第十三話
天文十九年 (一五五〇年) 一月 越前国 一乗谷 朝倉氏館 評定の間
「あけましておめでとう御座います!」
宗滴が最初に年明けの挨拶をしてから、家臣達が声を揃えて言った。
「「「あけましておめでとう御座います!」」」
「うむ、おめでとう。では、宴会をすると言いたい所だが、その前に仕事を終わらせねばならぬ。… 吉統、内政状況の報告を頼む。」
河合吉統が報告を始めた。
「はっ、まず最初に石高から報告させて頂きます。越前国の石高は、四十五万石から五十万石に、加賀国は三十五万石から四十万石に、越中国は三十七万から四十五万石に増加しました。合計で百十七万石から百三十五万石に増加しました。」
「ふむ、予想以上に石高が上がったな。…だが、まだまだ伸び代がある。引き続き頼んだぞ。」
「はっ、お褒めのお言葉を頂き、恐悦至極に御座います。次に、常備兵についてのご報告をさせて頂きます。…兵四万のうち、一万五千程が常備兵になりました。」
「なかなかの数だな。引き続き頼んだぞ。」
「御意。」
「次は宗滴、越中長崎城の報告を頼む。」
「はっ、越中長崎城に兵力一万五千が駐屯しており、兵糧も数多くある為長尾が攻め込んできても、勝機は十分にあるかと。」
「ふむ、ご苦労。」
「はっ。」
家臣達からの報告は、かなり上出来だった。
「…将の配置を発表する!」
「「「…!」」」
評定の間の空気が張り詰めた。やはり、皆どの戦線に配置されるか、気になるのだろう。出世にも影響するしな。
「まず、宗滴を大将に対長尾に河合吉統、朝倉景鏡、朝倉景隆、印牧能信を対畠山に溝江長逸、魚住景固を対六角に朝倉景紀、鳥居景近を配置する。その他の者は後々命じる。」
「「「はっ!」」」
「よし、それでは宴会を始めるとするか!」
天文十九年 (一五五〇年) 一月 越前国 一乗谷 朝倉氏館
「宗滴、戦をする上で最も重要な事は何だ?」
「そうで御座いますねぇ…準備を怠らない事ですかね。」
「準備を怠らないか…。」
「はい、戦の勝ち負けは、どれだけ戦の準備をしているかが大きく関係しますから。」
「戦の準備とは、兵の練度や情報か?」
「いえ、それ以外にも外交、自領の安定、調略など多岐に渡ります。」
「外交もか。…宗滴、お前は今のうちに関係を持っていた方が良い勢力はどこだと思う?」
「そうで御座いますね。…凶と出るか吉と出るか分かりませぬが、尾張の弾正忠織田家で御座います。」
!…尾張の弾正忠織田家とは、織田信長の家ではないか。まさか、もう宗滴は織田信長の才能に気づいているのか…。
「…何故、そう思うのだ?」
「弾正忠織田家の嫡男はうつけと呼ばれておりますが、尾張の虎と呼ばれている織田信秀が廃嫡しないと言う事は、もしかしたら弾正忠織田家の嫡男はうつけをわざと演じているのかもしれませぬ。」
「何故、うつけを演じる。うつけを演じて、何の得があると言うのだ?」
「もしかしたら、織田弾正忠家の内部には嫡男の事を面白く思っていない者がいて、織田弾正忠家の嫡男はうつけを演じる事で、敵か味方か見分けているのでは?と思ったのです。」
「…ふむ、織田弾正忠家と外交関係を持とう。」
「凶と出るか吉と出るか分かりませぬが、よろしいので?」
「ああ、もし織田弾正忠家の嫡男が優秀であったら、美濃に進出して来るだろう。そうすれば我々は南部に百万石を超える勢力ができる事になる。美濃に出る前から外交関係を持って置けば、百万石を超える勢力と、対立する可能性を減らせるし、南に注意を払わなくて、済むかもしれぬからな。まぁ、とは言え同盟するのは当分先だ。まずは、通商関係からだ。」
「なるほど、では誰を使いに出しますか?」
「小泉長利を出そう。」
「はっ。」
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