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俺と使い魔の学園生活っ!  作者: ぷにこ
第二章【対抗テスト】
34/114

29『邪龍の城に眠るモノ』

睨み合う二人(アホ毛少女とユイ)を横目に暁先生は咳払いし

それからにっこり笑って教卓の前に立った。


「はい、というわけで今日から特殊科に編入することになった二人です

それでは軽く自己紹介でも……」


と言って、暁先生は俺の傍にいた翼付きの少女をじっと見る


「……私が最初、ですか?」


少女は自らを指差し首をかしげる

後ろを振り向くような形で少女が体制を変えたため、

背中の小さな翼が僅かながらもパタパタ動いているのが確認できた。


コウモリのようなその翼はちゃんと細い骨が通っていて、

半透明の薄い膜のようなものが張っている

ファンタジーとかでよくある悪魔やドラゴンといった魔物の翼によく似ている


まさかこの娘……


「えぇと……ゼクフェリシア・ローゼン・ノワーリスです。

ノワールって呼んでくれると、ありがたい、かもです」


「……よろしく」


「Zzz……」


「はい、皆さん優しくしてあげてくださいね。それではお好きな席へどうぞ」


ノワールと名乗った少女がぺこりと頭を下げ、何故か俺の左隣の席に座る。

ちなみにユイは反対側の席にちょこんと座っている。

アリスはいつの間にやら俺の頭によじ登って、二人の少女を見つめているようだ


「じゃあ次に――」


暁先生が教室の入り口付近で腕組みをしているアホ毛少女を見つめる。


「な、何よアカツキ!「先生を付けてください」……せ、先生」


「はい。軽く自己紹介でもしていただけたらなと思いまして」


「イヤよそんなの。私はこんな奴らと一緒に生活なんてしたくないわ!」


「いいからしてください。ファルシオ様に言いつけますよ」


「……!」


少女はどうやら観念したらしく、水色の瞳をうるませながら教卓の前まで来て

消え入りそうな声でアサギと名乗り、

そのまま潤んだ目を擦りながらスタスタと俺の方へ歩み寄り……

……俺の右隣、ユイの前で立ち止まった。


「そこ、どきなさいよ……っ」


その声は僅かに震え、アホ毛も萎縮しているような気がする

ユイは真っ赤な瞳でアサギを睨み、冷ややかに言い放つ。


「……何故ですか? せめて私が納得するくらいの理由を述べてください」


「理由なんてないわよ……私はそこの席がいいの!」


「奇遇ですね。私もです」



「だったらアンタを力ずくで闇に封じてやるわ……!」

「上等です。氷漬けにして差し上げますよ」



赤黒い刃と青白い氷の刃が俺の隣で具現化する

この娘も魔物かよ……!


一触即発の雰囲気が俺の隣で火花を散らす



「はいはい。席の取り合いはやめてくださいよ……たくさん余ってるんですから」


いつの間にか俺の背後に立っていた暁先生が、やれやれといった具合で呟く


「良いですか二人とも。この教室から怪我人が出たら私の責任なんですから

……くれぐれも喧嘩はしないでくださいね。私も混ざりたくなってしまいますから」


そう言った暁先生の笑顔には、場を支配する威圧感を感じた

いつの間にやら紅色に染まったその瞳が全てを物語っている。




~降魔城~


「姫様帰ってこないですね……怪我とかしていないと良いですな」


「姫っちのことだからじっくり様子をうかがってたりして~」


降魔城の玉座の間には二体の魔族。それと黒い鎧を身にまとう男が居た


降魔城は、魔界の片隅にひっそりと佇む巨大な古城である。

元は邪龍の一族が住んでいた豪奢な城なのだが、今となっては数名が暮らすのみ。


訪れるものなど居ない。城の外に出ることも無い。


邪龍族は、天地を覆し蒼穹を統べると謳われた魔族であったが


かつて、神龍と恐れられた魔物と一人の人間により一族の大半を失い

それでも僅かに生き残った邪龍族は……

永い、長い時の末に恨みを忘れ、日々を穏やかに生きていた。



「……橘」


玉座に堂々と腰かける魔族の男性、龍皇が呟く。


「はいご主人様」


「……お前今どこから出てきた?」


「えと、玉座の裏からです」


「…………まぁいい。一つ頼みたいことがあるんだが、聞いてくれるか?」


「はいっ 私にできる事でしたら何なりとお申し付けくださいませ!」


橘と呼ばれた黄色いメイド服を着た女性が嬉しそうに微笑む

その傍らには、いつの間にやら二体の邪龍も佇んでいた


「珍しいねぇ 我が君がわざわざ頼み事だなんて」


「龍皇様、いくら姫様が心配だからと言って……」


「お前らは黙ってろ。これは橘にしかできない仕事だ」


そう言った龍皇はどこからか古びたカギを取り出し

頬を赤らめ、嬉しそうに小躍りする橘に軽く放り投げる。


「あの……これはもしかして……」


「お前ならそのカギが何の鍵か分かるだろう。

さて、それよりノワールは向こうにしばらく滞在することに決めたらしい」


「それはまた何とも思い切った決断を……」


「我が君、どうして教えてくれなかったの? 私も行きたぁい」



「あ、あの……」



先ほどとは一変、不安げな表情をした橘。

その手には重厚な輝きを放つ鍵がしっかりと握られている


「あの部屋には俺も近づけん。お前の勘が必要だ」




「―――キャロルを起こせ」


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