The center of the castle
地響きと雷のような轟音が鳴り響いた後、中枢へと続く結界付きの扉は、アスカロンの一撃により、あっけなく瓦解した。
「……破片がめっちゃ当たって危険やわ。あんまし無茶すんなや~。こじ開けるにしても、マジで力技の連発やな」
「これでも昔は、頭脳派と呼ばれてた時代があったもんさ」
アスカロンの軽口にダケヤマは「ほんまかいな」と言うのが精一杯であった。
警戒しながらカゲマルが、まず先行する。奥へと続く通路は、どう見てもプラスチック製の壁で、ディアブルーンの世界には有り得ない素材でできていた。アビシャグが不思議そうに触れている。
「これは、見た事もない意匠ですね。ネクロマンサー・ヘカテの趣味なんでしょうか?」
それを聞いたダケヤマは、ふとした疑問をぶつけてみた。
「見た事ない? あっちゃんのプレイヤーは、どこ住みなん? ちょっと訊きたかったんやけど、ほんまに女なんやろな?」
アビシャグは隠す事もなく、しれっと言った。
「私はあなたと同じで、他の世界からゲームの世界へ転移してきました。この姿はアバターではなく、そのままです。つまり生まれた時から女ですよ」
「ていうことは、この世に存在しないAIのキャラクターでもないって事か……じゃあ、どっから来た人なん? その制服からして……」
「それは……魔……どこだっていいじゃないですか。ディアブルーンにはプレイヤーの他にNPCや異世界転移組も混じっていて、本当に混沌とした世界です。……この服ですか? 可愛いらしかったので、お師匠様が別世界で着ていたのを貰っちゃいました」
カゲマルもあっさり正体をバラした。
「俺だって異世界転移組だ。敵のネクロマンサー・ヘカテも、そうじゃないかと言われている。なんせ科学大好き悪魔・ヤマナンが自身の魔力で創造したVRMMOだぜ、なんでもありさ」
「そんな無茶苦茶でええんかいな、ほんま……。付き合わされる、こっちの身にもなって欲しいわ……」
魔法使いとバンパイア忍者は、お笑い芸人に念を押した。ただし死に関してはシビアな世界であると。ディアブルーンでの死は、悪魔に魂を奪われる事に直結しているのだ。
やがて第二の扉が見えてきた。ガラス越しに少し内部も見えている。覗き見たダケヤマは、思わず困惑の表情でこう言った。
「おい、アスカロン……。いくら何でも、おかしくないか? こりゃ一体どういう施設なんや……」
先客がいるのか、簡単なロックは外されていた。アスカロン、のべ太、カゲマル、アビシャグ、ダケヤマの五人はお互いに顔を見合わせると、最後の覚悟を決めて頷き合ったのだ。
今、禁断の扉がエアロックの排気音と共に開かれる……。




