劇場版キメェモンスター ~ド辺境農村の守護者 パーフェクト・シャーチク & カローシ・インフェルノ~
「「「キメモンバトルだっ!!!」」」
シャーチク村とカローシ村の子供達が、声を揃えた!
その時!!!
「合意と見てよろしいですねぇええええ!?」
突然!
天空から声が響いた!!
「このこえは、まさかっ!」
「しっているのか、ミッチュン!」
「とかいでキメモンバトルをしようとすると、どこからともなくあらわれるという、あのっ!」
刹那!
太陽の中から黒い影が現れ!!
地上へと降り立った!!!
黒いスラックスに白シャツ蝶ネクタイ!
グラサンとマイクを装備した、ポニーテールのおねぇさんである!!
「ただいまこのバトルは、正式にキメモンバトルとして認定されました! ですのでわたくし、キメェモンスターバトル委員会公式A級レフェリー! ミス・キタアカリが審判を務めさせていただきます!!」
「本物のキメモンレフェリーだぁー!」
「す、すっげぇー!!」
都会でキメモンバトルを行おうとすると、どこからともなく公式レフェリーが出現!
公正公平にジャッジをしてくれるのである!!
当然、子供達が実際に見るのは、これが初めてである!
何しろ公式レフェリーは、都会にしか出現しないのだ!!
「あ、あの! 本物なんですか!?」
「はい、ホンモノですよー。ほら、証拠のゴールデン・ルールブックです」
ミス・キタアカリが取り出したそれは!
黄金で彩られた煌びやかなキメモンルールブックであった!!
公式レフェリーだけが持つことを許される(非売品)、身分証明書としても機能する全キメモン好き少年少女の憧れ的アイテムである!!!
「かっけぇー! まじでほんものだぁー!」
「やっべぇー! とかい、やっべぇー!!」
「ひかってる! めっちゃひかってる!」
テンション爆上がりなのである!!
ただ!
中には冷静な子供もいた!!
「はいっ!!」
「はい、元気があっていいですね。質問ですか、そこの少年」
「ぼくたち、あんまりおこづかいないので、れふぇりーりょうきんをはらえません!」
キメェモンスターバトル委員会のレフェリーにジャッジをしてもらうのは!!
有料だったのである!!!
一試合に付き、昼飯一食分ぐらいの料金を双方から頂くことで経営が成り立っているのだ!!
憧れているだけに、少年達はそのことをしっかり知っていたのである!
しかし!!!
「ご安心ください。今日この広場で行われる試合の審判料は、特別にご領主様がご負担くださっています」
「「「なっ、なんだってぇー!?」」」
ご領主様からの、粋でいなせな計らいなのである!!!
「なんて、ふとっぱらなんだ!」
「こういうことができるから、ごりょうしゅさまなんだよなぁ!」
「いっしょう、ついていきます!」
今回の件といい!
村の出店の配置といい!
ご領主様は絶妙に田舎者心を分かっているといわざるを得ないだろう!
そういう姑息な部分と、太っ腹な部分!!
清濁併せ呑む器量があればこそ!
この領地は平和なのである!!
「では、心配がなくなったところで、使用するルールブックを確認します!!」
「「「はぁーい!!」」」
「使用するルールブックは、第何版にしますか?」
「あ、ぼくたちもってるの、3.5版だけど」
「ぼくたちもだよ。のうきょうのカタログでかえるので、いちばんあたらしいのだし」
農協はド辺境にある村への物流も担っている!
ゆえに、どの村でも流通する既製品というのは、似通ってくるのだ!!
「では、3.5版の、スタンダードバトルということで?」
3.5版には、いくつかのバトルルールが記載されていた!
入門用のスターターバトル!
通常用のスタンダードバトル!!
並や普通なんてかなぐり捨てた変態達の宴なエキスパートバトル!!!
子供は素直に、スタンダードバトルを選ぶのがベストである!
「では、使用ルールが決まったところで、各陣営、キメモン制作に移ってください!!」
「「「はぁーい!!!」」」
子供達がキメモンを作っている間!
改めてキメモンバトルについてご説明申し上げよう!!!
キメモンバトルとは!
正式名称を「キメェモンスターバトル」という名前の、ゲームであった!!
ルールブックの中から、頭部・右腕・左腕・胴体・下半身の五つのパーツを選び!
自分好みの「キメェモンスター」略してキメモンを作り!!
戦わせるのである!!!
パーツにはそれぞれコストが設定されており、パースコストの総計は、一定以内でなければならない!
決められたコストを上手くやりくりし!
いかに強力で!
自分好みのキメモンを作り上げるかが、勝負の分かれ目なのである!!
キメモンが完成したら、お互いに規定に沿って作られているか確認!
いよいよキメモンバトルだ!!
バトルには、サイコロを使用する!
サイコロの目はキメモンのパーツに対応しており!!
1頭部・2右腕・3左腕・4胴体・5左腕となっている!
6の目はクリティカルヒット!
自分の好きなパーツの能力を発動させることができるのだ!!
バトルの時は、お互いに同時にサイコロを投擲!
出た目の効果を同時に発動させ、相手のHPを先に0にした方の勝ちとなる!!
キメモンのHPは、それぞれのパーツに設定されており!
使用したパーツのHPの合計が、キメモンのHPとなるのだ!!
強力なパーツになればなるほどHPが低く設定されている場合が多いから、バランスが非常に重要である!
すごく攻撃が強いけど、カス攻撃で死んじゃう!
HPはめちゃくちゃ多いけど、攻撃が弱すぎて全然勝てない!
そんな風にならないために、プレイヤーは必死に頭をひねるのだ!!!
ちなみに、パーツ効果には攻撃のほかにも!
次の攻撃に威力を上乗せする「チャージ」や!
HPを回復する「ヒーリング」!!
相手の攻撃を反射する「ミラー」等!!!
様々な効果が存在する!
特徴的でかっこいいキメモンを作って、君もキメモンバトルを楽しもう!!!
「うわぁー、どんなキメモンがいいかなぁ」
「なんか、きばつなやつがいいのかな」
「いや、いつものせっけいしそうでいこうよ」
「そうだね、カローシむらのすごさを、みせてやるぜ!」
カローシ村の子供達は、いつも使っているような設計で戦うようであった!
普段はライバル同士ではあるが、今は一緒にキメモンを作る仲間である!
お互いにアイディアを出し合って、最高のキメモンを作ろうと頑張っているのだ!!
「どうしよう、スーさん。なにかあいでぃあ、ある?」
「ここはきをてらわず、いつもつかってるかんじでいこうよ」
「ぼくも、そうおもう。こういうときこそ、いつもどおりだよ」
「ミッチュンもそういうなら、やっぱりそれでいこうか」
奇しくも、シャーチク村の子供達も、同じようにいつも通りの構成で戦おうとしていた!
初めて戦う相手であるから、キメモン作りの癖などは解析できない!
ならば、いつもの自分達のリズムで戦おうというのである!!
シャーチク村もカローシ村も、考えていることは近いものがあったのだ!!!
そして!
両陣営の知恵と勇気を結集したキメモンが!!
完成したのである!!!
「何方も、完成しましたかー?」
「「「はぁーい!」」」
「いい御返事ですねぇー。じゃあ、チェックしますので、キメモンシートをお預かりしまーす」
キメモンシートとは!!
キメモンのステータスをかきこむための、専用シートのことである!
ちなみに今子供達が使っているのは、公式試合でも使用される公式キメモンシート!
普段はお店の端っこに置いてあるコピー機(魔力駆動)を使ってシートをコピって使っている子供達にしてみれば、とてつもない贅沢をしている気分になる行為であった!!!
「やべぇー。シートにきにゅうするの、ちょうきんちょうしたぁー」
「あー、カローシむらもかぁ。わかるわぁー。コピーきででてくると、なんかふんいきちがうよね」
「のうきょうさんのコピーき、せいのういいんだけどさ。やっぱみせのかみと、ほんものはしつかんからちがうよね」
「シャーチクむらもかぁ。どこもおなじだよねぇ」
「みてよ、かくかかりだったタっつぁん、きんちょうしすぎて、かきおわるとどうじにまっしろなはいになっちゃったんだ」
「こっちもだよ。いちばんじがうまいやつなんだけどさ」
笑顔で真っ白な灰と化しているタっつぁんとカローシ村の少年!
キメモンシートに丁寧に書かれた文字列が、彼らの戦いの証である!!
「はい、両者、問題ないですね。では、ダイスを用意して、じゃんけんをしてください」
キメモンバトルは、ダイス!
つまり六面サイコロを使うバトルスタイルを基本としている!
故に、仕込みサイコロなどを使ってのいかさまを行う、「ダークバトラー」が横行した時期があったのである!!
それを防ぐための措置として!
サイコロは両者が二個づつ用意し!
勝ったほうが、負けたほうが持つサイコロの内、好きな方を一つ先に選び!
次に、負けたほうが、残るもう一つのサイコロを使うという!
という形式を取るようになったのである!!
こうすることで、両者がサイコロを確認し合い、より公平なキメモンバトルが行えるという寸法であった!
ちなみに!
キメモンバトル公式ジャッジがいる場合は、無論ジャッジによるダイスチェックも行われる!!
この時イカサマがばれると、とてつもない罰を受けることになるのだ!!!
「「「じゃーん、けーん、ぽん!!」」」
「シャーチク村の勝ちですね。では、カローシ村のサイコロから好きな方を選んでください」
「うわぁー。これ、せきざい? こってるなぁー」
「むらに、つちぞくせいまほうのスキルのひとがいてね。つくってもらったんだ」
「つちぞくせい!? ちょうゆうりょうすきるじゃん。しょうらいゆうぼうすぎない?」
「こいつのとうちゃんだよ。こいつも、つちぞくせいまほうのスキルだし」
「あー、つちぞくせいがおだわぁー」
「わかるぅー」
「ちょっと、やめてよぉ」
ちなみに!!
都会ではディスりワードである「土属性顔」というのは!
ド辺境の田舎村落ではこれ以上ない誉め言葉である!!
土属性魔法のスキルは、農民スキルに次ぐモテスキルなのだ!!!
「よぉし! このサイコロにきめた!」
「じゃあ、ぼくたちはこっちだっ!」
「双方、ダイスが決まりましたねっ! では、バトルフィールド展開!!」
ミス・キタアカリが、天高くこぶしを突き上げる!
刹那!!
地面が隆起し、石で作られた二つのテーブルと、二本の石柱が現れた!!
「おお!」
「すっげぇー!」
子供達がざわめく中!
石柱が二つに割れる!!
中から現れたのは、なんと!
子供達が設計した、キメモンだったのである!!!
「うわぁああああん!? な、っすっげっ!!」
「どうなってんの!? これどうなってんの!?」
「いやぁああああ!!!」
狂喜乱舞する子供達!
このキメモンは、ミス・キタアカリがスキルで作り出したものである!!
キメモンバトル委員会公式A級レフェリーになるには、何らかの方法でバトルフィールドを展開する能力が必須となっていた!
ミス・キタアカリのスキルは「第八自動人形歩兵中隊」!!
事前に登録した人形を即座に召喚!
遠隔で自在に操ることができるという、ステキなものなのだ!!
今やったのは、遠隔で人形に人形を組み立てさせ、それを即座に召喚するという、曲芸染みた離れ業であった!
はっきり言ってこれだけのスキルがあれば、冒険者としても国の軍人としてもかなり高い地位まで行けるのではあるが!!
キメモンのレフェリーに人生を捧げた彼女に、その選択肢はないのである!!!
「それでは、キメモンバトル! レディー! ファイッ!!!」
「いっけぇー、ケっちゃん! めにものみせてやれ!」
「さいころさばきのみょうぎ、みせてやれ!」
「かたに、でっかいいちご、のせてんのかいっ!」
カローシ村の代表者は、ケビン少年であった!
スキル「覇道邁進」を有するナイスガイである!!
将来の夢は、イチゴ農家だ!!
「やったれ、スーさん!」
「けしとばせ!」
「それだけしあげてくるには、ねむれないよるもあっただろう!」
対するシャーチク村代表は、我らが主人公ストフレッド!
世界に混沌をもたらすとされるスキル「呪術王」の保有者!!
将来の夢は、お父さんの仕事である猟師を継ぎ、村に一匹も害獣を近づけないことだ!!!
では、それぞれのキメモンをご紹介していこう!
ちなみに子供達は、相手のキメモンの外見で、一瞬でステータスと特徴を把握している!!
若い記憶力と素早い判断力は、時に侮れないものなのだ!!!
まず、カローシ村のキメモン!
頭部に「プチドラゴンファイヤーボール」という高価格帯の特化パーツを使用!
そのほかの部位はすべて「チャージ」(次の相手へダメージを与える効果の威力を高める)系で固めている!!
狙うは一撃必殺!
攻撃ができる目は頭部の1と、クリティカルの6のみではあるが、それ以外の目もけっして無駄にならない!!
大味に見えて、実はかなりスマートな設計となったキメモンであった!
そんなカローシ村のキメモンの名前は!!
カローシ・インフェルノ!!!
直訳すると過労死地獄である!!
ついで、シャーチク村のキメモン!
左腕に「ボコボコ・ナックル」というHPを捨て攻撃力に極振りしたパーツを使用!
右腕、胴体、下半身に、それぞれ「コンセントレーション」(指定した相手にダメージを与えるパーツ一つの威力を高める)系のパーツを配備!!
これによって、火力を徹底的に左腕に集中!
頭部に使用しているのが「スイッチング」(このパーツの目が出た時、指定した別のパーツを使用できる)系のパーツなのだが、これは苦肉の策!!
コストの都合で、「コンセントレーション」系を選ぶことができなかったのだ!
しかし!
おかげで攻撃チャンスは1・3・6と、大幅増量!
二分の一の確率で「ボコボコ・ナックル」をぶち込める構成となっている!
そんなシャーチク村のキメモンの名は!!
パーフェクト・シャーチク!!!
直訳すると完璧な社畜である!!
察しの良い方ならば、あるいは気が付いているかもしれない!
実はどちらの村のキメモンも!!
コンセプトが駄々カブリなのである!!!
一撃に掛けるロマンビルド!
方法論こそ違うものの、設計思想はほぼ同じなのだ!!
しかし!!!
「な、なんていさぎのいいデザインなんだ」
「いちげきにかけるってことか。シャーチクむらのくせに、おとこらしいじゃないか」
「それでも、かえりうちだけどなっ!」
カローシ村の子供達は!
全くそれに気が付いていなかったのである!!
そしてやはり!!!
「くそ、カローシむらのキメモンなのに、すたいりっしゅなコンセプトだな」
「がまんして、がまんして、いっぱつでばんかい。しびれるたたかいかただぜ」
「まぁ、かつのはパーフェクト・シャーチクだけどね!」
やっぱりこっちも全然気が付いていなかったのである!
お分かりの方も多いだろう!!
シャーチク村とカローシ村は、子供達も似たもの同士だったのだ!!!
「では、一投目!」
「「「キメモン・シュート!!」」」
キメモンバトルでサイコロを投げる時の、お決まりのセリフである!
転がるサイコロを、子供達は固唾を飲んで見守る!!
出た目は、両者ともに2!
攻撃不発である!!
「ふぅー! まずはおたがいにふはつかぁ」
「すげぇー、きんちょうするな」
「カローシむらのほうは、こうげきりょくがあがったぞ」
「おうとも! にかいもチャージすれば、いりょくは2ばいになるんだ!」
「2チャージのこうげきいっかいに、チャージなしのこうげきいっかいで、パーフェクトシャーチクはやられちゃうぞ」
「とはいえ、カローシ・インフェルノも、3ぱつたえるだけのHPしかないよ」
「このキメモンバトルは、あれるぜ!」
解説も器用にこなす!
ド辺境に住む子供達は、盛り上げどころも自分達で一次産業していくのである!!
このまま、二投目となるが、やはり両者不発!!
カローシ・インフェルノはチャージを蓄積し、「プチドラゴンファイヤーボール」の威力は倍となった!
続く三投目で、試合が動く!!!
両者、出た目は1!!!
攻撃発動である!!
「いっけぇー、カローシ・インフェルノ!! ひろうこんぱいのジェットブレス!!!」
「うちくだけ、パーフェクト・シャーチク!! シャーチク・パンチ!!!」
基本的に両者ネーミングセンスは皆無なのである!!!
しかし、威力は十分!!
互いにかなりのHPを持って行った!!
「パーフェクト・シャーチクのえいちぴーは、のこりさんぶんのいちぐらいか」
「カローシ・インフェルノのほうは、はんぶんよりちょっとおおい、ってかんじだな」
「けいりょうきゅうのキメモンなら、パーフェクト・シャーチクのこうげきにかいで、のっくだうんだよ」
「でも、カローシ・インフェルノは、それよりちょっとえいちぴーがおおいからね。シャーチク・パンチでいうと、2.2はつぶんぐらいだよ」
「もうちょっとこうせいをいじれば、にはつでたおせるぐらいのかりょくは、だせたんだよ。でも、えいちぴーがふあんだったし、たたかうまで、あいてのえいちぴーなんてわからないしね」
「そこが、キメモンのむずかしいところなんだよなぁ。たたかうときまで、あいてのこうせいがわからない」
「うまくあいしょうがかみあえばいいけど、ぎゃくに、じゃくてんをつかれることもある。だから、きめもんはおもしろいのさ!」
シャーチク村、カローシ村、二村合同の説明台詞である!!!
キメモンバトルが盛り上がりを見せる中、四投目!
「「「キメモン・シュート!!!」」」
出た目は、互いに3!!
カローシ・インフェルノはチャージ!
対するパーフェクト・シャーチクは、攻撃が発動するのである!!!
「し、しまったっ!!」
「くらえっ! シャーチク・パンチ!!!」
パーフェクト・シャーチクが左右に激しく体を揺すり、頭で無限記号を描く!
その反動を利用して放たれた一撃が、カローシ・インフェルノの腹部を貫いた!!
「で、でたー! シャーチク・パンチのぼでぃーぶろーだぁー!」
「あんなおもたいぱんちなら、いっぱつでからだがうごかなくなっちまう!」
「なんて、りふじんなぱんち、うちやがるんだ!」
これで、互いにHPの残りはギリギリ!!
一発貰えば終わりという状況!
先に攻撃を成功させた方が、勝ちなのである!!!
「これで、いっきにわからなくなったぞ」
「なにしろ、どっちもいっぱつがでれば、おしまいだ」
「カローシ・インフェルノのこうげきかくりつは、さんぶんのいち」
「いっぽうの、パーフェクト・しゃーちくは、にぶんのいち、だぜ」
「かくりつてきには、パーフェクト・シャーチクがゆうりか」
「でも、かくりつだけじゃはかれないのが、キメモンバトルだぜ!」
いい感じに、実況も盛り上がっているのである!
お互いにひっ迫した状況の中、額に汗を浮かべて対峙するストフレッドとケビン!!
「へっ、やるじゃないか、シャーチクむら」
「そっちこそ! でも、まけないからね!」
「こっちだって!」
「「「キメモン・シュート!!!」」」
五投目!!
出た目は、互いに4!!!
両者攻撃は不発!
カローシ・インフェルノは攻撃力が上がっていくものの、既にオーバーキルの状況!!
チャージを重ねても、実質意味はない状況である!!!
「っくぅーう! ひりつくからぶりだぜっ!」
「こんなにきんちょうする、ミスはそうそうないよ!」
「ぼく、すんごいのどかわいてきた!」
「まけんなよ、ケっちゃん!」
「スーさん、ぜんりょくでいけー!」
双方の応援が飛び交う中!!
運命の六頭目!!!
「「「キメモン・シュート!!!」」」
転がるサイコロ!
固唾を飲んで見守る子供達!!
出た目は!
6!!!
両者、クリティカルである!!!
「いっけぇー! ひろうこんぱいのジェットブレス!!!」
「ぶちこめ! シャーチク・パンチ!!!
放たれる火球!!
降りぬかれる拳!!!
二体のキメモンの攻撃が激突!
そして、両者ともに吹き飛んだ!!!
「両者戦闘不能!! したがってこの試合、引き分けとなります!!!」
両村の子供達から!
いつの間にか集まっていたギャラリーから!!
惜しみない喝さいが贈られる!!!
子供達が全力を出し合ったキメモンバトルは!
多くの人の心を打ったのである!!!
「やるじゃないか、シャーチクむら。でも、こんどはかならずかつからな」
「カローシむらも、なかなかだったね。だけど、つぎこそかつのはこっちだよ」
固い握手を交わす、ストフレッドとケビン!
シャーチク村とカローシ村は、基本的に仲が悪い村同士である!!
だが、お互いに認め合う、ライバルでもあるのだ!!!
ちなみに!
お気づきの方も多かろうが!!
二人のサイコロの目は!
ずっとマルカブリだったのである!!!
そんなところも同じような行動をとってしまう!
シャーチク村とカローシ村は、まさに似たモノ同士なのだ!!!
一方そのころ!!
この世界の神々が住まう天界では!
一柱の神が空に向かって吠えていたのである!!!
「全然シリアス展開にならねぇーじゃねぇーかドチクショウがよぉおおおお!!!」
無論!
ストフレッドのことである!!
この神は、運命を司る神々の一柱!
なんか不幸とかそういう展開が好きな感じのアレなのだ!!!
「はぁー! 何かわかりやすい厨二スキルつけてやったのによぉー! 全然不幸にならねぇー! もっと安易に差別されたり虐待されたりしろやぁー!!!」
ストフレッドのことである!!!
そんな神の思惑とは裏腹!
今のストフレッドはめっちゃいい感じにキメモンバトルを楽しんでいるのだっ!!
「うわぁー! ボコボコ・ナックルってまだ現役なんだぁー! 1版の時からあってさぁー、俺、アレめっちゃつかってたわぁー! じゃ!!! ねぇーわぁああああああ!!!」
ハチミツ酒が満たされた黄金の盃をシュート!
超!!
エキサイティン!!!
「もっとさぁあああ! 禁忌スキルのせいで不遇だったから、世界に対して復讐することにした。みたいな小学生でも二秒で内容出来る感じにしよぉぜぇえええ!!!」
運命を司る神様は、意外といわゆるなろう系小説とかが好きだったのである!!!
「もーいい! もーわかった! はいはいはい! そういう感じなのね! ふぅーん! そういうつもりなんだぁー! へぇー! じゃー、わかった! こっちにもかんがえがありますわぁー!!」
運命を司る神は、一冊の本を取り出した!!
そのタイトルは!!
図解付き! サルでもわかるスキル入門 ~誰でもスキル担当神になれちゃう!~
である!!!
運命担当の神はそれをぺらぺらと捲り、一つのスキルに目を付けた!!!
「これだっ! これをアレしてコレして、あのクソのほほんとした平和ボケ村を滅ぼしてやる! エルフの村みたいにな!!! はーっはっはっは!!」
運命を司る神の邪悪な野望!
果たしてシャーチク村はどうなってしまうのか!!
次回!
波乱の展開が!!
待ち受けているのである!!!
すんげぇ長くなった・・・
でも途中で切ると勢いが死んじゃうと思って、一気にやっちゃいました
勢いだけでやってやったぜっ!




