41話 白い美少女2
目が覚めると体が重かった。
妙な生暖かさが纏わりついてて寝苦しい。
それに暑い。
まだ微睡みの中にあるせいか意識がハッキリとしないけどもとても強い違和感を感じていた。
そして直ぐ近くから絶対に聞こえてはならない声がした。
「すぅすぅ…ムニゃムニゃ…ましゃとくぅーん…ぐへへ…」
「はっ!?」
目が暗闇に慣れていたお蔭で朧げながら自分に誰かが覆いかぶさっているのがわかった…
いや、流石に自分の体に誰かが覆いかぶさっているのだから気付かないは通らないだろうし、解っていたけど認めたく無かったの方が正しい。
なにせ僕の体と女性の艶めかしい肢体とが重なっているのだ。
すべすべしていて温かい。
それに柔らかい、柔らかいがしっかりと引き締まった女の体に包みこまれている。
それでいて胸元には物凄い弾力を持った2つの果実が押し付けられている。
男の本能がそれを自覚してしまえば実に分かり易いモノで体の一箇所に熱が凝縮されてしまう。
マズイ…。
だってこんなのありえないだろ?
まさか花楓か?
とそこまで考えた所であり得ないと思えた。
だって花楓はここしばらくは僕の所に来ない様になった。
少し寂しいけどそれが兄妹として正しい距離感だ。
兄にベタベタしてくる妹なんて幻想なのだから…。
なら今、僕に乗っかっているのはダレダ…。
今僕をじっと凝視してるのはダレダ?
へ…?凝視…?
「ひっ!!?」
「ふふ、おはよう…雅人君♡」
「君は……誰なんだ……?」
「ふふ…覚えているんじゃなかったの…?良いのかな?嘘がバレちゃうよ?」
「嘘だってもう…バレてるでしょ?君が言ったんだよ?」
「くふふ…流石雅人君…意識はちゃんとあるんだね?」
「へ…?」
「はぁ〜…雅人君…マシャと君…ましゃとクン…クンクンクンすぅ~はぁ〜…すぅ~はぁ〜…」
「な…何してるの?」
「くふふ…くふふふふ……」
変態だ…これは紛う事なき変態だぁ…。
僕の胸元に顔を埋めて息を吸い込んでいる。
漫画やアニメでたまに見る変態キャラの模範的な姿がそこにあった。
ただ不思議と険悪感はない…
そりゃそうだ…彼女は美少女、見た目に愛された美少女なのだ。
変態ムーブすら愛らしさに変換出来る特殊スキルを当たり前に完備している。
おそらく普段の彼女はさぞかしモテる事だろう…
告白も両手…なんなら両足の指の数を交えても数えられない回数をされてるリア充の中のリア充なんだろう。
そんな子がここまで慕ってくれているのだ。
嫌な訳が無い。
それと同時に虚しくなる。
彼女の好意もまた僕のブランド力によるモノなのだろう。
今までの女の子達がそうだった様に。
この力は相手が美少女であればある程にその影響を強める。
彼女はまさに絶世の美少女だ。
多分僕のメンタルが落ち込み、力が弱まっている今でもその影響下にあるのだろう。
本当…虚しくなる。
「ふふ、今、貴方が何を考えてるか当てて上げようか?」
「え?」
「私も他のメス共と同じで貴方の力に惹かれて来たのかと思ってるでしょ?」
「……え…?、なっ!?どうして?」
な…なに?何故…?
今の発言じゃまるで彼女は僕の力の事を理解しているみたいじゃないか…?
「勘違いしないで欲しいのは私は私の意思で貴方の力を受け入れているのよ?この気持ちの昂り…高揚感…こんなの一度感じてしまえばもう忘れられない…病みつきだよぉ〜」
彼女の翡翠色の瞳は金色の綺麗な髪の間からコチラを凝視している。
まるで捉えた獲物を逃すまいと強い視線を感じる。
僕の背中に彼女の両手が回されギュ〜ッと抱きしめられる。
ふくよかで大きな彼女の胸が僕の胸板にギュッと押し付けられる。
外国人だからかどうかは解らないけどとても発育がいい。
その大きさは聖女として名高い足立先輩に勝るとも劣らない脅威のビッグサイズだ。
「自分の意思とは関係ない人を好きになるとか嫌じゃないの…?」
「別に不快感はないよ?…ふふっ!むしろ幸福感しかない!人を好きになるってこんなに尊い事なんだって!
幸せを貴方は私に教えてくれているのだもの…あぁ…雅人…好き好き好き!」
「………そんな…そんなの嘘だよ…」
「嘘…?」
「君は何でか知らないけど僕の能力を知ってる…それでも僕なんかを好きだなんて思えるのは嘘っぱちだって言ってるんだ!」
「くふふ、可哀想な雅人君、傷つき過ぎて人を信じられないのね、大丈夫だよ…私は貴方の味方だから…ね?」
「な…何なんだよ…!君は…そもそも僕はこんな所に来た記憶が無いし…君の事も知らないし…」
そう、僕はここに…彼女の家?に来た記憶もない…
身元もわからない男が女の子の部屋にいつの間にか上がり込んでいて一緒に寝てるなんてこの子の親にバレたら警察事にまで発展しかねない。
それとも親もグルなのか?
ありえないだろ流石に…。
とにかく、なんとかここから逃げないと…
彼女は普通じゃない。
「ひっどいなぁ…私は君の味方なのに…逃げようだなんて…ふふふ…それに私の親については何も心配いらないよ?」
「へ……?な…?」
何故……僕の考えてる事が…?
「雅人君が普通じゃない様に私もさ…普通じゃないの…
、私はね…特定の相手の思考を手のひらに出す事が出来るの?まぁ操れるって思ってくれていいよ?」
「は…?手のひら…?操る?」
何を言ってるんだ…彼女は?
「手のひらに出すって言ってもね?目に見えるわけじゃないよ?何と無く手のひらを広げて見ると見えてくるの…雅人君や他の人の考えてる事がね?そこに手を加えれば相手の考えが解るだけじゃなくてね?ある程度誘導したり思考の改竄とかも出来るの!凄いでしょ?ね?凄いでしょ!!」
「はは…は…何それ…」
「世間では私や雅人君みたいな変な力を持ってる人の事をバグなんて呼んでるらしいよ?失礼しちゃうよね?バグだなんて、こんなに素敵なのにね!」
なんだよそれ、
人の尊厳とかプライバシーとかへったくれもない。
めちゃくちゃだ…
僕のブランド力…あの力はバグというのか…?
くそ……何がブランドだ…
彼女の言う事が本当なら僕個人の魅力なんて関係ない…
ただの催眠…洗脳……詐欺みたいなものじゃないか…
なら今まで彼女達が僕に対してやたら積極的だったり素っ気無い時があったのはそのバグって力のオンオフで気持ちが切り変わってたって事?
この力は僕の精神状態に大きく影響してた。
つまり…
僕が彼女達の気持ちを弄んでたって事?
「うえぇ…うぐぃ…げぇ…」
「あれ?どうしたの?雅人君?もう仕方ないなぁ?突然ゲロ吐いたらだめだよぉ?ぬふふ…」
「はぁ…はぁ…どうして…君は…?」
「ふふふ…安心しなよ?これからはずっと一緒にいてあげる…怖がらないで?寂しがらないで?私がずっと!ずぅ〜と一緒にいて上げる。」
「そんな…勝手に…信じられ……る…わけ…」
「信じてほしいな〜」
「信じ……れ…」
それはとても甘美な響きだ。
もう彼女が誰とかどうでもいいや、
彼女がなんの目的で僕に近づいたとか何を考えてるとかそんなの小さい事だ。
どうでも良いさ…
彼女が…こんな美少女がずっと一緒にいてくれるんだ…
ならそれでいいじやないか…
もう面倒くさい事を考えたり悩んだりしなくてもいいんだ。
僕には彼女がいてくれるんだ。
それはとても……
幸せな事だ。
宮藤が可哀想だ的なコメントを何度か目にしたので救いにも取れる展開にしました。
まぁこの後彼がどうなるかは知りませんが。




