!」


 美味しそうに食べる二匹を見ていたらマモルも我慢が出来なく頼んでしまう。空腹が満たされたマモルたちは冒険者ギルドに足を進めた。

 しばらく歩き冒険者ギルドについたマモルは扉を開ける。


「マモルーーー!」


「うわっ!」


 するとマモルを見つけたアイラは駆け寄り抱き着く。勢いを受け止め切れずマモルとアイラは一緒に倒れた。


「いてて、アイラ大丈夫?」


 マモルが心配して声を掛けると顔を上げたアイラは瞳に涙をためていた。


「帰るの遅いよう……」


 限界を迎えた涙はアイラの頬を流れる。


「心配かけて、ごめん」


 マモルは心の底から謝る。


「本当だよ……」


 マモルはアイラを立たせてから近くの椅子に座らせる。


「アイラさん大丈夫ですか?」


 アイラの顔を覗きながらベラが聞く。


「うん、大丈夫だよ。ごめんね」


 アイラは微笑み返す。


「ベラ、クエスト完了の報告してくるからアイラの事みてて」


「はい、任せてください!」


 マモルは割かし空いている受付の列に並び順番を待つ。待っている間席をちらっと見るとアイラはいつも通りになっていてマモルは安堵する。


「これ採取クエストの依頼品です」


 順番が来たマモルはディメンションボックスから薬草三束と依頼書を受付に渡す。


「……はい、確かに。これが報酬金です」


「ありがとうございます」


 マモルは報酬金をディメンションボックスにしまい、アイラたちのもとに戻ろうとしたとき見知らぬ大男に絡まれているの見たマモルは駆け足で向かう。



「アイラさんが困っているじゃないですか! やめてください!」


 アイラは大男に飲みに誘われたが拒否したため無理矢理連れていかれそうになるところをベラは大男の前に出て止める。


「グルルルル!」


「わふわふ!」


 ククリとクロも威嚇する。


「うるせぇ羽虫と犬どもだな!」


「羽虫じゃないです! 私は妖精です! 訂正してください!」


 羽虫と言われベラはプンプンと怒っている。


「うるせぇ!」


「きゃっ!!」


 大男はべしっとベラを叩き落とす。


「ベラちゃん! 離してくださいドーガさん!」


 床に叩き落とされたベラを心配して抵抗する。


「おっと離さねぇぜ!」


 が、大男――ドーガとの力の差にアイラは振りほどけないでいる。


「くぅん?」


 クロが心配してベラに寄り添う。ククリは犬歯を剥き出して今にも飛びかかろうとしていた。


「ベラ大丈夫か?」


 その時、タイミングよく戻ってきたマモルもベラに手を差し出す。


「はい、大丈夫です。それよりも」


「うん、わかってる」


 マモルはドーガと呼ばれていた大男に睨めつける。


「なんだ? 文句あるのかひょろいの」


 ドーガは睨み返すが怯むことなくマモルは言う。


「アイラが嫌がっています。離してあげてください」


「はぁ? うるせぇガキだな! 引っ込んでいろ!」


 ドーガはマモルの胸ぐらを掴む。身長差によりマモルは少し浮いたが、ドーガの手を掴みマモルは冷たく唱える。


「フリーズ」


 ドーガは突然動きは止まる。胸ぐらを無理矢理外しアイラに近づく。


「怪我無い?」


「う、うん」


 突然止まったドーガに困惑しながらアイラは返事する。


「離れられる?」


「うん、どうにか」


 アイラはしゃがみ腕の中から脱出し、マモルに駆け寄る。


「マモル、なにしたの?」


「動きを止めただけ」


 周囲も何が起きたのか分からなくざわめく時、冒険者ギルドの扉が勢いよく開く。


「マモルさん! アイラさん! 大丈夫ですか!?」


 それはエレミレだった。

 既に帰宅していたエレミレに他の職員が知らせ、エレミレは衛兵たちを引き連れて冒険者ギルドに戻ってきたのだ。





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