最終回
宮藤雅人、奴の失踪騒動…、あれから一年が過ぎた。
俺の姉、足立桜花は学校を卒業して、現在は大学生だ。なんと初めての彼氏が出来てその彼氏に甘えまくってるらしい。
現在はその一人暮らししてるらしい彼氏の家に上がり込んで同棲生活を謳歌しているらしく、たまに連絡が来ると惚気まくって来やがる。
こっちにも彼女がいるので惚気返して互いに恋人自慢するのが姉弟間でのやり取りの主流となっていた。
一個年上らしくそれまで姉として、先輩として、聖女としての立ち振舞を求められて来た姉にとって年上の男に甘えたいと言う願望が心の奥底にあったのだろう。
まぁ男の方もあの無駄にデカい巨乳と無駄に高い顔面偏差値を併せ持つ姉に頼られるのは決して悪い気はしないだろう。
まぁ弟として姉の恋路を邪魔する気は無い。
むしろ上手く行ってほしいものだ。
そしてだ。
結局宮藤は一年経過した今でも見つかって無いらしい。
警察も捜査を完全に諦め未解決事件として扱われる事になったのも記憶にあたらしい。
宮藤の家族も息子の事を忘れる事にし、新たに家族としての再スタートを切る決心をつけたみたいだ。
本当に悲しいやつだ、幼馴染に見限られ…次は家族からも忘れられる。
今何処で何をしてるのか俺には解らないけど奴の幸せを願う程度には情もある。
別に不幸になって欲しいとまでは思っていない。
俺達の知らない所で他人に迷惑をかけない範囲で幸せに暮らしてて欲しいと思う。
全くもって独善的だと我ながらに思う。
しかし人間なんてのは皆大なり小なり偽善者だ。
口当たりの良い戯言を言って自分を正当化する。
この世界に良い人間、正しい心を持った人間なんて本当はいないと俺は思っている。
俗に言う良い人、正義の味方なんてのは人の主観で変わるのだし別の人からすれば正義の味方は悪魔の様な心を持った敵に変わる。
結局何が言いたいかと言えば俺は宮藤から茜を奪った罪悪感をそれらしい御託で正当化したいだけなのだ。
さて、俺と茜も高3で受験生だ。
3年の茜は委員長にはならず何かしらの委員会にも入らない普通の生徒となった。
俺と放課後の時間をめいっぱい楽しみたいらしい。
今は同じ大学目指して一緒に勉強をしている。
茜は教え上手だし、頭も俺よりは良い。
といっても茜の主観ではまだまだ大学を壱発合格出来るレベルには程遠いらしく、俺の姉ちゃんに勉強を教えてもらってるみたいだ。
なんか彼女が姉に取られたみたいで少し悲しい。
まぁ美人が一緒にいると目の保養になるので見てる分にはモーマンタイだ。
茜のVチューバ活動は結局鳴かず飛ばず…引退した訳では無いがあれからチャンネル登録者数も伸びず、同接数も同じ。
茜も配信の頻度が下がり、受験勉強でここ最近はそれどころではない。
実質的な自然消滅扱いとなった。
ただ俺は茜に生ASMRを偶にやってもらっているので耳がとても幸せだ。
最近は俺の弱点を見つける事にハマっているのかとても楽しそうに
「はぁ〜い、智君ここカリカリしてあげるねぇ〜」
カリカリかりかり、
「ふおおお…、」
「ふふ、声出てるよ…」
「し…仕方ないだろ?」
「気持ちぃのぉ?じゃこれはどう?ふう〜」
「はぁぁ…」
といった感じで耳をせめて楽しんでいる。
若干Sっけに目覚めつつある茜さんだった。
そういえばだ。
学校社会にもすこしの変化として5大女神っていう文化が風化してやがて無くなっていった。
女神の先輩枠である聖女の姉ちゃんと副生徒会長が卒業し、残るは3人だけとなった。
図書室の天使なんて呼ばれていた冬真だが、アイツは男漁りが激しくなった。
なんというか、取っ替え引っ替えが頻繁になり、付き合っては別れ、付き合っては別れを短期間で繰り返しているらしい。
お蔭で天使というよりビッチと言う印象が強く出てしまって以前みたいに女神と呼ばれなくなってしまった。
しかしおそらくまだ未経験だ。
なにがって? 言わせるな、わかるだろ?
身持ちの硬いあの女は未だに自身の貞潔を貫いている。
故に厳密にはビッチではないのだが男を取っ替え引っ替えしてるのは変わりないのでその印象は最悪と言っていいだろう。
そして仁ノ崎杏朱だ。
彼女は茜に成り代わる形で女神と呼ばれていた美少女だが彼女本人にはその気はない。
今も智樹に甲斐甲斐しい態度をやや過剰気味にとっていてそのムーブはむしろストーカーにちかい。
最近ではメンヘラヤンデレ風味になっていて智樹は絶賛疲れ果てている。
「よぉ、今日もモテモテだな?え?憎いねぇこのこの!」
と、いつぞやの仕返しをしてやると…
「もう好きに言ってくれ…」
とかなり投げやりな反応が返ってきた。
どうやら本当にお疲れのようだ。
「智樹…駄目だよ?ほら?寝癖がそのままだよ?ほら、駄目よ…」
「いいから、こんなのほっとけば治るから」
「駄目よ…ちゃんとしないと…」
といった感じで学校でもいちゃついている。
いちゃついてるんだよな?
といった具合でもう誰も仁ノ崎さんに言い寄らなくなった。
取り巻き達も相手にされない虚しさはあるみたいで馬鹿馬鹿しくなったのだろうか?
後は2年に進級した宮藤の義妹さんだが俺は彼女の事をろくに知らない。
少なくとも彼女にまだ女神としての魅力が残っていても実質的に4人も女神がいなくなれば誰も5大女神なんて呼ばなくなる。
こうして女神なんて文化は学校から自然消滅していった。
今にして思えば女神文化は宮藤のハーレムが元となって生まれたモノな気がする。
アイツありきの女神文化だったんだ。
その宮藤がいなくなった事で女神文化の消滅は決まっていたのだろう。
最初は俺も随分と屈折していたけど、今は茜のお蔭で前を向けていれる。
俺は俺の出来る精一杯を持ってこの幸せを守っていきたい。
「どうしたの?智君?」
「いや、なんか…俺なんかといてくれてありがとな」
「もう何それ…自分の事をなんかって言ったら駄目だよ?それに私こそ一緒にいてくれてありがとうだよ。」
「ああ…どういたしまして…?」
「ふふ、なにそれ?」
「はは…なんだろな?」
「ふふふ…」
こうして笑い合える幸せを…手放したくない。
だから守って行こうとそうおもえたんだ。
足立視点の話はここで完結とします。
宮藤がいなくなったので話がこれ以上膨らませられないので。
要望があったら番外編として他キャラの視点を書こうと思います。




