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俺と使い魔の学園生活っ!  作者: ぷにこ
第一章【学園生活】
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エピローグ『夜更け』



「……文字になった……しかも、この文字は……英語?」



確か初めまして。だったか。

見ている間にも金色の液体は形を変え、更なる文字を紡ぎ始める。


『I come from a place of Akatsuki. Thanking you in advance 』


……参ったな、英語を読み取るのは苦手なんだが。

翻訳機か何かあればいいんだが、当然の如くそんなものは無い。


「……何ですかその結滞な人形は」


いつの間にか傍に立っていたユイはそう言うと、

アリスの小さな体をひょいと掴みあげ、訝しげに眺め始めた。


首の後ろ辺りを掴まれたアリスは何やら抗議するようにじたばたともがき、空中にふわふわと金色の文字を並べ始める。


『Hey! Handled more gently』


「ユイ……貰い物なんだから乱暴するなよ?」


「分かってます。幾らなんでもこのくらいで潰れたりはしないでしょう」


そう言ったユイは、アリスをじっと見つめたり鼻先に近づけたりしたのち、

ベッドに積んである毛布目がけて放り投げた。


ぽふっ という軽い音と共に、アリスは毛布に着地し小さな体でユイを睨む。


「何やってんだよ……何か怒ってるみたいだぞ」


「妙な匂いがするのです。もしかしたら毒が仕込んであるかもしれません」


「そんなわけないだろ。何警戒してるんだよ」


俺は毛布にぺったり座り込んでいたアリスを軽く持ち上げ、テーブルの上に移す。


『I do not have poison!』


泣きそうな顔で俺を見つめるアリスの周りには金色の液体(文字)が浮いていた。

もしかして、この娘は喋ることが出来ないのだろうか。


それで金色の液体を使って意思疎通を図ろうとしてるんじゃ……

となればこの文字を無視するわけにはいかないな。


私は……毒を、持ってない。かな。

あれ? 返事してる……ってことは言葉が通じるのか。


「もしかして……自分は安全だと言いたいのか?」


『Why not』


アリスはこれまた小さな親指を立ててウインクしてみせた。当たりか。


「ほらユイ、安全だって言ってるぞ」


「……」


ユイは納得がいかないといった表情で俺を見つめ、何も言わずにベッドに横になってしまった


俺は軽くため息をつき、ソファーへ向かう。


「どこに行くのですか」


ベッドからソファーへ体を向けた瞬間ユイが枕に突っ伏したまま呟いた。

……ユイはどうしても一緒に寝たいらしいな。


「……本当に一緒に寝るつもりか?」


「……」


ユイは黙って身をずらし、一人が丁度寝れるくらいのスペースを開けた。


「分かったよ……今夜だけだからな」


『Hey! also sleep together』


「え……お前も、一緒に寝るって?」


『Of course!』


「……」




時刻はいつの間にやら午後10時。


ベッドに横たわる俺の右腕を抱きしめる冷たい吐息と幸せな感触。

そして顔の左側ではほんのり甘い香りと規則正しい寝息。



「参ったな……寝返り打てないじゃないか」


……そして今日もまた、学園の夜は更けていく。

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