第13話 スラまると一緒にカードを拾おう
「おっ、またカードが落ちてきたぞ」
今回は〈アイテムカード〉の【Uサンマージ氷結晶】か。
◇◇
【Uサンマージ氷結晶】
[レア度] ★★(2)
[カテゴリ]アイテムカード
[タイプ]インスタント
[効果]火傷の状態異常を回復させる。また一定時間火傷にかかりづらくなる。
◇◇
モンスターと戦った時に備えて念のために拾っておこうと、カードをオープンしようとすると。
「すら!」
なぜかスラまるがカードの前に出る。
何をするのか観察しているとスラまるはその裏面のカードをオープンしてしまう。
「え? お前そんなこともできるの?」
「すらぁ!」
人とは違って特に〝オープンカード〟の合言葉を使う必要もないらしい。
「本当に万能だなぁ」
「すら~」
「それじゃカードのオープンはスラまるに任せようかな」
「すらぁ!」
またも誇らしげに飛び跳ねるスラまる。
どうやら自分が役に立てることが嬉しいらしい。
しばらくの間、そんな風にしてスラまるとカードを拾っていく。
(けどちょっとこれ効率が悪いかもな)
カードが落ちている場所が分かるのはいいんだけど、拾う場所まで移動しなくちゃいけないっていう時間的、体力的ロスがある。
なんとかならないかと考えているとふとあることを思いつく。
(そうだ。たしか昨日【R疾風怒濤】のカードを手に入れたんだったな)
◇◇
【R疾風怒濤】
[レア度] ★★★★(4)
[カテゴリ]アイテムカード
[タイプ]インスタント
[効果]通常の10倍の速度で移動することができる。発動時間5分。
◇◇
まずはこいつでスラまるの移動力を上げて、あと【SR念動共振虫】を一緒に食わせれば。
ちなみにこの【SR念動共振虫】も昨日拾ったカードだ。
◇◇
【SR念動共振虫】
[レア度] ★★★★★★★(7)
[カテゴリ]アイテムカード
[タイプ]インスタント
[効果]リンクした者同士の意思を一定時間共有することができる。
◇◇
スラまると意思を共有できれば上手く誘導することができるんじゃないか?
「けど契約してないカードも食わせることができるのかな?」
「すら?」
「まいっか。お前、なんでもできそうだし」
物は試しだ。
腰につけたデッキケースの中から【R疾風怒濤】と【SR念動共振虫】を取り出す。
「スラまる。次はこれを食べてみてほしいんだけどいいかな?」
「すら!」
大きな口を開けて一口でカードをぱくりと食べてしまうと、スラまるの体はすぐに発光する。
『召喚獣・完全万能粘体が〈アイテムカード〉を捕食しました。【R疾風怒濤】と【SR念動共振虫】のカード効果をパッシブスキルとしてコピーします。』
俺はすぐに《神眼》を使ってステータスを確認する。
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【完全万能粘体】
種族:粘体族 年齢:6歳
レアリティ:SSR
[レア度]
★★★★★★★★★★★★★(13)
[カテゴリ]
召喚カード
[タイプ]
インスタント
[効果]
さまざまなものを吸収し、自身の能力に変換することができる最強の粘体族。召喚時間永続。
[パッシブスキル]
《火術Ⅰ》
《つきかがみの盾》
《疾風怒濤》
《念動共振虫》
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「え、嘘!? この二つもパッシブスキルに追加されるの?」
「すら……?」
【R疾風怒濤】も【SR念動共振虫】もタイプは『インスタント』だから、これが永続発動できるとなるとかなりヤバい。
「スラまる。俺の思うことが分かるか。分かったら飛び跳ねてみてくれ」
「すら! すらぁ~!」
ぴょんぴょんと跳ねるスラまる。
「ちゃんと意思が伝わってるなぁ。なんか感動だ」
ちなみにスラまるからは俺に対する全信頼の想いが伝わってきてなんだかほっこりした。
◆◆◆
それからスラまるが速く走り回れることを確認すると、さっそくカードの回収をお願いすることに。
空から降ってくる光の軌跡を伝えてその場所までスラまるが高速で移動する。
《神眼》を使ってカードが〈罠カード〉じゃないことを俺が確認すると、スラまるがそれをオープンする。
そんな風にして2人で分担作業を進めていると。
スラまるはあっという間にカードを大量に回収して来てしまうのだった。
ものの1時間もしないうちに100枚近いカードを回収してきた。
「うおぉっ!? すごいな!」
「すらぁ~! すら!」
スラまるは特に疲れている様子もない。
こんな数のカードを集め回ったスラまるももちろんすごいんだけど、1時間のうちにこれだけのカードが落ちているっていう事実に驚きが隠せない。
(みんなどれだけカードを見逃してるんだよ)
空から落ちてきたカードはほとんどオープンされずに消え去っているってことか。
集めてきたカードの大半は〈魔素カード〉と〈アビリティカード〉だったけど、その中でもいくつか使えそうなものがあった。
【SRアロメルスの大翼】や【U水遁可動式】の〈アイテムカード〉を食べさせると、スラまるは空を飛びながら落ちてくるカードを拾ったり、湖の水面に落ちたカードを拾ったりすることができるようになった。
ここまで来るともうなんでもアリだ。
「万能スライムの名は伊達じゃないぞ。本当にすごいって。よしよし~」
「すぅらぁ~~!」
頭を撫でると、ぷるんぷるんとスラまるは嬉しそうに飛び跳ねるのだった。




