デスモスチルス城3
急に色っぽく見え始めたのべ太だったが、ダケヤマは何気に彼の尻を触ってみた。当然アビシャグのように夢心地で柔らかくもなく、筋肉質で再現されているのが、ゲーム内とはいえリアルだ。
「コラッ! ダケヤマ殿! 私は女だっての!」
「いやあ~、この世界では男同士のスキンシップやんか」
「全く、油断も隙もない! あなたは見境なしなんですか!」
アビシャグみたいに殴られる事はなかったが、のべ太は怒り心頭で今にも噛み付きそうな勢いだ。もう一度やるとパーティーから追放されるか、マジで後ろから矢で射られるかもしれない。
それからは城にある上階の最重要区画に至るまで、ほとんど敵に出くわす事もなくスムーズに進んだ。もっとも途中でモンスターが出現しても、桁外れのレベルであるアスカロンの一閃で薙ぎ払われてしまうのだが。その予想外の快進撃に、逆にアビシャグは不安に駆られてしまうほどである。
「あまりにも無防備すぎます。ヘカテが強すぎるので、守備が必要とされていないのでしょうか?」
先頭を進むアスカロンとアビシャグの影に隠れながら、ダケヤマが答える。
「無抵抗なのは、アスカロンのレベチな強さに恐れをなして引っ込んでるんやろ……」
そして尻を触られるのがいやなのか、パーティーの殿を務めるのべ太が続けた。
「そうだね……あるいは手の込んだ罠かも」
ダケヤマは武器として手渡された金属バットしか持っていなかったので、もう引き返したくなった。だが相方のカヤタニを助けるためには、死んでも戻る事はできなかったのだ。
「おーい!」
偵察に向かったカゲマルの声にもビビりまくる。
「この階段を登りきるとホールに出て、すぐに最重要区画の前だ。途中の雑魚モンスターは大方、片付けといたし」
このバンパイア忍者といい、天才魔法少女アビシャグ&チート騎士アスカロン、それにハーフエルフ・のべ太にせよ揃いも揃って強すぎる。ダケヤマは正直、自分は足手纏いになるかもしれないと思ったが、この強者達に付いていけば、まず大丈夫という安心感もあった。
「ついに……敵の本拠地に辿り着いたで……」
城内に不自然極まりない、現代建築のような謎の大きな扉が築かれていたのだ。装飾などは一切なく、ディアブルーンワールドの世界観を無視したような一角は、言いようのない不気味な違和感を醸し出していた。
「アビシャグ……。封印は解けそうか?」
アスカロンの言葉を聞くまでもなく、先に進むための方法を探っていた魔法使いは、認証システムなる不可解な鍵に首を捻っている。
「これは……ディアブルーンの魔法体系とは異なる世界の産物……ひょっとして科学体系?」
「どれどれ……こりゃあ、工場とかにあったもんやん。たぶん、カードとかをリーダーに通さんと開かへんで、コレは」
ダケヤマの言葉にアスカロンは、考える間もなく皆に下がるように言った。
「では全力の物理的攻撃ならば――、どうだッ!?」
パワーを蓄積しながら腰だめに剣を構えたアスカロンは、高速でスライドしながら扉のロックに向かって徹甲弾のような激突をかました。




