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俺と使い魔の学園生活っ!  作者: ぷにこ
第二章【対抗テスト】
38/114

33『箱庭』

~流星学園・総合体育館前~


俺たちを含めた全校生徒が校庭を出て、ぞろぞろと体育館へ向かうと

立派な体育館が丸ごと白い建物になっていた。


白い建物は三階建てほどの高さで、窓は無い

まるで巨大な立方体が姿を現したかのような……


生徒たちもどよめいている。


「今回は『箱庭』か……面倒だな」


藤野先輩が軽く舌打ちし、白い建物を仰ぐ


「箱庭……?」


「あぁ、バカみたいな迷路さ」


俺が尋ねると、藤野先輩は吐き捨てるように言った。

おそらく嫌いなんだろうな……迷路ってことは面倒な仕掛けでもあるんだろうし

……ってか、迷路なのかコレ


『今回の種目は【純白箱庭大迷宮MK—229】です

先生方が総出で作り出した仕掛けいっぱいの迷路となっておりまーっす!

さぁ張り切って行ってみよう! 覚悟はいいか野郎ども!!

……えっ、煩い? あ、ごめんなさ……はい、すみません

えっと……生徒の皆さんは、すみやかに中に入ってください。入り方は教えてあげてね』


相変わらず独特のテンションでスピーカーから声が響く。

何か叱られたっぽいが……とりあえずスルーしておこう


そして生徒たちは闘志あふれる表情で箱庭の方へ歩いていく


箱庭に扉は見当たらないが、生徒たちは壁に吸い込まれるように中へ入っていった。

壁をすり抜けるなんて魔法みたいだな……まぁ先生の使い魔によるものだろうけど


「ほら行くぞ杉原、あとお前ら」


「何よその言い方! 先輩だからって偉そうに……」

「その他大勢みたいに扱わないでください。不愉快です」

「中はどうなってるんだろ……」


「ところで、スミレ先輩と暁先生は……?」


「スミレはとっくに中に入って行ったよ。センセーは教師だから不参加だ」


スミレ先輩はいつの間に移動したんだ

それにしても暁先生は不参加か……少し残念だな


とりあえず藤野先輩の後ろについていく。

白い壁が目の前に迫り、藤野先輩はふっと姿を消してしまった


思わず俺は立ち止まってしまう


「止まらないでください」


「おい、押すなって」


「早く行きなさいよ!」


「だから押すなってお前ら!」


俺の後ろに並んでいた魔物娘たちにぐいぐいと背中を押され


多少抵抗するも、俺は白い壁にぶつかり……

……は、しなかった。


「……?」


恐る恐る目を開けてみると、眼前には入り組んだ通路があった。

俺の目線より下に広がっているのは巨大な迷路だと、すぐに分かった


そして俺は、迷路より少し高い場所にある高台の上に立っている。

辺りは真っ白。高い天井に証明は無いが、箱庭の中は穏やかな光に満ちていた


「なんだこれ……」


「おい杉原、何してんだ早く降りてこい」


高台の下から藤野先輩の声が聞こえてきた

その隣にはスミレ先輩もいる。


「先輩! これどうなってるんですか? こんなに大きな建物じゃ……」


「いいから降りてこい! 邪魔になってんぞ」


ハッと後ろを見ると、魔物娘二人が冷ややかな目で俺を見つめていた


「何してんのよアンタ 後ろつかえてるんだから早く行きなさいよ」


「正直言うと邪魔でしかありませんね」


冷たいまなざしを向けてくる二人に対して、ノワールはじっと迷路を見つめている


「広い……それに、強い力。感じる」


心なしかノワールの瞳が怪しく輝いているような気がした


「早く降りろっての!」


「は、はい」


少し苛々した口調で藤野先輩が言う。……怒らせちゃまずいよな

とりあえず俺は足早に高台から降り、先輩のもとへ走る


「よし。全員揃ったな?」


藤野先輩が軽く人数確認をして、白い壁(にしか見えない迷路)のスキマを指差す


「……いいかお前ら。特殊科の代表は俺だ

あの中に入ったら絶対に単独行動をするな。いいか絶対だぞ」


などと念を押して、藤野先輩は先陣を切って迷路へ入って行った

それに続いてスミレ先輩もスタスタと入っていき、そして俺たちも後を追う。





……スキマの中に入ると、振り返っても高台は見えなくなってしまった。



どうやらこの学科対抗では、20位まで得点が与えられるらしく

その20位に入った生徒が獲得した点数が、そのまま所属する学科の点数となる


暁先生が悪魔科と獣人科を例に説明してくれた


一位 悪魔科 100

二位 獣人科 95

三位 悪魔科 90

四位 悪魔科 85

五位 獣人科 80

六位 獣人科 75

七位 獣人科 70

~~

という順位だった場合

悪魔科275点。獣人科320点となるため、結果的に獣人科の勝ちとなるのだ。


つまり学科対抗で重要なのはいかに上位を狙うかではない。

どれだけの人数が20位以内に入れるか。なのである


それからしばらくの間、藤野先輩を先頭に白い通路を進んでいると

やがて真っ白な十字路に出くわした。

それぞれの道の先には同じく真っ白な扉が見える


「分かれ道か……三手に分かれるぞ」


「三手……?」


「どうせ、無限回廊とボスモン部屋とゴールエリアに出る道だ。

誰を組ませて、どの道に行くか。これが上手くいかないとタイムロスだな

……姉貴。どの道がどのエリアか分かるか?」


藤野先輩がそう言うと、呼びかけに応じるように何処からか人魂が現れ

先輩の周りをくるくると楽しげに回る。


『すでにチェック済みだよ。浩二

右がゴールエリア、左がボスモン部屋、で正面が無限回廊だよ♪』


明るい声でそう言った人魂は、ぽわんと音を立てて女性に姿を変えた

和服を着た半透明の女性は藤野先輩を抱きしめ、微笑んでいる。


女性はよくよく見てみると足が無い。

腰辺りから下は煙のように原形を留めていないのだ


「よし、なら組み合わせは……」


そう言った藤野先輩は俺たち全員を順番に見定め、


「……まず俺とスミレでゴールエリアに向かう。

アサギとノワールはボスモン部屋で暴れてこい。

で、杉原……お前は使い魔と無限回廊に行け」




「……え?」



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