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第30話 国王との面会

 氷剣竜ミラジェネシスを討伐してから数日の月日が経過していた。


「いや~。すごいところだったなぁー」

「すらぁ~~」


 実は今日俺はミハグサール城へと招かれていた。


 【SSR全方位支配の開幕】なんてカードを持ってるわけだし、きっと威張り散らした王様なんだろうなーって思いながら訪ねたわけだけど。

 案外気のいいおっちゃんで安心しちゃった。


 王都の帰り道で俺とスラまるは夢見心地だった。




 氷剣竜を倒したあの日。

 俺は【U慈しみの帰還】のカードを使ってすぐにファルナイツへと戻った。


◇◇

 【U慈しみの帰還】

 [レア度] ★★★(3)

 [カテゴリ]アイテムカード

 [タイプ]インスタント

 [効果]前回訪れたポイントまで戻ることができる。

◇◇


 シエラさんに討伐完了の報告をすると冒険者ギルドは途端にお祭り騒ぎに。


 天災級ドラゴンを討伐したってこともあって、俺はキャルさんやほかの冒険者たちからわいわいと称えられまくった。

 シエラさんにもめちゃくちゃ感謝されちゃったし。


(しかも筆頭冒険者なんてものにも認定されて。すごかったなあの日は)


 これまでは父さんの教えをきちんと守れてるっていう感覚があまりなかったけど。

 ようやく実感が湧いてきた。


 もちろん一番驚いてたのはルーシィとリズだ。


 ただ〈魔素カード〉を換金しに行っただけなのに三竜を倒して戻って来たわけだから当然と言えば当然だけど。


 その日の夜の夕食はそれはもう豪華な食事となった。


 氷剣竜ミラジェネシス討伐の報酬として、一生使っても使いきれないほどの聖金貨を受け取ってしまい、俺はそれをぜんぶルーシィとリズに渡した。


 受け取ってもらうまでにかなり苦労したけどなんとか最終的にそれを受け取ってもらえた。

 これで少しは2人に恩が返せたかもしれない。




 今回、国王はミラジェネシス討伐の感謝を伝えるために俺を招いたわけだけど。

 一番の目的は残りの二竜討伐の打診だったようだ。


 こっちもこっちでヒトシュラの存在を話そうかって思ったけど結局やめることに。


 ある意味これまでの歴史や価値観を覆す存在なわけで、人々に大きな混乱を与えることになりかねないって思ったからだ。


(二竜を倒せば魔王の復活を遅らせられるわけだし。それから考えても遅くないよな)


 オルブス帝国とトゥーン自由市国の国王に直接話してからまた連絡するって言われて今日の面会は終了となった。


「城の中すっげーキラキラして目が疲れちゃったよ」

「すらぁ……」

「帰ったらゆっくり風呂でも入ろうなー」

「すら!」


(こんなに褒美まで貰っちゃって。ルーシィとリズもきっと喜ぶだろうな)


 でもまだ二竜を倒したわけじゃないから気を引き締めていかないと。


 ただこれまでと違って自分のやるべきことが見つかって。

 俺はどこか達成感を抱いていた。


 そんな感じで今回も【U慈しみの帰還】を使ってあっという間に屋敷へと戻った。




 ◆◆◆




「ただいま。今帰ったよ」


 玄関ホールのドアを開けるとちょうどそこにルーシィとリズがやって来る。


「アルディン。おかえりなさい」

「ご主人様。お疲れ様でした。お城はどうでしたか?」

「うん。本当にすごいところだよ。今度ぜひ2人に案内してあげたいくらいだ」

「うふふ。それは楽しみです~♪」


 リズが嬉しそうに言う横でルーシィが口を開く。


「実は今あなたにお客さんが来ているの」

「お客さん?」


 ルーシィはどこか神妙な顔になる。


「領主様の息子が来てるのよ」

「え……」

「王立学院の同級生なんですって?」

「ああ……うん。そうなんだ」


 ザネリか。

 なんでここで暮らしているのが分かったんだろう。


「今どこにいるの?」

「2階の客間に案内して紅茶を出したんだけど……マズかった?」


 どことなく俺の変化を察してか、ルーシィが気を遣うように訊いてくる。


「あの方、ご主人様のご友人っておっしゃってましたよ」

「たしかに……。彼は王立学院の同級生でちょっと前まで一緒にパーティーを組んでたんだ」

「そうだったのね」


(父さんから受け継いだカードを俺から奪っておいて……いったいどういうつもりなんだ?)


「案内した方がいいかしら?」

「大丈夫。場所は分かってるから。それと悪いんだけどスラまるもここで待っててくれ」

「すら?」

「すぐ戻って来るよ」

「分かったわ。何かあったら呼んでね」

「ありがとう」


 俺は気持ちを切り替えるとザネリの待つ客間へと足を向けた。

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