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時空間魔法で異世界旅行記  作者: 紙紙紙
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冒険者ギルドへ

 次の日、朝食を済ませたマモルたちはさっそく身分証を作りに冒険者ギルドに向かう。

 初めての異世界の街に目を奪われながらマモルは昨日ベラに聞きそびれたことを思い出し尋ねる。


「あのさ、昨日俺のポケットに入れたお金って……」


「あぁ、あのお金ですね」


 ベラはそう言うと肩に移動し座って説明する。


「あのお金は、神様から緊急時に使うように言われたお金です。無駄遣いしなければ一週間程は貰っていますよ」


 何から何まで手配してくれた神様に感謝の言葉を言いたくなったマモルは方法が無いかベラに聞く。


「そっか……あのさ、神様にお礼を言いたいんだけどどうすればいいかな?」


「それなら、教会行くといいですよ」


「教会ってあれか?」


 マモルは視界に映った白を基調にした建物を指さす。


「はい、あれですね。教会にある神様の像――あ、そう言えば神様の名前知りませんよね?」


 しばらく考えてからマモルは頷く。


「マモルさんを転生させた神様はアテペウス様。この世界にいる五大神のうちの一柱です。序に五大神の事も教えしますね」


 マモルはベラの話をちゃんと聞くために座れる場所を探し座る。ベラを膝に乗せ、ククリは足元に伏せている。


「じゃ頼む」


「はい。五大神とはこの世界を管理している五柱の事です。五大神はそれぞれの国で信仰されています。」


「それぞれって言うと?」


 いまいち理解してないマモルは聞く。


「アテペウス様は王国、帝国ではルフーシュ様、聖国はカーリヴァラ様、技国はエレルフタ様、魔国はヴィシュヴェナハル様が信仰されています」


「そうなんだ。他の国ではその神様以外は信仰しないのか?」


「王国以外ではあまり信仰してされていません。帝国なんて法律で禁止になっています」


「意外と厳しいんだな」


 日本では様々な宗教がある、そう思うとあまり自由に信仰できないだなとマモルは思う。


「じゃあこの街は王国のだからあの教会はアテペウス様が信仰されているのか?」


「そうです」


「なるほど……じゃあ身分証を作り終わったら行くかな。ありがとなベラ」


 話も終わりマモルは立ち上がり冒険者ギルドに向かう。ベラはフードに隠れ、ククリはマモルの右側に並んで歩く。

 しばらく歩くと剣をクロスさせた看板を下げた冒険者ギルドに辿り着く。


「人多いな……」


 扉を開けると大勢の冒険者でギルド内はごった返していた。


「きっとダンジョンが見つかったことで人が増えたんじゃないんですか?」


 マモルはパイウスの話を思い出し納得する。

 マモルたちは受付の列に並ぶ。ここでも周囲の視線がククリに向けられていた。だけどククリは気にしている様子はない。そんなククリにマモルは視線を送ると首を傾げて見返す。

 可愛いと思ったマモルは頭を撫でる。


「次の方どうぞ」


 聞き覚えのある声だなとマモルは思いつつ受付カウンターに行くとそこにはパイウスの娘アイラが座っていた。


「マモルさんだ。今日はどうしたんですか?」


「アイラさん、ここで働いていたんですね」


 誰よりも早く食べ終わったアイラはすぐ出かけた。まさかここで会うとはマモルは思っていなかったが知り合いが受付ならいいかと思うのだった。


「そうよ。マモルさんは……冒険者登録?」


「はい。お願いします」


「じゃ、この紙に名前と職業を書いてね」


 アイラから紙とペンを受け取るとマモルは職業をどうするかと悩む。すると、ベラがフード越しで小声で話しかける。


「マモルさん、職業は魔物使いで」


 マモルはベラの意見を聞き紙に魔物使いと書く。すらすらと書いているとか日本語で書いていることに気づきペンが止まる。


「書けた? どれどれ……」


 書き終わったと思ったアイラはマモルから紙を奪い取り確認する。


「うん問題ないね。今発行するから少し待っててね」


 アイラは身分証を発行しに席を離れる。 

 アイラが普通に読めていることにマモルは安堵するが同時に疑問が生まれベラに尋ねる。


「ベラちょっといいか?」


「どうかしましたかマモルさん」


「さっき日本語で書いたと思うんだけどこの世界での文字って日本語なのか?」


「違いますよ」


 ベラはあっさり否定したことにマモルは困惑した。


「じゃ、じゃなんでアイラは日本語読めたんだ?」


「マモルさんが書いた文字は自動でこの世界の人が読めるように変換されているんですよ」


「へーそうなんだ。……もしかしてこれもアテペウス様が?」


「そうです」


「そうなんだ」


 アテペウス様に感謝してもしきれないなとマモルは思った。

 しばらくするとアイラが戻ってきて椅子に座る。


「マモルさんお待たせ。これが身分証になるギルドカードだよ」


 アイラから渡されたのは軍隊で個人識別用に使われているシルバーのドッグタグのようなものだ。


「今からシステムを説明するからこっちの部屋に来て」


 アイラに案内され部屋に入ると向かい合わせで椅子に座りアイラの説明が始まる。


「じゃあまず、階級からだね。

 マモルさんは今日初めて登録したから一番したのFランクの通称星なしから始まるよ」


「星なし?」


 マモルは首を傾げて聞く。


「階級を一つ上げるごとにギルドカードに星が付くんだ。で、Aランクで星五つになって、各国の王の命じたクエストを達成すると最高級のSランクになるの! そしてギルドカードも黄金に輝くゴールドカードなるの!」


「あー星が一つもないから星なしか」


「そう。じゃ次はクエストの種類かな。クエストには大きく分けると討伐クエスト、採取クエスト、護衛クエスト、お使いクエストだよ」


「お使いクエストって?」


 他の三つは何となくわかっているマモルは一番謎のクエストを聞く。


「街の住人からのクエストだよ。屋根の修理とか飼い猫を探したりとか色んなクエストがあるんだ」


「なるほど。じゃあ色んなクエスト?を受けて達成すると階級があがる使用なんですか?」


「うん、そうだよ。マモルさんはのみこみが早くて助かるよ」


 アイラは続ける。


「最後に注意点ね。一か月以内にEランクに上がらないと剥奪されるてその街では冒険者登録できなくなるから気を付けてね」


「き、気を付けます」


 マモルは真面目にクエストをやろうと誓った。

 アイラの説明も終わり特に不明点もなく部屋から出るときマモルはクリスタルホーンラビットの事を思い出す。


「あ、アイラさん。ここって魔物の素材の買取ってしているの?」


「えぇしてるわよ」


「よかった。道中たまたま討伐した魔物があって、ここで出せばいい?」


「うん」


 マモルはディメンションボックスと唱えクリスタルホーンラビットの角を取り出し、テーブルに乗せるとアイラの顔色が変わっていく。


「こ、ここここれって……」


「クリスタルホーンラビットの角ですよ」


「ええええええええええええ!!」


 マモルがしれっと素材の正体を言ったせいでとアイラは顎が外れるぐらい絶叫する。

 余りの五月蠅さにマモルとベラは耳を塞ぎ、ククリはびびってマモルの後ろに隠れる。

 耳を塞ぎながらマモルはやってしまったのかと心中思うのだった。


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