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モブを自称するモテモテハーレム主人公君の友達役になった俺は彼を観察するのが趣味の1つです。  作者: ムラタカ


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42話  行方不明

雅君が行方不明になったらしい。

おばさんも花楓ちゃんも必死になって探したらしいけど見つけられなかったらしい。

私が匿ってるって疑われて花楓ちゃんが家に乗り込んで来たけどいない人を見つけることはできないのだから見つけられる訳がない。

警察にも依頼して探してもらったらしいけど未だに雅君が見つかったという話は聞かない。


花楓ちゃんは家出したんだと言っていたけどそれは無いと断言出来る。

出来てしまう…。

私はこれでも雅君の幼馴染だ。

彼の性格は理解している。

彼は基本的に真面目だ。

そして臆病だ。

呪いの力を持ち、それを朧げながらも自覚していながらその力を悪用しなかったのは彼の繊細な心があったればこそだ。

基本的に真面目で臆病者な雅君はここぞと言う所で悪人にはなりきれない。

ただ、少しくらいは良い思いをしてもいいよね?

僕だってそのくらいの権利はあるはずだよね?


なんて言う、ちょっとばかりの身勝手さを持っているのだけど…。


とにかくそんな優柔不断な雅君が自分の意思で何かをするとは考え辛い。

家出なんて度胸がいる事を雅君が自分の意思で出来るとはどうしても考えられないのだ。



だからこれは…第三者の介入…

私は…



「誘拐を疑っていると…」


「うん…」


「なるほどね…だとすると只事では済まされないわね」



私と智君の会話に割り込んできたのは智君の姉、学校で聖女と呼ばれている五大女神の1人、足立桜花先輩だ。


私達は今、足立家のリビングでくつろいでいる。

元々今日は智君のお姉さんである桜花先輩に呼ばれていたので今日智君の家に行くのは以前から決まっていたんだ。

 

桜花先輩は弟の彼女が私だと理解すると


「まさか貴方が弟の彼女になるなんてねぇ、世の中何が起きるかわからないものよねぇ」


なんて言って笑っていたが、



「弟の彼女ってことはつまり私の妹みたいなものだしどんどん甘えて良いのよ?」



なんて言われたら甘えたくもなる。

少し前までは雅君を取り合うライバルみたいな関係で表面的には仲よくお茶なんてした事もあったけど内面ではドロドロと探り合いが勃発していたのに…

こんな日が来るなんて当時の私には発想すらなかった。


それはそうと、女の身として、少しばかり羨ましくも思ってしまうその大きな胸は同性の私でも魅力的に感じてしまう。

嫉妬よりも妙な包容力が先に来る。

甘えたくなるんだ。

だから私は最近ではよく悩み事の相談をよく桜花先輩にしている。

最近は智君に会う以外にも先輩に会うために足立家に来る事も増えたのだ。



そんな時に雅君が行方不明になった話を何処かで聞いた桜花先輩も元ハーレムメンバーの1人だからかやはり気にはなるらしい。

もう雅君に恋愛感情は無いと彼女は断言しているけどそれでも一時は彼に恋した立場として行方不明になった彼を探す義務が自分にはあると考えているみたいだ。


私には無関係の桜花先輩にそんな義務も責任も無いと思うけども…。



「姉ちゃんが出しゃばる様な事じゃ無いと思うぞ?もしホントに第三者が絡んでるなら危ないし、警察が動いてるならそれに任せればいいだろ?」


「そんな無責任な訳にはいかないわ…これでも私は彼の先輩なの…見過ごす事は出来ないわよ…」


「はぁ…」



恋愛感情は既に無い。

彼女の言葉に嘘偽りは無いだろう。

呪いの効果はとっくに切れていて、今の彼女はとても理性的だ。

もし呪の影響が残ってるならもっと取り乱し理性の伴わない行動に出ていただろうから…。

今の彼女はただ目をかけていた1人の後輩の安否を純粋に心配しているだけ。

流石、聖女なんて呼ばれてるだけあるなって私はそんな事を思っていた。



それから幾ばくかの時が流れたけど結局雅君が見つかる事は無かった。

桜花先輩は自分の取り巻きも使って無理の無い範囲で彼を探したけど成果を上げることはできなかった。


警察も捜索を打ち切り、未解決事件として取り扱う事にせざるを得ないようだ。



雅君が行方不明になってから更に時間が経過して、もう誰もその事に触れなくなっていった。

一部の人は面白半分に話を広げているけど人の噂は長続きしない。

元々友達もいないし、変に悪目立ちしていた彼は誰にも心配されること無くそっと話題にも上がらなくなった。


皆飽きてしまったのかな…

いや、誰も敢えて話題に出さない様にしてるのかも知れない。

まるでその事自体が禁則事項であるかの様に。






それから少し変った事として、あれから大地君と仁ノ崎さんが結局よりを戻した…また付き合う事にしたみたいだ。


とはいえ大地君はしぶしぶ押し切られたみたいなモノでまだ納得はしていないみたいだけど…。

それでも雅君という不安要素が無くなった事が仁ノ崎さんの勢いに火を入れるきっかけになったみたいで毎日グイグイ迫られ、大地君はヘトヘトになっていた。


それに彼女は新しく女神に加えられるくらいの美人だ。 

それ故に彼女に良い所を見せようって男子が後を絶たない。


告白しても断られ大地君一筋な仁ノ崎さんに正攻法では駄目だと感じた何人かの男子は何を思ったのか彼女の恋のフォローを始めた。


仁ノ崎さんから一途な思いを向けられる大地君は他の男子からの嫉妬と妬みが入り混じったお節介にほとほと疲れ果てもういいや勝手にしてくれと観念して付き合う事になったみたい。



ちょっと可哀想だけど他人の恋路に関わろうとは思はない。

それで痛い目にあった経験が多過ぎる私としては今は他人の恋より自分の恋に集中したいのが本音なのだから…。





____________________________________________________________





図書室は今日も静かだ。

私は図書室という、この静かな世界が好きだ。

まるで自分以外誰もいないのではと錯覚させてくる少しばかりの寂しかが私にとっては心地いい。


しかし、そんな心地良い筈の空間も今では不愉快な場所へと成り代わりつつある。

本当に嘆かわしい事だ。



「やっぱ冬真さんマジ美人だよなぁ!」


「お前話し掛けてこいよ!」


「あぁ、俺はこうして見てるだけで十分幸せなんだよ!お前が行けよ〜」


「あぁ?俺…俺は良いよ…はは…」



「冬真さんきれいだよねぇ…」


「どこのメーカーのコンディショナー使ってるんだろ?」


「ね?ね?綺麗だよね!」


「マジで髪の毛サラサラだもんね〜!うらやましいわぁ」



図書室なんて普段は使わなさそうな連中が本も読まないくせにここを溜まり場にし、群がって来る。

本当に不愉快極まりない。

なにより…



「でも冬真さんがあの主人公ヤローと別れてくれてマジで良かったわ!」


「マジマジ、それな!」


「あんなインポヤローが冬真さんの彼氏とか巫山戯てるよな?」


「つかアイツヒッキーの次は家出だとよ?しかも行方不明ってw

どこまで主人公ムーブかまして俺等を笑かしたら気が済むって話!」


「マジソレなぁ!」



勝手な事を囀る男子達…ほんっとに救いようのない連中、不愉快極まりない。


特に不愉快なのが宮藤雅人に対する罵倒だ。

確かに私はあの男のダメダメっぷりに愛想が尽きて別れる道を選んだ。

でもそれは私個人が取った選択だ。

彼等には一切関係ない。

にも関わらずまるで我が物顔で彼を非難し、同意を促す。

更に救いの無いのがそれで私が喜ぶと思っているのか彼等はこちらに不快な目配せを向けて媚びてくる。


コレでは彼氏作り等夢のまた夢だ。

この学校にはもう私が付き合いたいと思う男はいない。



「それにしても…宮藤……何処に行ったのかしらね………」



あんな駄目男に未練は無い。

時間も守れないし気づかいも出来ない。

独善的で身勝手で我儘。

良い所なんて一つも無いし一緒に居ても不快な思いしか無かったんだ。



「どうして…私はあの男にあそこまで惚れ込んだのかしら…本当に理解出来ない…」



以前、九条茜から呪の話を聞いた。

宮藤の呪の話を。

馬鹿馬鹿しいと思っても彼にはそんな理不尽な力がある説得力があった。


今にして思えばその呪の力にあてられて、私は宮藤なんて中身の無い男に惚れ込んでいた。



言うなれば私は呪いに恋してたんだ。


あの時の私は充実していた、人を愛する事にただ直向きになれたし、そのエゴを貫き通す事に快感すら覚えていた。


しかし今の私にはそんなモノはない。

あの充実した日々を振り返れば、今の私があの頃の絞りカスだとそう自覚してしまう…。


だから私はもう一度…あの充実した日々を取り戻したくて…本来興味のない…面倒だとしか思わなかった恋愛に焦がれているのだろう。


宮藤が駄目なら宮藤よりまともな男、智春なら…

智春ともう一度…付き合えたなら…、

私はまたあの充実した日々を取り戻せるか…


頭では理解している…

無理だと…

智春と付き合っていた頃、

私は退屈だった。

でも、もしも智春が宮藤みたいな呪いの力を持っていて私をしっかりと魅了してくれたら私は彼をフラなくて済んだんだ。


彼を一途に想い続けられたんだ。


なんて…

余りにも身勝手な事を考えてしまう…。


「結局…私もあの男と同じ…同類ね…」



同族嫌悪なんて言葉がある。

自分に似た考え方を持つ他人に対して嫌悪感を抱く事だ。


私と宮藤は同類だ。

もともと考え方やモノの捉え方が似ている。

故に反発し、いがみ合う。



自分本位で他人を見下す悪癖が宮藤にも、私にもある。

そして互いにそんな人としての醜い部分に嫌悪感を持って相手を非難する事で。

自分が綺麗な心の持ち主だと、そう思い込めてしまえるのだ。


成る程…相性は最悪だ。

もともと私と宮藤が上手く行く未来なんて存在しなかったんだ。



結局、私は智春も宮藤も失いそれでもあの頃の自分に憧憬を感じあの頃を追い求める。



私は足るを知らない。

何処までも貪欲に、強欲に、理想を追い求める。

宮藤の呪いにあてられたあの日から私の理性は壊れてしまった。


欲しいをそのままに…。

私は求めて手を伸ばす、あの頃の充実した日をまた手にする為に。



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― 新着の感想 ―
[一言] 呪いは打ち消し合う形で消えたかと思ったが、 残穢が思わぬところに… 自暴自棄にはならないことを願いたいが
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