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キャラ紹介ver.2

ここまでのキャラ設定まとめ。読み返しなどの際にお役立て下さい。

119話あたりのキャラ紹介と内容の重複があります(更新するまでもない奴とかいるので)。

・アイン・ランダーズ

 主人公。20歳。灰色の髪の青年。メガネの冒険者で元農奴。性格は比較的穏やかだが、大して気負わずに人も殺せる一面も持つ。

 小さな農業国家ハルドア王国の出身で、ヒューベル王国辺境の都市ゼメカイトで冒険者をやっていた。装備も実力も足りない「無能」のアインと呼ばれ、ゴブリン討伐にすら苦労する有様だったが、同地のトップ冒険者である“邪神殺し”のユーカから謎の魔導書で「力」を譲渡され、彼女の後継者として育成され始める。

 ポジションは戦士。特殊な技能もないので、とりあえずという感じで剣を持ち、前衛を張っていたが、実際は才能で言うなら魔術師に高い適性を持つ。ただし魔力が一般人としか言いようのない低さで、通常かなりの勉学を必要とする魔術の知識もほとんどないため、魔術師に転職できるかというと難しいところ。

 そのため、あくまで戦士として魔力操作能力を生かす方向に能力を伸ばした結果、急速に実力を開花させた。

 故郷ではただ一人の家族である妹と二人暮らしだったが、妹を何者かに殺された結果やや特殊な死生観を持つに至り、特に命のかかった場面で非常に思考が冴え、冷淡になる性質を持つ。

 それと同時に無意識ではあるが、ある程度年下(に見える)少女に対して強い庇護欲を持ち、そういった相手に対応が甘い傾向がある。パーティ内ではユーカとリノが該当。ファーニィは微妙に外れる。

 最近の活躍の結果、ついた二つ名は“妖光の鬼畜メガネ”。本人は嫌がっているが、いざという時の行動は鬼畜と呼ばれるに相応しい残虐さがあり、周りは納得している。

 魔力の低さはリノに製作して貰った虚魔導石(通常、魔力を取り出す方法がない壊れた貯金箱状態の魔導石)を体に装着し、他人に込めてもらうことで解決。高い魔力操作能力で、接触したアイテムから強引に魔力を吸い出すことができ、またユーカの元パーティメンバーであるクリスからごく初歩的な無詠唱魔術(詠唱魔術と違って知識を必要としない代わりに効果は限定的、かつ高い集中力が必要)を教わったために、本格的に勉強していない割には応用の幅が広い。

 素の剣術に関しても覚えの早さをたびたび褒められるレベルであるが、まだ地力は少々危なっかしい。基礎体力も自慢できるレベルには程遠く、総じて攻めは強いが守りは脆い。

 近眼で、メガネをかけていないと日常生活もおぼつかない。現在のメガネはドワーフの秘術が施された特別製で、アインに合わせて仕立てられたわけではないが勝手に度を合わせてくれるほか、製作者に再処理を施されてからは魔力そのものをより明確に視認する、モンスターだけをぼんやり強調して映す……などの追加機能もついた。

 ロナルドとの闘いを経てユーカの切り札“邪神殺し”にも開眼。その正体は、己自身の魔術的用途を極限まで研ぎ澄ませることによって、命まで含めて全てを眼前の敵を殺すための材料とする自己契約であった。

 気持ちの節目にメガネを押すのが癖。

【使用技】

「オーバースラッシュ」…ユーカ直伝の最初の技。魔力で斬撃を飛ばす。最初はヘボかったがメルタでの修行の結果、大岩を真っ二つにする威力にバージョンアップ。

「パワーストライク」…魔力を飛ばさず、武器の強度や威力を高める。消費が少なく高威力だが、近寄らずに戦える飛び道具の方をアインは好んで使用する。

「オーバースプラッシュ」…魔力を垂れ流しながらオーバースラッシュを力の限り連発する。異常に魔力充填が速いアインならではのオリジナル技。広範囲制圧と集中攻撃のどちらにも使える切り札だが、同じ量のオーバースラッシュを放つよりも消費が激しく、凌がれると一気に窮地。

「オーバーピアース」…オーバースラッシュを突きで放つ。うまく決まれば硬い相手に対する決定力はスラッシュより高い。

「オーバービート」…オーバースラッシュの要領で「柄殴り」を投射する。モーションの関係上、剣を抜かずに撃つことができ、手加減もしやすいメリットがある。とはいえ、人間の頭に叩き込むと頭蓋骨が割れかねない。

「ハイパースナップ」…指パッチン(フィンガースナップ)を魔力で増幅、特大の音の衝撃波として相手に放つ。微妙な魔力の操作を必要とするために剣技に輪をかけて使い辛いが、アインはのちに魔力操作技術が上がったために連発可能になった。聴覚が鋭い相手ほど効く。

「ゲイルディバイダー」…剣をまっすぐに突き出し、魔術攻撃を切り裂きながら突撃する。突風を操る緑飛龍(ウインドワイバーン)へのカウンター技として咄嗟に編み出したが、加速効果もあって意外と汎用性が高い。

「バスタースラッシュ」…オーバースラッシュの強化版。身体ごと魔力を特定の角度で回転させることで、出力と到達速度が劇的に上がる。ユーカの「旋風投げ」をヒントに編み出した。威力も速度も通常版の約三倍。消費は据え置き。

「バスターストライク」…パワーストライクの強化版。バスタースラッシュとほぼ同じ理屈。のちに魔力回転を体内だけで成立させることに成功し、どの角度から振っても出せるようになった。

「破天」…アテナの技をコピー。剣の「概念」を拡張することで刀身を仮想的に伸ばす。それだけではあまり意味がないが、パワーストライクなどと併用することで攻撃力を付与できる。魔術としては少々完成度が低く、高燃費。アイン独自の属性派生技に「炎天」「雷天」がある。

「ゴーストエッジ」…エラシオとの共闘の中で編み出した即興技。瘴気を強引に剣に纏わせ、破天に近い状態で敵に叩き込む。瘴気を浪費するのが目的だったが、思い付きで仮想刀身の先端を分裂させ、攻撃数を増やすという芸当をやったため、それを別の技のヒントに活用した。

「必殺アインバスター」…あらゆる要素で加算した攻撃力を相手に叩き込むアインの最強技。「必殺ユーカバスター」をヒントにした……というより、まだ見ぬ想像上のそれをモチーフにして名付けた。ただただありったけを叩き込むため、次に使う時はさらに内容が変わっているかもしれない。

「メタルマッスル」…アイン唯一の防御技。魔力を特定の角度で回転させることで体を極端に硬化させる。この効果中はほとんどの攻撃がノーダメージ。ただし、硬化部位に血が巡らなくなるので数秒以内に解除しないと色々まずい。派生技に腕だけ硬化して即席武器にする「メタルアーム」がある。



・ユーカ・レリクセン

 ヒロイン。24歳。数々の武勇伝を持ち西大陸最強と名高い冒険者で、“邪神殺し”の二つ名を持つゴリラウーマン。

 ……だったが、アインに謎の魔導書を使って「力」を譲り渡した結果、そのゴリラな肉体は縮み、なぜか10年ほど若返ってしまった。

 現在は見た目14歳程度のちょっと小柄な美少女。「可愛い世界で生きていたい」と言うわりには色々無頓着なため、アインやファーニィが毎日手間をかけてオシャレさせている。

 何かとストロングな思考の持ち主で、仲間を大事にしつつも危険を好む。その戦闘力以上に仲間たちに勝利を確信させる強烈なカリスマを持つ。

“邪神殺し”と呼ばれる、ある種のゾーンに入ることによって、攻撃力が倍々ゲームで跳ね上がる。それが始まると目に異様な薄紫の光が灯り、激増していく攻撃力と引き換えに自分も瀕死になっていく。

 当初は見た目通りの貧弱な戦闘力しか発揮できなかったが、弱く軽い身体に慣れた結果、瞬発力に特化したスタイルと多少の必殺技を駆使し、そこそこ戦えるようになった。それでも単独では低級モンスターの相手がまだ精いっぱい。

【使用技】

「オーバースラッシュ」…一応撃てなくはない。ゴリラ時代は二秒で撃てたが、現在は眠くなるほど溜める必要がある。威力は特訓後のアインに遜色ない。

「メタルマッスル」…一瞬だけ刃物や牙・爪・押し潰しなどあらゆる攻撃に耐えられるほど肉体を硬化する。ゴリラ時代はもっと余裕をもって使える持続時間だったが、今はタイミングを誤ると危険。

「旋風投げ」…自分より巨大な相手を投げ飛ばす。初披露時には10トン級の飛翔鮫(シャークワイバーン)をひっくり返した。一応ローリスク技に分類されるらしい。

「飛び蹴り(仮)」…体内魔力操作で瞬間的に脚の筋力を上げ、加速して蹴りを見舞う。大の大人を吹き飛ばせるだけの威力を出せるが、高確率で脚を折るなどの深刻なダメージが跳ね返る。



・ファーニィ

 エルフのいたずら娘。70歳前後。(本人曰くまだピチピチの歳)

 アインとユーカが二人で旅していたところに現れてアインの剣を盗み、ユーカを昏倒させて逃げるという危険ないたずらをして成敗された。

 以降、ちょっとこき使って懲りさせて適当に放すつもりだったのだが、アインたちが見た目以上の実力者だったために、自分も冒険者として一山当てるつもりでずっとついてきている。

 自称「アイン様の下僕」。治癒術の使い手であり、魔術も使えて弓手としても働けるマルチタレント。(魔術は魔術適性種族(エルフ)としては平均的な腕らしい)

 非常に器用で単独行動適性もあり、冒険者としては非常に素養が高いのだが、アインは出会いが出会いだったためにあまり信用していない。

 見た目は金髪碧眼美人な上にスタイルもよく、また何かと明るいムードメーカーな性格のため、初対面の相手と打ち解けやすい。酒好きだが滅多なことでは酔わない。

 治癒術の多重発動をマードから伝授され、日々腕を上げている。そのため現状は治癒師としての能力が際立っている。

【使用技】

「ウインドダンス」…風魔術。強風を生み出して空からの墜落を防いだり、飛び道具の使用を妨げたりできる。融通が利きやすく、多用している。

「ファイヤーボール」…火魔術。魔力で包み、圧縮した炎を敵に投げつける。任意で圧縮を解くか、術者の手から離れることによる自然な圧縮分解で燃え広がる。駆け出しの冒険魔術師のメジャーな攻撃手段のひとつ。

「多重治癒術」…マードから教わった治癒術の極意。通常は両手に一つずつ作る「発動点」を片手で複数作ることにより、治癒術の回復速度が加速する。ファーニィは現在普通の10倍程度での治癒が可能。それでもまだまだマードよりは遅い。



・クロード・ラングラフ

 騎士見習いの少年。15歳。見た目から育ちの良さが薫る美少年。

 ヒューベル王国王都直衛騎士団のひとつ「水霊騎士団」に所属していた。騎士団にいるままでは幼馴染である第三王女マリスと結ばれるチャンスが回ってこないと考え、水竜アクアドラゴン戦で活躍したアインとユーカについて、冒険者として名を上げることでそれを成し遂げようと画策している。

 若年ながら剣技は熟練の域に入っており、対人戦には強い自信を見せる。三つ年上の兄であり、冒険者としては嘱望されているマキシムには既に負ける気がしないと豪語し、対人に限ればまだ実力の底が見えない。

 が、ルール無用のモンスターと命のやり取りをすることには全く気構えができておらず、初陣から幾度かは醜態を演じる。それ以降、アインに対する微妙に侮った態度を改め、後輩冒険者として殊勝にじっくりと経験を積んでいる。

 若いが身体能力そのものに関してはアインを完全に上回っており、また武家の出身で装備には金がかかっているため、スペックとしては非常に堅実。前衛として重要な「敵を押しとどめる能力」に関してはアインより数段高い。派手さはないが優れた才能を持つ。

 一方、性格には少年らしい甘さが見え隠れしていて、どうもマリス・ミリスの双子姫にはいいように弄ばれている節も。

 最近、大剣「嵐牙」を実家から持ち出して大剣使いに転向。小細工ができない方がかえって能力を発揮できている、とはアテナの評。

【使用技】

「斬空」…アインたちが「オーバースラッシュ」と呼んでいるのと同じ技。騎士団式ではそう呼ぶ。クロードは威力も準備時間もあまり実用的ではない。

「斬岩」…同じくアインたちが「パワーストライク」と呼んでいる技。一応使おうと思えば使える。

「メタルマッスル」…ユーカから伝授された自己硬化技。ユーカやアインのものに比べて効果が甘く、とっさの使用では無傷とまではいかない。鎧と併用して効果を発揮する。



・リノ・サンデルコーナー

 合成魔獣(キメラ)使いの魔術師少女。14歳。

 有名な魔術学派の宗家であるサンデルコーナー家の養女のひとりで、常に「ジェニファー」と名付けたライオンとゴリラの合成魔獣(キメラ)を連れている。

 合成魔獣(キメラ)使いのステップとして新しい合成魔獣(キメラ)を作らねばならず、そのためにジェニファーを「処分」しなければならないことに反抗して家出をした。アインたちに出会った時は港町マイロンでサーカスに身を寄せ、極貧生活を強いられていた。

 世間知らずで向こうっ気が強いが、根は素直。魔術師ではあるが戦闘用の魔術はほとんど使えないため、もっぱら照明や重量物浮遊などの冒険サポート用の魔術を駆使しつつ、ジェニファーと一人と一匹で一人前扱い。

 ジェニファー大好きでだいたいのことは彼を優先し、基準として行動している。創造主と従属者の関係ではあるが、養女として温もりの少ない育ちをしているためにほとんど兄弟のような関係。

 パーティの妹分。



・ジェニファー

 合成魔獣(キメラ)。ゴリラとライオンの合成。こんな名前だがオス。9歳。

 外見はとても強そうで獰猛そうだが性格は割と従順で穏やか。リノが大好き。

 サーカスでライオンとして芸をしていたが、アインたちのパーティにリノとともに加入。普段はネコ科の前足だが任意で霊長類の拳にグニュッと変化し、格闘戦や運搬作業などに対応できる。

 リノ5歳時に創造したにしては戦闘力は優秀だが、サンデルコーナー派の合成魔獣(キメラ)としての完成度は低く評価されている。本来はなんらかの魔術攻撃もできなければいけないらしい。

 サーカスで頑張っていたからか、観客受けするリアクションを心得ている節があり、人目があるとそれを披露する。

 冒険ではリノとユーカを首の後ろに乗せ、腰にサドルバッグをつけて荷物係兼二人の護衛として活動する。

 アインに初対面でいきなり腕をちょん切られたため、現在でもアインに少し怯えている。



・アテナ・ストライグ

 ヒューベル王国王都直衛騎士団のひとつ「風霊騎士団」に所属していた女騎士。24歳。黒髪の美女。

 王国軍関係者には“風霊の戦女神”の名で有名。

 実力は風霊騎士団でもトップクラスの本格派で、徒手でもそこらの騎士や力自慢のチンピラ程度なら苦もなく叩きのめしてしまうほど強い。風霊騎士団に伝わる「構え」を重視する剣法の使い手で、どちらかというと防御的な戦法が得意だが、どう戦っても隙のない優秀な騎士。

 だが中身はかなりの変人で、ジェニファーのモフモフにかなり執着している。普段は全身鎧に顔の隠れる兜を着用しているため、その状態では王都じゅうで親しまれる人気者だが、顔を晒すと逆に知名度が低い。

 風霊騎士団ではもちろん後輩たちから男女問わず相当な人気で、指導騎士として多数のマゾ騎士たちに稽古をつけていた。男性経歴は不明だが少なくとも現在のところは恋人なし。自分をねじ伏せられる男なら嫁になるのも悪くない、と豪快な発言をする。

 アインやクロードの剣の師匠として、また個人的に興味のあった冒険者稼業の体験を目的にパーティに参加。

 クロードよりさらに安定感のある前衛だが、小器用にまとまり過ぎて伸びしろが少ないのを少し気にしている。

【使用技】

「破天」…剣の「概念」を拡張し、そこに斬撃強化の魔力を施すことで実質的なリーチを一気に伸ばすアテナの切り札。5メートル程度まで伸びるが、性質的に混戦では扱いづらく、また人間相手の時など、殺さずに止めたい時にも向かないために冒険者になるまで使うチャンスがなかった。概念拡張に魔力をかなり消費するため、長時間の使用は不可能。

「斬空」…クロードのそれと同じく、オーバースラッシュと同等の技。彼女の場合は連発まではできないものの、十分実用的な速度でチャージ可能。

「斬岩」…同じくパワーストライクと同等の技。破天発動時にこれを併用しなければ意味がない。

「メタルマッスル」…ユーカから伝授。クロードよりはしっかり使えるが、やはり刃物などを受け止めれば表面的な負傷がある。それさえ完全にカットするアインが異常なだけではある。



・リリエイラ・アーキンス

 元ユーカのパーティメンバーで超一流魔術師。24歳。

 博覧強記の美女であり、並外れた記憶力を持つ。魔導書を一読しただけでほとんどの呪文を使いこなせるため、この年齢としては有り得ないほど豊富な魔術レパートリーを誇る。

 魔力量もかなり多く、ドラゴン級のモンスターにも有効打を放てる数少ない魔術師の一人。

 本人としてはむしろ研究者気質で、物事への好奇心が強く、冒険者をしているのも世界の神秘や本に載らない真実に近づくため。常識外れなメンバーの多いパーティで相対的に常識人枠だったが、彼女本人もそこそこ型破りな性格をしている。

 ユーカとは互いに親友と認める間柄だが、ユーカの扱いはちょっとだけ雑。

 普段身体の起伏の出にくいローブ姿だが、男性メンバーの証言によれば胸はとても大きいらしい。



・アーバイン

 元ユーカのパーティメンバーでエルフの伝説の弓手。?歳。

 エルフの種族的特徴である美貌と長年の冒険活動で築いた財産を武器に浮名を流す、大の女好き冒険者。通称「女ったらしのアーバイン」。

 非常に軽く適当な性格だが、その実力と知識量は非常に高い。おそらくこの世界に冒険者なるものが誕生する前から、実質的にそういう仕事をしていたらしい。

 神業としか言えない弓の腕前と、弓に限らずあらゆるロールをこなせる万能性を見せるが、ユーカとは対照的に「ここぞの時にはなんかやらかす」と思われている節があり、実際多少詰めが甘い。しかしそれは大抵自分で何とかできる範囲。

 アインたちのいい兄貴分としてパーティに同行していたが、根底には異種族ゆえの少々シビアな一面も見え隠れしていて、人間族相手なら時には殺しも厭わないという冷徹さもある。

 ロゼッタの祖父でもあり、その視力回復に大きく貢献したはずなのだが、あまりロゼッタからは尊敬されていない。



・マード・エンデリオ

 元ユーカのパーティメンバーで治癒術の大家。71歳。

 多少年甲斐のないファンキー爺さん。その治癒術の腕前は他の治癒師とは隔絶しており、普通は数日がかりでようやく完治させられるような怪我でも、ものの数十秒で完全復元できる。

 彼がいると自分の手足がもたないような必殺技でも乱用できるため、ユーカは彼の治癒術に世話になりっぱなしだった。

 死んでさえいなければ何とでもなる、と言い切り、実際に自身が下半身まるごと失うほどの負傷をしても自力で再生して生還したことがあるらしい。これほどの治癒術師は世界中どころか、歴史上にも他に数人いるかどうかという傑物。

 治癒術の応用でとんでもないマッチョになって肉弾戦を行うこともできる。さすがにその状態で魔力を器用に操ることはできないので、魔力技を使うユーカやフルプレートの代わりまではできないが、一般的な山賊やワイバーン程度ならパワーだけで薙ぎ倒せる。

 アーバインに負けず劣らずの女好きだが「セクハラをして折檻を受けるまでが男の作法」という謎のこだわりを持ち、女の尻に手を伸ばしては殴られて喜んでいる。彼なりの基準でイタズラしていい相手と悪い相手を見極めているらしく、スケベジジイの割には評判がいいらしい。お尻派。

 ファーニィに治癒術多重発動の極意を教えた。彼からしてもなかなか筋のいい生徒だったよう。



・フルプレート

 元ユーカのパーティメンバー。全身鎧に身を包んだ白兵戦の達人。決して兜を取ることはなく、「フルプレート」という通称で通し、本名も他人に教えなかった。

 ……その正体はヒューベル王国第一王子にして火霊騎士団長ローレンス。

 魔術師をも遥かに超える異様な魔力量に物を言わせ、鎧の各所に仕込んだ魔導具と「鎧そのもの」を武器として戦う、ヒューベル最強の騎士である。(本人談)

 一応剣も持っているが、手持ち武器に魔力を込めるのはすこぶる苦手。なので雑魚相手には剣も使うが、本領を発揮するのは剣を手放して肉弾戦に移行してからとなる。

 得意技は自分自身を砲弾にする飛翔突撃技(たいあたり)「フルプレキャノン」。

 黙っていれば蜂蜜色の髪も美しいハンサムマッチョであり、威厳もあり市民や貴族受けも良いのだが、王とするにはどうにも感性がズレていて思慮が浅く、言い出したら聞かないところがあり、近しい者からは「このまま王位を継がせて良いものか」と不安視されている。

 ユーカに惚れているが、人の顔の美醜を普通に判断できず「女でも男でも身体が太く強いに越したことはないだろう」と独特の基準で判定している。



・クリス・ホワイトウッド

 元ユーカのパーティーメンバーで通称「天才少年魔術師」。その名に恥じない圧倒的な魔術の才能を持つ。12歳。

 詠唱による定型制御を介せずに直接魔力を操り、現象を引き起こす「無詠唱魔術」を特に得意とし、その操作精度と威力は全冒険者でもトップクラスと言われている。

 年頃の少年らしい単純さと不安定さに加え、天才としての矜持と高慢さ、またアーバインらの悪影響を受けたと思われるスケベさが同居した少々厄介な性格。女性ばかりのパーティに迎えられてデレデレとお姉さんハーレムを満喫していた。

 現在も本命はリリエイラらしいが、子供なのでもちろんリリエイラも軽くあしらっている。おっぱい派。

「邪神もどき」にパーティメンバーのメルウェンを殺され、復讐のため追ったが、アーバインともども返り討ちにされたらしい。



・マキシム・ラングラフ

 冒険者の街ゼメカイトで、アインとほぼ同時期に冒険者生活を始めた身なりのいい戦士。18歳。

 立派な装備や戦闘技術、また人を引き付けるカリスマ性など、アインとは根本的に違う素性の良さを見せつけて、アインが日々の稼ぎにも苦しむ中で「壁貼り」の新米冒険者を早くも卒業していた。

 その一方で、特にアインの能力の低さを嘲る一面もあり、アインにとってはできれば関わりたくない「いやなやつ」の筆頭だった。

 のちに叔父であるロナルド、弟であるクロードの存在によって間接的に素性が明らかになる。

 無能には手厳しい一方、実力を認めると態度が露骨に変わる面も。

 彼もかつては水霊騎士団に籍を置いていたらしい。

 低難度ダンジョンを多く擁するデルトールの街でアインたちに再会するも、しばらくして「邪神もどき」の襲撃に遭い、パーティメンバーのうち二人を殺害され、本人も重傷を負う。

 そのまま冒険者引退を考えていたが、アインたちが連れてきたマードの手で回復。以降もデルトールに滞在し、同じような境遇の旧クリスパーティの女性陣と協力していろいろやっている。



・ロゼッタ

 ゼメカイトの一見お断りの武器商店「ロゼッタ商店」の女主人。エルフ族でアーバインの孫。

 生来目が見えなかったが、アーバインとユーカ、そしてマードの協力によって額に高性能魔導具である第三の「眼」を埋め込まれて視覚を得た。

 この「眼」の力により、遠方にいても情報を収集できるほか、物品の鑑定や魔力の測定、さらには「迷いの森」と呼ばれる一種の空間の歪みを利用した、長距離自由移動も可能となった。

 それらの特殊能力とユーカに預けられた莫大な資産を使い、主に武器を扱う商人として働き始める。

「眼」を得て現在の生活を確立するにあたってユーカの役割が特に大きかったためか、祖父やマードよりもユーカへの個人崇拝が強い。現在も基本的にゼメカイトを拠点としているが、ふとした拍子にふらりとユーカの前に現れ、あれこれと助力してくれる。

 基本的には慇懃で冷静な女性。三つの眼で相手を見ているようにみえるが、本来の二つの眼の方は相変わらず見えていない。逆に第三の眼のほうは、閉じていたり布で隠していても普通の人と同等の視野を確保できる。

「邪神もどき」の出現に際し、第三の眼で情報収集を計って逆探知され、襲われる。

 命からがら探知の届かないダンジョン内に逃げ込み、空間の歪みを利用して複数のダンジョンを渡り歩いてなんとか生存していたところをアインたちによって発見され、ダンジョンを機能停止させる形で確保された。その過程で第三の眼は傷つき、性能が大きく落ちている。



・ウォレン・ロバーツ

 温泉の町メルタでマード探しの後詰冒険隊(サポートパーティ)として協力した中年冒険者。37歳。

 比較的脅威の少ないメルタに滞在している中ではかなりの腕利き。大物の大剣を使う。

 実力的には田舎でくすぶるにはもったいないほどだが、温泉好きでこの町を離れようとしない。基本的にはソロ。

 かつて“邪神殺し”パーティに入る前のマードとパーティを組んでいたことがあるらしい。



・キティ

 温泉の町メルタでマード探しの後詰冒険隊(サポートパーティ)として協力した冒険者。?歳。

 斥候(スカウト)として極めて優秀な能力を持つ女性。名前は偽名と堂々と言い切り、年齢も言おうとしないが、冒険者としてはそれで普通。

 マードを過剰に慕っている他の女性メンバーたちにドン引き。



・セドリック

 温泉の町メルタでマード探しの後詰冒険隊(サポートパーティ)として協力した冒険者。21歳。

 特に優秀なわけではないが運がいい青年。あまり勤勉でもないのだが、毎回どうでもいい理由で修羅場にだけ欠席しがちで、気が付くと事態が片付いている事が多い。



・チューリップ

 温泉の町メルタでマード探しの後詰冒険隊(サポートパーティ)として協力した冒険者。14歳。

 マードに赤ん坊の時から不自由だった片目を一瞬で治癒してもらって以来、マードにガチ恋レベルに心酔している。そのせいで逆にマードには避けられがち。



・ナオ

 温泉の町メルタでマード探しの後詰冒険隊(サポートパーティ)として協力した冒険者。27歳。

 腕の立つ魔術師で、ゴーレム技術に精通し、荷車や温泉掘削機などにゴーレムの制御機構と動力を用いる。他にも多彩な応用が可能。

 これまた田舎にはもったいない優秀な冒険者なのだが、温泉掘りが趣味であり特技でもある。

 男の趣味は枯れ専で、チューリップ同様にマードを妙に慕う。



・エラシオ・ハイシュタット

 通称「燕の騎士」。王都東方にあるクエントという街を拠点にする新進気鋭の冒険者パーティのリーダー。22歳。

 攻撃回避に天賦の才を持つ剣士であり、味方による無警告の背後からの攻撃も含めて、全方位からの集中攻撃を苦もなくかわし切る異常な回避力を誇る。スタミナが続くうちはその回避は絶対的であり、彼が引きつけて他の仲間が狩るというパターンで多くの困難な依頼を達成してきた。

 それ以外の戦闘力は突出したものではなく、あまり長期戦になると不利になるということも認識しており、強すぎる相手との戦いには慎重。王都でアインたちと偶然知り合い、彼らに共闘を持ち掛ける。

 ドラセナと旧知の仲で、彼女を慕っている節がある。

 彼がアインたちの名を広め、王都でも「鬼畜メガネ」の名が轟くことになった。

 


・バルバス

 エラシオが紹介したクエントの町の発明家。ドワーフ族。

 普段はよろず修理屋として稼いでいる。

 かなり昔にアインのメガネを作った張本人で、アインの祖父である魔術師ルインに恩義を感じていた。(アインは名前くらいしか祖父のことを知らない)

 魔導具からドワーフ独自の加工まで手広い技術を持ち、その工房にはさまざまな発明品やそれ未満のガラクタが転がっている。いくつかの道具を一行に売るとともにアインのメガネにも再加工を施し、「持ち主の見たいものが見えるようにする」という本来の性質を強化し、効果の幅を広げた。



・カイ

 ゼメカイトの冒険者パーティのリーダー。アインたちが街を離れた日に未発見のダンジョンを見つけ、無謀にも挑んでしまい、敵に囲まれて仲間を逃がすためにしんがりを務めた。

 そのまま犠牲になったかと思われたが、ダンジョン内でのモンスターの同士討ち禁止の性質を利用してなんとか生存。アインたちによる救出まで持ちこたえ、ゼメカイトでアインの活躍を言い広めた。



・ロナルド・ラングラフ

 温泉の町メルタでアインの前に立ちふさがった元水霊騎士団長。その時は山賊頭をしていた。

 騎士団を政治的理由で追い出されたものの、そのまま野に下って失跡していた。

 悠然と戦いを楽しむ凄腕の剣士。フルプレート(ローレンス)は自身に匹敵する腕前と評する。

 アインはナイフ一本で立ち向かい、ユーカの横入りもあってなんとか凌ぐが、「オーバースラッシュ」などもいともたやすく打ち消され、ほとんどダメージも与えられずに名前を名乗らされた。

 最近になってようやく再戦。相変わらず全力は出していないものの、アインの成長に目をみはり、「邪神もどき」相手の共同戦線に参加してくれという要請に従う。

 騎士団内の政治ゲームや貴族社会の都合に付き合わされ、せっかく磨いた能力を腐らせていることに強い不満を感じていた。強さを求め過ぎたせいか規範意識がやや希薄で、アウトロー気質。



・マリスとミリス

 フルプレート(ローレンス)の妹たち。双子の第三・第四王女なのだが、互いに自分が姉で相手を妹と言い張っている。

 ほぼ容姿が同じであること、そして互いに思考がほぼ同じであることを楽しんでいる節があり、一つの事柄をまるで示し合わせたように二人で分けて喋る。

 その上で悪戯好き・謀略好きの面があり、可憐な容姿ながらアインやクロードを翻弄する。

 どこまで本気なのか、アインこそフルプレート(ローレンス)を止められる人材として「妹」を嫁に与えようとしている。



・カミラ・マートン

 火霊騎士団の財務係。大貴族の子女で王城の至近に実家がある。

 騎士団に在籍しているが騎士としての実力は全くなく、純粋に実務能力のみを買われている。

 珍しい道具が好きで特にドワーフ系の技術には目を輝かせる。実はドラセナとは親友。



・ドラセナ・ドメニコス

 王都アルバルティアの職人街にあるドワーフ工房の娘。ほとんど標準語が喋れないドワーフ爺たちの通訳係。

 本人も優秀な鍛冶職人であり、色々な新技術を勉強して使う機会をうかがっている。

 工房のドワーフ爺たちの中で肉親は一人だけだが、みんなの孫のように扱われている。

 ちょっとだけアインに気があるそぶりを見せた。



・シルベーヌ

 冒険産業都市デルトールで“魔獣使いの宿”を営むエルフ女性。自身も合成魔獣(キメラ)制作者。

 異様に色っぽい恰好と喋り方をする。性にはオープンで、気に入った相手とは割と簡単に一夜を共にするが、あまり長続きはしないらしい。

 どうやら宿には複数の魔術的な仕掛けがあるようで、女主人一人で宿を営むための安全対策は充分のよう。

 また魔獣使い同士での横のつながりもあるようで、たまに合成魔獣(キメラ)が単独で休んでいくらしい。

 最近になって「邪神もどき」に宿を破壊され、アインたちの「邪神もどき」討伐に力を貸すことになった。



・ゴルゴール

 シルベーヌの“魔獣使いの宿”に休みに来ていた合成魔獣(キメラ)。トロールと緑飛龍(ウインドワイバーン)を合成している。

 本人曰く「合成魔獣(キメラ)的にルール違反」。どうみてもモンスターなので、わりと頻繁に冒険者に攻撃されるらしい。

 トロールにしては小さめで3メートルほど。知能が高く、喋れる。

 その翼でアインたちをダンジョンまで運んでくれた。



・ブラッドサッカー

 シルベーヌが昔作った合成魔獣(キメラ)。再生能力やサイズはともかくとして、見た目だけはドラゴンと同じ肉体構成にされている。

 飛行可能であり、やや乱暴な性格だが、石化保存から目覚めた時にアインにたっぷり「オーバービート」で折檻されたため、アインをボスとして認め、慕っているような素振りがある。

 時々ジェニファー相手に張り合っている。

 ちなみに単に猛獣として脅しの利く名前ということで「血吸い」という名をつけられただけで、別に血が好物なわけではない。



・メルウェン・ハービット

 クリスのパーティの実質的リーダー(クリス本人は自分がリーダーだと思っているが、変な判断をしないように彼女にそれとなく誘導されている)。

 クリスがアーバインと別れてから最初に組んだ相手であり、今のパーティで一番懐いていた。

 デルトール・ラウダン連合戦で突然現れた乱入者によって殺されてしまったらしい。



・ハーディ・スナイダー

 マキシムパーティの副官で魔術師。礼儀を気にする方で、どちらかというと抑え役。

 アインたちに助けられたことを感謝し、お菓子の差し入れを宿まで持ってきた。

 のちに旧クリスパーティの治癒師ルリといい感じになり、ちょっと浮かれている。



・ボルト・オリファント

 マキシムパーティの一人。好戦派。

 実はメルウェンとともに死者として名が数えられている。



・ジェド・クレスキン

 ミミル教団国土鎮護隊総隊長。25歳。

 モンスター、特にアンデッドに対する、冒険者とは別系統の対策機関である鎮護隊のトップ。

 教団内では名家と呼ばれる家に生まれ、実力もあるが、誉めそやされて育ったために傲慢で低劣な性格。

 縁談の持ち上がった双子姫に対し、不愉快な態度で接したためにアインと対決することになったが、性能のいい魔導鎧を過信したためにアインにボロ負けする。

 その後は双子姫の陰謀で実質的に失脚したようだ。



・シーナ・ランダーズ

 アインの少し年の離れた妹。農村で二人暮らしをしていた。

 ある日、近くの街に出かけたまま何者かに殺され、それがアインの旅立ちの契機となる。

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