23話 至福の時間
この俺…足立智春とその彼女、九条茜が恋人として交わした最初の約束。
それは所謂お家デートというやつだ。
そして今まさにそのお家デート中で…、
俺は…至福の中にいる。
「ど…どう?あ…喋らなくて良いからね……ふぅ~……ふぅ~……」
甘い吐息が耳に吹き掛けられる。
耳の中というデリケートゾーンに容赦なく不快感なんて全く無い、心地よくも生暖かい吐息が吹き付けられ、耳の中を駆け巡る。
梵天や耳かき棒でカリカリコリコリと耳奥を刺激され時折、ふぅ~と吐息が吹きかけられる、抗えない快楽が耳奥を蹂躙する。
第二の俺がイグニッションしてしまいそうになる。
もう1人の自分を必死に抑え込みながらも彼女からの奉仕を全力で受ける。
正に至福の時間だ。
俺は今、初めて心を通わせた最愛の彼女…九条茜の家の中の…彼女の自室にお邪魔している。
彼女の母親との軽い顔合わせの後、彼女のお部屋に通される。
そして初めて入った姉以外の女の子の部屋。
それは正に夢の世界。
永遠に出なくて良い甘い密室…!
何処からか甘い匂いに包まれ…黄色を主体とした女の子らしい間取り…
彼女が趣味で集めている猫の人形が棚に数個並べられている。
なんて…
なんて…あぁ……なんて!!
ふつくしい…
コレが…女の子の……
彼女の部屋!!!!
気分はお宝を発見した冒険家。
ラ◯ュタは本当にあったんだ!!!
って叫び出したい気分だ!
「えへへ~いっぱい練習したんだ…これとかどう?ハァ〜」
「ほわぁ〜」
「うふふ……ふぅ~はァ〜」
彼女…九条茜はASMR配信で得た技術を持って俺の耳に最大級のご奉仕を執行途中だ。
容赦ない攻めは俺を簡単に天国にいざなってくれる。
まさに我が一生に一片の悔い無しだ。
ちなみにASMR配信は他の配信者のモノを見て勉強してくれたらしく彼女自身は一度もASMR配信は行っていない。
俺がASMR配信をして欲しくない!というキモい独占欲を見せたらそれはそれは嬉しそうにわかった!と了承してくれた。
耳の中も幸せだが頬も幸せだ。
何故かって?
決まっておろう←何様
俺は今…茜の柔らかくもすべすべの太ももに頬を直接付けているのだから…。
あ〜たまんね…。
茜は女神なんて座では収まらない。
天使…じゃ格下だし…宇宙…
そう宇宙そのものだ!!
俺は今広大な宇宙の深淵に足を踏み入れたのかも知れない。
余りの快楽に頭がショート寸前の中で茜はさらに俺に追い打ちを仕掛けてくる。
「は〜い、じゃ智君、ごろんしよっかあ?」
「ごろん?」
「次は反対の耳掃除だよ?」
まっ…マジかよ…
この快楽がまだ続くのか…
いや…それよりも由々しき事態だ!
ごろんしちゃったら…
反対側に向いたら…
茜のお腹側じゃねぇ〜かぁぁぁ!!!?
太ももでも辛抱堪らんのにそこに来てお腹だとぅ?
茜め…やりおるわ…←何を?
俺は茜に託されるままゴロンと反対側に向き直る。
反対側の俺の頬が茜の太ももに再度ふれる。
温かい…プニプニスベスベだ。
そして眼の前には茜のお腹である。
何かいい匂いがする…気がする…
気のせいかもしれないし、気のせいじゃ無いかもしれない。
兎に角ドキドキする。
俺の中の小宇宙が茜という大宇宙に飲み込まれる。
これはいけません!
これはいけませんのことよぉぉ〜!!!
「ふふ、」
「うん?」
「なんだか変だなぁって…私この前までずっと雅君が好きだと思って生きてきたの…でも今は別の人をこんなにも好きになってる…自分でも変だなぁって思うんだよ…」
「別に変な事無いと思う…」
「え…?」
「俺もさ…昔好きな奴がいたんだ…そいつのためなら何だってしたいと思ってた…でも今は茜のコトしか考えられなくなってる…人間てさ…そんなモンなんだよ…過去の事は過去の事にしてしまえる生き物なんだよ…」
「それって冬真さんの事?」
「え…?どうして……?」
「ごめんね…実は私…智君と冬真さんが昔、お付き合いしてたの知ってたんだ…」
「そう…だったのか…」
「冬真さんね…自分が雅君と付き合いたいからって智君の情報上げるから私にも情報を寄こせって…お互いに好きな人の情報を出し合おうって言って来たんだ…」
「なっ…あ…アイツ…」
「私はそれに乗ったの…最低だよね…智君も呆れるよね、でも私はどうしても智君と恋人なりたかったの…なにより、あの女が二度と智君の所に戻れない様に私が智君を独占したかったから…」
「茜…」
なんてイジらしたいんだ…俺の彼女は…
可愛い…可愛いが過ぎる!
可愛過ぎて鼻血がでそうだ。
「呆れるなんてありえないよ…むしろ嬉しいし…そこまで思ってくれてるなんて…感無量だ!男として素直に嬉しいよ!」
「智く……ともくん!!」
「ぬうわぁ!?」
茜は膝枕の体勢のまま俺の頭をお腹に抱え込むように抱きかかえた。
両手で頭をがっしりとマウントし、太ももとお腹と胸が俺の頭を四方八方から圧迫する。
ぎゅーと抱きしめられたせいで変な方向に向いて首が少し痛いが顔は幸せに包まれている。
女の子は何処もかしこもいい匂いがして、柔らかい。
まさに大宇宙の神秘だ。
「あっ…ごめんなさい…わたし…」
「いや…大丈夫…むしろ…」
「むしろ…?」
「…あ〜っ…ご褒美……みたいな?」
「も〜…ばかぁ…しらない…」
頬を真っ赤にして照れながら拗ねる茜。
可愛い。
今日も茜が凄い可愛い。
なんだこれ…




