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第4話

『みんなでゲリラ君』というアホ小説を書いたり、これからの展開になやんだりして時間がかかりました。

可能な限り、3000~5000字を2日に1話のペースでやる予定です。

そんなことを書きながら、エイリアンがやってきて世界が滅んだ短編を書いていたり、違う話を考えたりしているので、次は二日以上先かもしれません。

 谷森も星図をどうにかしろ、とまでは言えなかった。

 山之内は次の議題として金融市場や輸出入の問題に移ることにした。

「新井さんと北条さんは地方に出ていて閣議に参加できませんから、私がお二人の代わりに現状と対応についてお話します」

 新井修三は金融担当内閣府特命担当大臣、北条三郎は経済産業大臣であった。

「新井さんからは、外国市場との取引が止まったことで、証券会社などでは取引を中止する独自対応を採っているとの報告を受けています。これによる損失の補填について金融庁と協議する予定になっているとのことです。

 北条さんからは航空便が到着しないことへは混乱は生じても国内備蓄で当面は誤魔化せるが、長期化するようなら早急な対応が必要、ということです」

 これには、山之内も含めた、この場にいる全員が渋い顔をした。代表として北垣が口に出す。

「早急な対応の具体的な内容とは?」

「現時点では具体的な内容は存在しません。有事での代替手段は検討されて、いくつか計画はありますが、このような事態は想定外です。当面は備蓄を切り崩しつつ、それらの計画を元に対応策を検討するとしか言えません」

 この場ではオブラートな表現は不要であった。オブラートに伝えて責任者が正確な情報認識を持っていないことのほうが問題である。

 山之内はとりあえずの報告が終わったのを確認してから、内閣の長である総理としてまとめと基本方針を伝える。

「これは輸入だけではありません。日本政府が今まで想定したことがない事態です。何が起きたのかも、全容すら今はつかめていません。分かっているのは謎の地震が起きて、海外との連絡が不通となり、朝鮮半島が消えていることだけです。どこまでが消えたのかも分かっていません。ユーラシア大陸そのものが消えたのか、アメリカ大陸など他の大陸はどうなのかも分かっていません。

 どうしてこんなことが起きたのか、どうすれば戻るのか、も分かっていませんし、政府の有事マニュアルにこんな事態に対応できるものもありません。

 何が起きたのか、変化したことだけでなく、変化しなかったことも調べることが最優先事項となります。調査対象や結果は省庁を問わず、その全てを共有してください。何が起きたのかをハッキリさせないことには対策は取れません。

 また、国民のパニックを避けるため、当面は備蓄を崩して、日常生活を維持してもらいます」

 山之内は全体を見渡しつつ一気にここまでのことを言ってから、谷森を視界に捉えつつ続けた。

「なにか意見があったら、どなたでも述べてください。ただし、この方針に異議があるようでしたら、具体的な対策を示してからにしてください。場当たり的な対策については一々議論する気はありません」

 具体的な対策となると誰もが口を噤んでしまった。

 谷森も山之内の方針に不満を持っていても、具体的な対策となると思いつかず、場当たり的な対策の別案も山之内に受け付けないと先手を打たれたため出せなかった。

 当面は誤魔化しつつも、その間に情報を集めてから、改めて対応策を検討するという今後の政府の基本方針となった。


 閣議を終えた山之内は、官邸に詰めていた記者を集め、記者会見室で用意されていた原稿を読み上げていた。

 前向きな言葉が長く羅列されていたが、内容は無いに等しく、何が起きているかは知らんが対処しているから大人しくしとけ、ということしか言っていないのに、好感の持たれる人物の口から出てくれば、内容が詰まっているように聞こえた。

 朝になり、国民の大多数が布団から出て、動き出す時間になり、テレビなどを通じて通信の途絶などを知っても、多くの国民がパニックにならず、普段と変わらない生活を送てたのが、その証明でもあった。

 職場や学校に行き、外国との連絡が絶たれたことへの影響は職場によって様々で、猫の手を借りたいほど忙しいところもあれば、出来る仕事がなくなり開店休業のところもあった。

 大なり、小なり、国民生活に影響が出ており、テレビからはどのチャンネルも特別番組を報道していたが、同じようにテレビからは編集されているが記者会見の映像が繰り返し流れ、国民の大多数は安心感を得ていた。

 いくら与党民自党がスキャンダルにまみれ、総選挙で負けそうになったとしても、国民の多くが政府を信頼していた。

 天災が多い日本で、政府は良くも悪くも天災に備え、対処し続けていたから、国民も政府からの助けを信じて待つことが出来たのだった。


 朝日が昇り始めたころ久遠がロシア大使を連れて官邸に戻ってきた。

 山之内は玄関まで大使を出迎え、報道陣による記念撮影やインタビューも無しに、直ぐに会議室に直行となった。

「マスロフスキー大使、ようこそお越しくださいました。早速で申し訳ないのですが、貴国との誤解が生じないよう、また、生じてしまった誤解を解くことから始めましょう」

 ユーリイ・マスコフスキー、ロシア外務省でも日本通として知られ、日本語も堪能であった。

「山之内総理、我が国が貴国を誤解してしまっていたとしたら、その誤解を解くのも、誤解を生じないようにするのが大使の務めですが、我が国が貴国を誤解しているかは貴国の対応によりますな」

 両者はにこやかな表情で会談は始まった。同席している久遠は未だに青い顔をしたまま絶望的な表情であった。

「久遠外相から説明はあったと思いますが、我が国も諸外国と通信が断絶しており、謎の事態に困惑しています」

 マスロフスキーは笑顔のまま、続きを促す。

「現在、政府は全力で通信の復旧に努めていますが、原因すらつかめていない状況です。当然、この事態に日本は関与していません。状況が分からなず、通信も繋がらなかったため、自衛隊による偵察飛行を命じ、電波を受信できていたため北方領土も含まれていました。これらの行為は異常事態の情報収集が目的であり、ロシア軍への攻撃や偵察などを意図したものではありません」

 久遠からも聞かされたのと同じ説明にマスロフスキーが答える。

「山之内総理、久遠外相から聞いていましたが、モスクワと連絡が取れなくなったのは日本が原因じゃない。ロシア軍への偵察行為も偵察目的はロシア軍ではないから、偵察情報にロシア軍も含まれていても許せ。こういうことを伝えたいのですかな、仮に総理が私の立場だと、総理の言葉だけで納得して、サハリン州のロシア軍を説得しますか。ロシア軍の司令官も総理がこういっていたから、と言われて納得しますか」

 マスロフスキーの言葉に、山之内は持っていた資料を渡す。

「これは日本政府が現在把握している全情報です」

 渡された資料をマスロフスキーは手早く読み進める。

 マスロフスキーが紙を捲る音だけが部屋の中に響いていた。

 各省庁から挙げられた報告をどんな些細なものであっても、ほぼそのまま載せた資料である。防衛省など日本の安全保障に関わる事項については、例えばOP-1の偵察データなどは処理した後のデータにしていたりしてあったが、ほぼ全ての情報がそのままであった。マスロフスキーが到着するまでの短い間に用意したため整理もしていない。

「日本政府が用意したこの資料が総理の言葉を証明しているから信じろ、というのが総理の言いたいことですか。山之内総理、あなたを日本の首相の中でも傑物であるから警戒するようにモスクワに伝えていたのですが、私の買い被りですかな」

 マスロフスキーは資料を臨席している大使館職員に投げ渡した。

 渡された資料は総理の言葉が正しいことを証明しているが、その資料が正確であることとは別問題である。

「資料の正誤は貴国なら調べることが可能です。調べている間だけでも何もしないという保障はできませんかね」

「調べるといってもどうやってですか。私には調査機関なんてありませんよ」

「OP-1を迎撃に出撃したロシア軍が幻影でないのなら、ロシア軍という手段があるのではないでしょうか。条件はありますが、貴国によるこの事態への偵察活動を認めます」

 ここまで崩れなかったマスロフスキーの笑顔に驚きの表情が加わる。

 ロシア軍を引き合いに出して、将校を受け入れさせることを妥協点くらいに考えていたが、山之内から申し出てくるとは思っていなかった。

「具体的にはどの程度まで認められるのですかな」

「異常事態に関連したものであること、自衛隊や米軍施設など重要施設以外であること、非武装であること、事前に通知すること、こういった条件を満たすなら日本本土上空にロシア軍偵察機が飛来するくらいまでなら許可します。詳しくは防衛省に聞いてください」

 マスロフスキーでも表情をコントロールできないくらい驚いていた。

 資料にあるような異常事態で、軍事施設を除いたとしても、本土上空を外国軍、それも仮想敵国の偵察機が偵察飛行することを認めるなど一国の宰相の決断ではなかった。歴史上に残る愚行か、快挙のいずれかである。それを認められたことが手渡した資料の山之内なりの証明方法であった。

「防衛省と協議する必要や、こんな事態での貴国との誤解は避けたいですから、ロシア軍の将校を防衛省で受け入れます。中央指揮所や横田飛行場内は許可できませんけどね」

 最後は冗談のように言っていたが、それにしても大盤振る舞いであった。

 普段なら総理官邸や日本の総理の前でも、飛び跳ねて喜ぶほどの収穫であり、モスクワからはロシア外務省の歴史に残る外交官と称えられただろう。

「ロシア軍司令官と相談の上、返答させてもらうということでよろしいですか」

「構いませんよ。詳細なことは防衛省の担当者と話をつめてください。あと、そちらが集めた情報も日本政府に教えてもらえますか」

 その日のうちにロシア大使館から申し出を受け入れること、ロシア軍の軍事演習が中止となり、当面の間は軍事行動を自粛する旨が伝えられた。ロシア軍将校も来日した。

第一章の初日も終わりですし、日本から離れて、異世界側の話もするか、異世界側は接触するまでほっとくかで悩んでます。


資源問題ももうしばらくほっておいて、時間がたっても解決せずに問題になったというのが初期設定だったのですけど、幾らなんでものんびりし過ぎだな、と思って初日から問題になったという設定にしましたが、今度は早過ぎないかな、と思っています。

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