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第14話 パッシブスキル解放

 夕方を迎える頃。

 デッキケースの中には大量のカードが収納されることになった。


「そろそろ光の線も見えなくなってきたから潮時かな」


 今日拾った中で一番の収穫は【UR神鳴破天の黒炎刀・開】っていうめちゃくちゃ強そうな〈武具カード〉を手に入れたことだ。


◇◇

 【UR神鳴破天の黒炎刀・開】

 [レア度] ★★★★★★★★★★★(11)

 [カテゴリ]武具カード

 [タイプ]永続

 [効果]森羅万象を司る黒炎を自在に操る無敵の刀。攻撃力+7000、守備力+1000、敏捷性+2000、運+1500。

◇◇


 〈魔素カード〉に至っては1人の冒険者が一生で使う量を集めてしまっている。


(これだけの〈魔素カード〉があればもうレベルダウンを心配する必要もなさそうだ)


 けど一つ問題があった。 

 実は〈魔素カード〉だけは特殊で、魔素ホルダーに入れずに一定時間経つと消えてしまうっていう特徴がある。


 かといってレベル0の俺が今〈魔素カード〉を使っても意味ないし。

 こんな集めたところでほとんどが無駄になってしまう。


「せっかく集めてもらったのに。なんかごめんな」

「すら?」


 スラまるは健気にも落ちていたカードをまたも渡してくる。


「今日はもう十分だから。お前も疲れたろ? ありがとな。今日はもう帰ろう」

「すら~!」


 俺の言うことが分かったのか、スラまるはこくんと頷いてくれる。

 

 そんな風にして一緒に帰ろうとしていると。


 『100種類のカードがコンプリートされました。【LKG冠を戴く神威の権能ティアラメンツ・エルシャダイ】のカード効果により〈魔符術士(カードマスター)〉のパッシブスキル《無限収納》が解放されます。』


 突如そんな光のウィンドウが立ち上がる。


「は? 《無限収納》?」


 ひとまずステータスを確認してみることに。


====================


【アルディン=ギルバート】

種族:人族 年齢:16歳

ランク:F


Lv.0

攻撃力 0

防御力 0

魔法攻撃力 0

魔法防御力 0

敏捷性 0

運 0


[職業ジョブ]

上位複合職/魔符術士


[才能ギフト]

《神眼》


[パッシブスキル]

《無限収納》


[アビリティ]


[所持カード]

〈水晶ホルダー〉

5枚

(N5枚)


〈魔素ホルダー〉

10枚


〈デッキケース〉

509枚

(N268枚、U40枚、R13枚、SR6枚、HR3枚、UR1枚、SSR0枚、魔素178枚)


====================


 《無限収納》の項目をタップするとそこに効果が表示される。

 その内容を見て俺は大きく驚いた。


「えぇっ!?」

「すら!?」


 マジかよ。

 このパッシブスキルがあれば、水晶ホルダーと魔素ホルダーに制限なくカードを入れられちゃうの?


 水晶ホルダーに入るカードは5枚。

 魔素ホルダーに入るカードは10枚と決まっている。


 つまり、契約可能ならカードなら無制限に水晶ホルダーに入れられちゃうってことだ。

 〈魔素カード〉なら契約する必要もないから、ぜんぶ魔素ホルダーに入れられるってわけで。


(なんかよく分からないけどすごいパッシブスキルが解放されたぞ)


 運よく〈魔素カード〉が無駄にならなくて済んだみたいだ。


「なんか得した気分だよ」

「すら……?」


 ラッキーと思いつつ、俺は〈魔素カード〉をすべて魔素ホルダーに入れてしまう。


 今後はNカードはすべて水晶ホルダーに入れられるな。

 そんなことを思いながら俺はスラまると一緒に帰路に着いた。




 ◆◆◆




「ただいまー」

「お帰りなさいませご主人様っ♪ スラまるちゃんもお帰り~」

「すら!」

「随分と熱心に外を歩き回ってたみたいね」

「今日もカードを集めてたんです?」

「そうそう」

「それじゃ疲れたでしょ?」

「いーや。俺はほとんど何もしてないから。実際に動いてくれたのはスラまるだし」

「すら~!」

「なんだかよく分からない召喚獣ね……」

完全万能粘体(パーフェクトスライム)だったんだ」

「はい?」


 ルーシィがフリーズする。

 これにはリズも大きく驚いた。


「えええっ!? スラまるちゃんってただのスライムさんじゃなかったんですか!?」

「うん。カードを食べることができてそれを自分の能力に変換することができるんだよ」

「すら!」

「ひええ~~っ!?」

「そのおかげで今日は500枚以上のカードを集めることができたし」

「はああああぁっ~~!? 500枚ですって!?」


 ルーシィのこのリアクションを見るのもこれで2日連続だ。


「500枚ってあれじゃない! ヴォルフ様が生涯かけて集めたコレクション部屋のカードの枚数と同じよ!?」

「言われてみればそうだね。でもそっか。ルーシィにはまだ言ってなかったっけ? 昨日光の線が見えるって言ったじゃん? あれって空からカードが落ちてくる軌跡だったみたいなんだ」

「ちょっと待って。アルディンにはそれが見えるってこと?」

「前はそんなもの見えなかったんだけど。《神眼》ってギフトが覚醒してさ。それから見えるようになったんだよ」

「あなたって……ほんと何者なのよ」


 どうやらルーシィは理解することを諦めたようだ。


「そうだ。2人に〈魔素カード〉渡しておくよ」


 俺は目の前に魔素ホルダーを展開させる。

 そこには数百に及ぶホルダーがずらりと横に並んだ。


「ご、ご主人様! これってなんですか!?」

「〈魔素カード〉を入れておくホルダーだけど見たことないの?」

「そうじゃないですぅ~! こんな大量の〈魔素カード〉がいったいどうして……」

「拾ったんだ。レベル0の俺がこんなに持ってても意味ないからさ。2人にあげようって思って」

「そういうことじゃないわよっ! 〈魔素カード〉は10枚までしかホルダーに入れられないはずでしょ!?」

「うん。そうなんだけどなんか《無限収納》ってパッシブスキルが解放されてさ。上限なく魔素ホルダーに入れられるようになったんだよね」

「「ええええええええええ~~~っ!?」」


 メイド姉妹のはもった声が玄関ホールに響いた。

 ついでにスラまるもちょっとだけびっくりしてる。




 ◆◆◆




「ハァ……。なんか昨日から驚きすぎて疲れちゃったわ……」

「スラまるちゃんもそうですけど。やっぱりご主人様はすごすぎますよぉ……」

「すらぁ!」

「ついに世界のルールすらも超越しちゃったってわけ?」

「そうなるよな」

「……信じられないわ……」

 

 とルーシィに呆れられてしまう。


 俺としても突然〈魔符術士〉なんて役職が解放されて、未だに理解できてない部分がある。


(これもぜんぶ父さんから譲り受けた【N水滴石穿】がカード昇格とやらを果たしたおかげだよな)


 【LKG冠を戴く神威の権能】とか表示されてたっけ?

 タイプが『インスタント』だったのか、消えてしまってカードは今手元にないけど。


(俺はただ父さんの言いつけを守っただけなんだけどね)


 とにかくあの出来事をきっかけに人生が大きく好転し始めたのは間違いない。


「アルディンと出会ってからいろいろとでたらめなことが起きてるから。もうちょっとのことで驚かないことにしたわ。なんか理解を越えすぎてて、考えるだけで頭が痛くなってくるし……」

「そうだねお姉ちゃん。ご主人様はすごすぎるんだって改めて認識できたよぉ……」

「すらぁ~!」


 スラまるが元気づけるようにルーシィとリズの生足をぽんぽんと叩く。

 

「でも500枚なんて数のカードが1日で落ちていたことに驚きだわ」

「たぶんそれは土地のランクが関係してるんだと思うよ」

「なに? 土地にもランクがあるわけ?」

「初耳ですっ!」


 俺は2人にランクの高い土地ほどカードがよく落ちる可能性があるってことを説明した。


「土地のランクも《神眼》で視えるんですか?」

「うん」

「いったいどうなってるのよ。あなたのそのギフト」

「けどさ。そんなものが視えるよりもこの土地を最初に購入したヴォルフさんの方がぜんぜんすごいと思うけどね」


 カードを集めるのが趣味とか言ってたけど。

 土地のランクなんか視えなくてもそういうのが肌感覚で分かったのかもしれないな。


「でも2人も外でよくカードを拾ったんじゃない?」

「もちろん私たちだってカードを見つけることはあるわよ」

「年に何度かモンスターが忍び込んでないかチェックするために、冒険者の方を雇って見回ることがあるんです」


 これだけ大きい土地を管理してるわけだからそれは一週間がかりとなるようだ。


「その時に裏面のカードを見つけることはよくあるけど。でも〈罠カード〉だったら嫌だし放置することにしてるわ」

「はい。ちょっともったいない気もするんですけどね~」

「そっか。じゃあ見つけることはよくあるんだ」


 1日に1回カードを見つけるのも難しい日だってあるわけで。

 ルーシィとリズの話を聞いただけでも、ヴォルフさんの土地がほかの土地よりも優れているってことがすぐに分かる。


 どうやら俺の仮説は正しい可能性が高いな。


「まぁけど。驚くことは多いけどアルディンが来てくれてなんだか毎日楽しいわ」

「うん。とても新鮮だよねお姉ちゃん~♪」

「それならよかった」

「けどそんなに〈魔素カード〉があれば多額の報酬を得られそうね」

「え?」

「〈魔素カード〉の使い道がないなら換金してみてもいいんじゃない?」

「私たちはメイドですからレベルを上げる必要もないですし。そもそも〈魔素カード〉は必要ないんです」

「そっか。冒険者ってわけじゃないもんな」


 そこで俺はふと思い出す。

 

 そういえばたしかに〈魔素カード〉集めはクエストの依頼によくなっていたって。

 〈魔素カード〉集めは誰にでもできるから、冒険者ギルドの張り紙で頻繁に募集されている。


(換金か。ルーシィとリズには世話になってるし、ちょっとくらい俺も役に立ちたいよな)


 2人は表だって口にしないけど、日々の生活資金はそれなりにかかっているに違いない。


(たぶんヴォルフさんの資産を切り崩して生活してるんだろうし。領主に納める税だって相当な額のはずだ)


 このまま何もせずこんな風に世話になっているのは実際気になるところだった。


 よし。

 明日は冒険者ギルドに行って〈魔素カード〉を換金してみよう。

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