100『俺と使い魔の学園生活』
ユイが消えて数日。
俺は呆然と布団へと身を投げる。
枕元に佇むアリスが小さな手で俺の額を撫でてくれた
あれから、俺はユイを探すためそこらじゅうを探し回った。
ただっぴろい学校内、混沌の街、レイニィタウンや降魔の森まで思いつく限りの場所を巡ったつもりだ。
だが、どこにもユイはおらず……それらしき者を見たという情報もなかった
暁先生は『知らない方がいいこともある』等と言ってのらりくらりと協力してくれないし
校長も何故か不在のまま。椚先生や佐々木さん、その他の先生方に聞いても知らないの一点張りだ。
「どうすりゃいいんだ……ユイ、どこ行っちまったんだよ……」
あれから教室には行ってない。
暁先生に事情を話して、欠席扱いにしてもらっている。
両隣のアサギとノワールがたまに部屋に尋ねてきては、何かしらを置いて帰ってゆく
きっと、あいつらなりに俺を元気づけようとしているのかもしれない
窓の外はどんよりと暗く、ざあざあと雨が降りしきっている。
黒い雲は太陽の日差しを遮り、部屋の中は昼間だというのに明け方かと思うほど暗い。
俺の気分が、晴れるわけもない
「はぁ……」
布団に横たわり、天井を見つめる俺の視界に、アリスがひょっこりと顔を出してしきりに額を撫でようとする。やれやれ、アリスにも心配をかけてしまったようだ
「ごめんな、アリス……明日はどこに探しに行こうか」
俺は不安げに見つめてくるアリスを軽く撫で、深いため息をついた
それから、俺は―――
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「――何をしているのですか。遅刻しますよ」
「っと、もうそんな時間か。もうちょっとでキリのいいところなんだけど……まぁいいか」
――パタン。
俺はそっとノートを閉じ、学ランの袖に手を通す
真っ白な相棒が、扉の向こうの廊下から俺を睨んでいる。
「今日は新入生とやらが来る日なのでしょう? 早めに集合するようにと言われたはずですっ」
「わぁってるよ。ちょっと待てって」
俺は急いで身支度を整え、部屋を後にする。
俺と使い魔の学園生活は未だ、終わりそうにない




