大会事前準備

現在私達は王都に着いて、王都に構えてる屋敷で寛いでる最中です。

流石に領地程の大きさじゃないけど、日本にある、そこら辺のアパートよりは圧倒的に大きいけどね。

今はメリーがオセロの大会の貴族子供部門に出るので私が練習相手になってる最中である。

まぁ私もオセロの知識は角を取ったら強い以外何も無いからなんとも言えないけど。

オセロが広まってあまり日数も経ってないから、角が強いことを知ってる人少ないと思うからメリーも上位に入る可能性は十分ある。

「ここなら5枚も白色になる！」

メリーが嬉しそうに私の黒い駒を裏返していくが、そこに置いたら私が角に駒を置けるようになり、私は躊躇わず角を取る。

「ほら、メリー。相手に角を取られたら不利になりやすいから、そこだけは避けるようにしないと大会に勝てないよ？」

「うー、だって沢山取った方がなんか良さそうじゃん」

メリーが頬をプクッと膨らませてこっちを可愛く睨むので、私は条件反射でメリーの頬を付いてプスッとメリーの口から空気を抜く。

「お姉様！　何をするんですか！」

「いや……可愛くてつい……」

「もう……どんな理由ですか……」

「アハハ、それと沢山相手の駒をひっくり返すのは終盤にするように。序盤でそれをすると逆にこっちがひっくり返す為の場所が減るからね」

王都のオセロ大会が開かれるのは明日なので、私の持てる限りの知識をメリーに伝えて、それを実践で出来るようになるまでメリアル達やお父様達と対戦する。

メリーは本気で優勝を狙ってるらしく、その日の夜遅くまで特訓は続いた。

寝ずに大会まで特訓しようとしてたけど、流石に明日の大会で寝不足になっても困るので途中で闇魔法で眠らせたけどね……。

次の日の朝、私は開会式の開式の辞と司会を務めることになってるので早目に大会が行われる場所に向かい、打ち合わせする。

正直5歳児にやらせる仕事ではないと思うけど、出掛ける時にメリーの声援を貰えたし、それくらい目をつむろう。

会場となるのは王都の中心部辺りにある噴水広場で、対戦用のテーブルや、受付場、そして私が開式の辞をする為のステージも既にセッティングされている。

私はメリアルと一緒にステージ裏で、この大会の主催者と待ちあわせしている人に会いにいく。

ステージ裏には二人の男女が椅子に座って待っていた。

身なり的には貴族かな？　待ちあわせ時間までまだ20分はあるはずだけど……。

「スイマセンお待たせしました。私はオセロの発案者であるフランロール・アビルノ・シューゲイトです。本日はお招き頂き、更にこのような素晴らしい大会を開いて下さり有り難う御座います」

そう言いながら私はカーテシーをするが、相手二人は無言のままこっちを見つめているばかり。

えっ……私何かやらかした？　怖くて下げた頭上げれないんだけど……。

「あっ、すまない。余りにも大人びた事を言うから驚いて固まってしまったんだ。僕はアレクス、今回は平民も参加するから身分は隠す方針の予定だ。それと隣の女性はシフィア。僕の自慢の許嫁だ」

「ちょっとアレクス様！　人前でその紹介は辞めて下さいと何度も……あ、シフィアです！　えと……さっきの事は忘れて下さると助かります」

私とメリアルは苦笑しながら分かりましたと答えて、打ち合わせを始める。

基本的に話し合うのはメリアルとお二人の間でなので私は、決まった内容に賛成か反対かを聞かれたら答えるだけなので、聞かれるまでは、用意されたお菓子を頬張る。

ふむ！　王都のお菓子も美味しい！　特にこのプリンはさいこ……う？　ん？　プリンが……ある？

「あっ…あの！　このプリンっていつ程から作られるようになったのですか？」

「ん？　このお菓子かい？　これは僕のお祖母様が作り出したモノで、作り方は基本的に王族以外には漏らさないようにしてよ」

なんと！　これは同郷者に会うチャンスでは？　オセロ流行ったけど特に元日本人らしき人に会ったり連絡来たりとかしなかったから、是非会いたい！

「そのお祖母様に会うことは可能ですか？」

「残念だけど寿命で4年前に亡くなられたよ」

「そう……ですか。スイマセン何も知らずに会いたいなどと」

そっか……会えないのは残念だが、こうやって身近に元日本人がいるのが分かったのはいいことだ。前向きに前向きに！

その後も、大会の段取りを決めていった。大会のスケジュールを見て、殆ど問題無いことを確認する。そう……殆どだ……。

ねぇ……、一応OKを出したのは私だけど何故優勝景品が賞金と私とのエキシビションマッチなんですか！？

私との対戦の需要ないでしょ！