プロローグ
よくある日本転移ものを見ていたらパクr、、、じゃなくて、リスペクトしたかくなったから、書く。
ちなみに、作者は消したけど何度もエタっている常習者です。
プロットなんかはありません。
行き当たりばったり、あたって砕けろ、という作品です。
地球とは別の世界、その世界の人類の言葉で表すなら『アトランティス』と言われる世界。
その世界にも人類は住んでいるが、人類と似ているが、人類とは違う知性ある生命も共存する世界があった。
そのアトランティス世界にある城塞都市ストロングフォート。
人類どころかアトランティス最硬とまで称えられた人類の誇る城砦都市であった。
かつてはドワーフが地下都市を築いて根城にしていた岩山を人類が攻め落とし、最前線として改築したものであった。
岩山は硬い岩でできており、流石のドワーフとて地下都市の建造は簡単ではなく、長命種であるドワーフが何代にも渡って築いた都市であった。
そんなドワーフが心血を注いだ都市をドワーフに劣る人類が攻め落としたからこそ、人類に蔓延している人類至上主義を教義とする『至高教』の聖地として、『至高教』の全面支援で城砦都市が築かれた。
地下はドワーフの地下都市のままだが、地上では大規模な治水工事で川を移動させて堀を作り、石造りの巨大な壁で都市を幾重にも囲み、無数の塔とそこに備え付けられたバリスタにより空からの脅威にも対応していた。
地下から攻撃しようにも、ドワーフですら手を焼く硬い岩盤に阻まれる。
そんな人類が誇る難攻不落の城塞都市ストロングフォートは落城寸前であった。
城壁は全て陥落しており、塔も人類を守るためではなく、人類を逃がさないための存在となっていた。
都市に残されていたのはドワーフが築いた地下都市のみであった。
すでにストロングフォート周辺の人類領は全て陥落しており、人類の防衛線は引き下げられ、ストロングフォート救援は放棄されていた。
今もストロングフォート地下を守る扉からは破城槌が打ち付けられている音が響いていた。
他にあった脱出路も外には敵が待機しており、そちらからも破城槌を打ち付ける音が響いていた。
兵士も、市民も、貴族も、奴隷も、男も、女も、老人も、赤子すらも今のストロングフォートでは関係が無かった。
扉が破られたら辿る結末は同じであった。
違うのは武器を持って抵抗して殺されるか、略奪ついでに殺されるか、戯れに殺されるか、奴隷になってから殺されるか、くらいであった。
人類という劣っている種族が辿る結末は同じであった。
抵抗して殺されることを選んだ者たちは祈りを口にしたり、武器の手入れや最後の飲酒を楽しんだりと様々であった。
抵抗せずに殺されることを選んだ者たちも命乞いになるように金や銀を集めたり、盗られないように隠したりとこれまた様々であった。
やっていることは様々であったが、決まってしまった終わりに対して無駄な悪足掻きである。
そんな幾度も繰り返された悪足掻きも無駄では無いものが今のストロングフォート、至高教地下大聖堂では行われていた。
至高教高位司祭として長年研究を重ねた高位司祭ハイロドを中心に、魔術ギルドや錬金術ギルド、商店などからも徴収した高価で貴重なマジックアイテムを惜しげもなく媒体に使った大魔術を行使しようとしていた。
媒体になったのは物だけでなくハイエルフでも貴種の子供や至高教が見出した豊富な魔力を持った子供たちも媒体に使った史上空前の大魔術であった。
ハイロドは司祭という立場と至高教の権力を利用して、魔術の研鑽を重ねていた男であった。
それだけならどこにでもいる研究者だったが、この男は至高教の狂信者でもあった。
狂信的な至高教信者であった彼には人類の立場を受け入れられず、物語にあった召喚された勇者という存在を望んでいた。
しかし、勇者召喚など長命で魔術に抜群の才能を持つハイエルフの貴種の中でも飛びぬけて才能を持ったハイエルフの中のハイエルフがその生涯をかけても不可能な魔術であった。
そんな神にしか出来ない魔術を、才能があったとしても人類などが出来るはずが無かったのだが、ハイロドは異世界から何かを呼び出すという魔術を考案したのであった。
この魔術はハイエルフなどでも既にあって馬鹿にされ忘れられたものであったが、異世界から何かを、勇者かもしれないが、石ころかもしれない、水素原子一個という可能性もあったが、ランダムに何かを呼び出せたのであった。
しかし、この魔術の行使には膨大なハイエルフですら呆れるほどの魔力が必要で、呼び出されるのは完全なランダムであった。
少し考えてみよう。
地球のある銀河系には2,000億~4,000億個ほどの星があり、銀河系は局部銀河群という50個ほどの銀河の塊に属し、局部銀河群はおとめ座超銀河団に所属して、と銀河の数ですら無数にある。
地球を見ると人類だけで70億人、さらに無数の動植物がいる。
炭素12gには6.02×10の23乗個の原子が集まっている。
さて、異世界からランダムで召喚する魔術だが、原子1個という可能性もある中で、有用なものが召喚される可能性はどの程度あるだろうか?
こういったことを理論的に考えた結果、馬鹿馬鹿しいとして忘れ去られたのだった。
しかし、ストロングフォートでは違った。
馬鹿馬鹿しいと思えるのは、他にも選択肢があったらの話しである。
今のストロングフォートでは、都市の中の住人は確実に死ぬ、ならば、最後に駄目もとでも異世界からランダム召喚にかけてみるのも一興であった。
少なくとも、城を枕に討ち死にや金銀を集めて隠したり、命乞いをするよりはマシである、と至高教ストロングフォート支部長マダカス枢機卿は考えて、ハイドロに全てを託したのであった。
マダカスの協力で、これは人類の救世主となるため至高神から神託であると信じるハイドロは迅速に魔術の準備を整えて、行使しようとしていた。
そんな異様な雰囲気の中、媒体として集められた見目麗しい女の子がハイドロに不安そうな目を向けて、声を出して助けを求めたのであった。
「お父さん、怖いよ」
今年、70歳を迎えるハイドロを父と呼ぶその子は、年は10歳になるか、ならないかくらいだろうか。
緑色の腰まで届く長髪に、透き通るような白い肌をした美少女であった。
緑色の髪の毛は魔術を使い、魔力に慣れたこの世界の人類では珍しいがありえない色ではなかった。
しかし、ハイドロは身動きが取れないように縛られているかを確認だけして、一切の反応を示さず、その子に向ける目は無機物を見るような目であった。
まるで、置いた物が崩れないかどうかを確認するような物であり、父親の目では無かった。
その理由は女の子の人よりも長く尖った耳にあった。
ハイドロは人類至上主義の至高教の狂信者であり、人類の現状に強い不満を表し、それを是正するための勇者召喚であり、他種族は滅ぶか、人類に平伏すべきという思想を持っている。
ハイドロは勇者召喚の研究過程で生贄という媒体の可能性に強い関心を抱くようになっていた。
しかし、ハイドロは人類以外には冷徹だが、人類に対しては例え、凶悪犯罪者や奴隷であっても、対等に聖人のように接して、愛していた。
そんな彼だったから例え人類が救われ、至高神の御意思であったとしても、同胞である愛すべき人類を生贄やましてや実験材料には出来なかった。
そのため、彼は多種族の奴隷を買って、孕ませ、産まれた我が子を実験材料にしたのであった。
ハイドロにとって、人類以外の血が混じっている時点で、半分は己の血でも生物ですら無かった。
今、魔術の媒体として集まっている子供たちの中には、その女の子以外にも黒い肌の子や動物の耳を持った子などがハイドロに助けの目を向けていて、どの子もハイドロに似ていなくも無かった。
高位司祭として豊かであったハイドロは複数の奴隷を所有することができたゆえの不幸であり、長年の研究の本番のために持っていた全てを出したのであった。
「はじめるぞ」
実験材料とするためだけに多種族の奴隷を孕ませ、我が子を実験道具にするハイドロほどの人間はいなかったが、ここにいるのは至高教徒だけであった。
至高教徒にとって程度の差はあっても、多種族は人類に劣る存在であり、この場でそんな存在を気にかけることは無かった。
ハイドロの指示で、魔術の詠唱を始める。
しかし、用意された媒体はハイドロの計算より遥かに多かったために魔術は暴走をはじめ、制御を失い詠唱途中だったが行使された。
その様子は、ストロングフォートを囲む軍勢からも眩い光として確認でき、攻撃の手が止んだほどであった。
そして、召喚された存在だけでなく、この時代の世界にとっても不幸が始まった。
歴史に残るこの不幸は、この時代にとっては間違いなく不幸であったが、後世にとってはどうだったかは未だに議論になる出来事であった。
少なくとも、ハイドロはアトランティスを創造した創造神と並び、後世では知らぬ者がいない存在となり、子供の名前にハイドロを使うのが人類に限らず禁忌となるほどの出来事であったのは間違いない事実であった。
書いていてどうしようも無いなぁという状態になったら、設定の追加や変更をして、時間を戻します。




