三種の神器を生み出したのは当然にして・・・・・・そしてこの会社は突如としてずっこけた。
日本で始めてテレビを販売した国内企業はどこか。
東芝である。
日本で始めて電気式炊飯ジャーを販売した国内企業はどこか。
東芝である。
日本で始めて電気冷蔵庫を販売した企業はどこか。
GEのコピー品を東芝の子会社が売り出したのが最初である。
日本で始めて電動式洗濯機を発売した企業はどこか。
東芝である。
答えは全部東芝である。
時は1956年。
戦後生まれた債務を処理しきれた国内企業は様々な事業に投資しはじめるようになる。
これこそが日本国民が潤い始める神武景気の正体であり、朝鮮特需によって国民が潤ったと書かれている子供用の歴史漫画などは半分嘘っぱちである。
ここで生まれたのが三種の神器といわれる、現在では白物家電といわれるもが昭和を扱う特番などでよく話題になるが、実はこれらの製品を国内で最初に投入したのは東芝である。
それも経済復興どころか戦前から販売し、戦後自社技術を多く活用することで価格を下げて庶民にお手ごろな値段で高性能なものを提供して先行したのが東芝である。
日本において電気産業というと東芝、日立、ソニー、パナソニックの4つは欠かせない存在であるが、この4企業は戦後の昭和から平成元年にかけてまで世界でその名を轟かせた存在である。
現在はどうなのかということはさておき、ソニーの創業者である横山が言うように、戦前から最新鋭の技術に触れてGEにより手塩にかけて育てられた東芝は、戦後家庭用品においては圧倒的な力をもっていた。
殆どの会社は東芝に追いつこうとし、安価な製品を作って対抗するが、NHKの朝ドラでも描写されたように、こういった安価な商品は不良品や問題を起こす事も多く、資本主義社会における自然淘汰の流れも生まれた。
例えばバイク関係に目をやると、当初山ほどあった自動二輪のメーカーも1970年代ともなると一気に数社となってしまう。
その中でも何度も転覆しかけたのがカワサキモーターズこと川崎重工であるが、川崎重工ほどの企業ですら技術力を得て世界に躍進していく企業の後塵を後塵を拝するような状況であった。
そんな中で東芝は1960年代までずっとトップを走り続けるが、1960年代が終わると同時にソニーなど後追いの企業に追い抜かされていくこととなる。
世はまさに開発戦争ともいうべきといった状況であった。
しかし半導体や発電事業などで収益を重ね、そちらの方面では他社も追随できないようなものを作った。
そんな東芝が今潰れかけている原因は経産省による強引な押し付けがあった。
リーマンショックから早期に復帰した後、経産省は貯蓄して社員に還元したり新たな事業展開を行わない東芝に、何か新たな事業を行えと圧力をかける。
これこそが例の米国への原発事業への参入であったが、実は当初の予定では収益性が確保できないなどということはなかった。
米国において収益性が確保できなくなった原因は3.11にある。
3.11の後、原発に対し不信感を抱いた米国は原発関係への耐震設計を改めるよう各メーカーに圧力をかけた。
本来ならば耐震設計などはむしろ得意分野であるはずの日本企業であったが、米国政府が望んだものは米国メーカーをして「そんなもの不可能だろ」というほどに頑強で安全性を確保した原子力発電所であり、新規参入を目指していた企業が早々に手を引くことになる。
一方で後に引けない状況にてそうなった東芝は莫大な負債を抱える。
それと同時に東芝が苦しんだのは日立との戦いであった。
例の不正な収支事件は海外展開を上手く利用してコストを落とした日立に対し、国産や日本人技術者による対抗を行おうとして逆ザヤに陥った際に誤魔化そうとしたのが原因だが、かつて米国企業が占領政策を緩和させるほどに信頼をよせた東芝も、戦後60年を超えるとただのダメ企業となってしまう。
しかし日本政府としては現在での東芝の国内での事業展開から早々に潰せない。
中央官庁のシステムに東芝が関わっているからというのがその理由だが、やはりもう1つの理由としては、米国企業に気に入られ、戦時中も軍事関係とは距離をおき、最終的に戦後復興においては先導する立場であったということからどうしても会社自体は存続さたいのだろう。
筆者は不正会計を行う前から東芝とはある程度関わりがあるのだが、富士通やNECなどと比較すると信頼できる社員が多く、誠実なイメージは昔から変わっていないなと思っていた。
そういう者を100年以上採用し続けていたのだと考えていたのだが、
どちらかというとやはりネット上で社員が言うように腐敗したのは経営者側であったように思う。
今回の東芝の再建計画に関わる企業にはソニーやアップルなども含まれるが、やはりここでも再建を行いたい理由は東芝が抱える社員が昔とあまり変わらない性格をもっているからであると言われる。
そういう者をきちんと導けなかったのは経営者であり、そしてどうも経産省も負い目を感じているようだが、こちらも原因の1つであるのは間違いないであろう。
東芝が今後復活するかどうかは未知数であるが、筆者としては再び過去の栄光を取り戻して欲しいものである。




