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モブを自称するモテモテハーレム主人公君の友達役になった俺は彼を観察するのが趣味の1つです。  作者: ムラタカ


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21話 蔵王萌芽

私の名前は蔵王萌芽

この学校で生徒会副会長をしている。


人とは下らない。

毎日をただ無為に生きている。

何かを残す事も、また失う事もない平凡な日々。

凡人達はその平凡を無為に過ごす毎日こそ至高と怠惰を謳歌する。

つまらない事この上ない。 

私は常日頃から刺激を求めていた。

代わり映えしない日々ではなく刺激のある毎日を。


私の周りには優秀な人間が集う。


優秀だからといって刺激溢れる魅力的な人間かどうかと問われたらそれは違うが。


私を生徒会に誘い入れた現生徒会長の男、速水明は優秀な人間だ。

実直で正義感が強い真面目を絵に描いた様な人間だ。

つまり面白みの欠片もないつまらない人間だ。

 

彼は私を高く評価しているし可愛がってもくれている。

それが…



それが気に食わない。


優秀で正義感が強い真面目人間。

その程度の下らない人間が私を評価しようなど烏滸がましい。

馬鹿にされているとすら思った。

私は半年足らずでこの正義感だけは一人前の半端男を実績や成績で凌駕し、周囲からは速水より蔵王の方が生徒会長に相応しいのではと言われるまでにその存在を高めた。


再三に渡り、周囲は、そして速水自身も私に生徒会長の座を明け渡そうとしていた。

しかし私はそれを今に至るまで辞退し続けている。

何故か?

速水明の屈辱に染まる顔が見れるからだ。

あの男は私を前にした時だけ普段の正義感や真面目人間のメッキが剥がされ醜い本性が顔を覗かせる。

嫉妬に狂い私を生徒会に招き入れた事を後悔しているのだ。


実に面白い話だ。

他人から称賛されるのは慣れている。

そんなものはいらない。

つまらないから。


他者をなめて、見下して愉悦にひたる事こそ至福の時だ。

嫉妬や憎しみの視線をそれなりの才能を持つ者から浴びせられるのも至福の時だ。


退屈でつまらない生活の中で私はそうやって生を謳歌している。

人より秀でた存在だと実感出来た時、私は初めて生を実感出来るのだ。



そんな私に、運命はとっておきのプレゼントを贈呈してくれた。


宮藤雅人君だ。


彼は…彼は面白い。


頭の良さも体力も平均で容姿も平均で、なんなら自分の容姿に興味が無い分、平均以下で…見るからに私が嫌う凡人その者だ。


なのに私は彼を魅力的だと認識している。

何故か?

彼には妙な魅力、人を引き付ける何かがある。

仮にこれをカリスマと定義しよう。

彼のカリスマは彼個人が磨き上げたモノではない。

おそらくあれは天性のモノ。


一種の才能…いや、呪いかもしれない。


そうだと解った上で私は彼のハーレムに所属している。

何故か?


さっきも言ったが面白いからだ。


こんな得体のしれない存在…面白くない筈がない。

彼と共にいれば面白い事に事欠かない。


女達は彼を巡って醜い争いを人知れず行なう。

優雅に水面をすべる白鳥が水中で醜く足をばたつかせているのと同じ様に。


人を使い、物を使い、時間を、場所を、立場を…

ありとあらゆるモノを使って自分こそが宮藤雅人の隣にいるべき存在だと誇示する。

その過程で幾度かの争いも生まれた。


ある人は傷つき、ある人は奮い立ち、ある人は挫折し、ある人は勝利を確信し、多くの人達のドラマがそこにあった。


図らずも宮藤雅人というちっぽけな人間1人の為にこれだけの人が動いたのだ。


これを面白いと言わずして何が面白いだろうか?


しかしここ最近の雲行きは芳しくない。

宮藤雅人を太陽とするなら、その輝きに陰りがさしているのだ。



「意味わかんない…意味わかんないですよ!蔵王先輩!どうして僕が悪者みたいになってるんですか!?おかしいですよね?こんなの!」


「そうだね、君は何も悪くない…君は何も悪い事をして無いのだから…」


「そ…そうですよね?ぼ…僕は何も悪い事なんてして無いんですよね?」


「あぁ、当然だ…幼馴染ならトイレの同伴くらい認めてやるべきだ…それを頭ごなしに怒っていては精神の成熟具合もたかが知れるね、彼女は見かけ以上に幼いようだね」


「そ…そうですよ…茜のやつ…僕の事を悪者みたいに…それに!友達だと思ってたのに!足立君…足立のクソ野郎……」


「駄目だよ?雅人君…他者をそんな風に言っては?相手を貶める様な事を言ったら自分の程度を貶める事となる、私は君にはそんな風になって欲しくないな?」


「あ……はい…ご…ごめんなさい…」


「ふふ…解ってくれたならいいさ…」



私は彼の頭を優しく撫でてあげる。

こういう時、足立桜花は芸達者だ。

あの手この手で人を宥め、虜にする。

あれは私には真似できない。



「でも…桜花先輩…来ないですね…どうしたんでしょうか…」


「そうだねぇ…」



私は頬杖をつきながら適当な相槌を打って話を流す。

足立桜花はもうここには来ないだろう。

彼女は目が覚めてしまった。

彼の持つ天性の魔性…カリスマの効力から開放され、今は欠点のみが悪目立ちする凡人に見えてしまっている事だろう。


桜花は面白い奴だ。

友人として好ましく思う。

彼女の本質は純粋に怠惰を貪る怠け者だ。

惰眠で時間を消費し、誰かの庇護に依存する立派な駄目人間だ。

しかしこの学内では聖女として皆の模範となり、誰からも尊敬され尊ばれている。

その存在は彼女の本質から乖離し、矛盾している。

見栄と評価…本音と建前…。

彼女は彼女であるためにそれ等を捨てず維持している。


私からすれば下らない事だがそんな物の為に彼女は神から与えられた才能を全力で行使している。

なんとも無駄で無意味な行いだ。

ゆえに見ていて飽きない。


そんな彼女も彼の争奪戦からリタイヤしてしまうのは寂しいがこれも仕方ない。


そして九条茜だ。


もともと面白みも無い凡人だったが彼の幼馴染という点だけが取り柄だった九条茜君が離脱し、彼のカリスマというメッキが剥がれ始めている。


これは早急なテコ入れが必要かも知れないね…。




「そう言えば雅人君」


「え?何ですか?蔵王先輩…?」


「君は冬真さんの事はどう思ってるんだい?」


「え…?冬真さん…ですか…?……えっと…もの静かで気品があって…なんというか…綺麗な人だなって…」


「そうか…彼女は私から見てもとても魅力的だと思うよ?どうかな?今度は彼女も私達のグループに入れてあげても?」


「いいですね!きっと冬真さんも喜ぶと思います!」


「ふふ…彼女はきっと君に気があるよ」


「き…?」


「好意を寄せている…好きって事だよ。」


「そ…そんなぁ〜ありえないですよ〜僕みたいな…」


「君は私の勘が間違ってるとでも…?」


「え…?いや…そんなワケでは…でも…」


「ふふ、大丈夫だよ…君は君が思ってる以上に魅力的だ…大丈夫…きっと上手くいく…」


「でも…僕なんか…」


「大丈夫さ…欲しいんだろ…彼女が?」


「は…はい…」


「ふふ、偉い偉い…勇気がある男の子はカッコいいぞ…本当なら…この私が君の恋人になりたいくらいだよ…」


「え…?あはは…冗談でもそう言ってもらえて嬉しいです…その…ぼ…僕頑張って見ます!」


「あぁ…頑張れ!応援してるよ…」



自己評価の低さに対して彼はモノを欲しがる。

男としての欲もある。

恋人…彼女が欲しいと言う欲求も当然ながらある。


これは私の立てた推論だけど彼のカリスマは彼の精神状態が安定していて初めてまともに機能する。

今の幼馴染という寄る辺を失った彼ではまともにカリスマは発揮されないだろう。

桜花がその一例だ。


幸い冬真静留は彼のカリスマに当てられたままだ。

彼女を利用しない手はない。




私はもっと彼の引き起こす珍事が見ていたいんだ。

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― 新着の感想 ―
[一言] 他人を貶める事でしか自分を肯定できないなら それはもう誰よりも劣ってる事の裏付けでしかないのでは? あれか、黒幕気取りみたいな感じのイタい子なのか…
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