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おわコン!~お笑い芸人は異世界で最高のコンビ!~  作者: 印朱 凜
第4章 トンカツで婚活
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ゾンビ軍団一過2


 ダケヤマの動揺に、さすがのダイナゴンも慎重に言葉を選ぶように話し掛けてきた。


「……ダケヤマさん、落ち着いて聞いて下さい。カヤタニさんですが……」


「カヤタニに何が起こったんや? ええから早う教えてくれ!」


 勿体ぶった言い方は、ダケヤマには逆効果だった。そう理解したアビシャグは、現状を包み隠さず伝える事に決めたのだ。


「ここからは、この分野においての専門家でもある私からお話ししますので……!」


 真剣な眼差しで向き合う魔法使いに、唇を噛み締めたダケヤマは冷静になるよう、自らを促しているようにも見えた。


「いいですか? カヤタニさんは……ネクロマンサー・ヘカテの呪いにより、言葉を失ってしまったのです」


「何やて!? そりゃあ一体、どういうこっちゃねん?」


 まるで家族の不幸のごとく心配するダケヤマの反応に、思わずアビシャグは心を痛めた。だが、ありのままに説明する意思を固めたばかりだ。


「つまり……カヤタニさんは一切、喋る事ができなくなってしまったのです。ヘカテが掛けた失語魔法(アフェイジア)は強力で、読み書きはおろか、自分の意思を言葉で伝える事は不可能になったと言えるでしょう」


「うっわ~、マジか〜! ……て、いうことは……オイ! ひょっとしてカヤタニは……二度と……話す事も……?」


「もうダケヤマさんと会話する事は、できなくなったでしょうね」


「そんなアホな……! 喋らず無言のままで、お笑い芸人なんかできる訳ないやん!? いやパントマイムとかあるけど、『スカンピン』の真骨頂は、男女の掛け合いの面白さにあるというのに……喋くりもなしで、ネタが伝わるはずもないし!」


「ダケヤマさん……」


「何ちゅうこっちゃ!! ……お笑いコンビ『スカンピン』はもう死んでしもうたんか! 俺はカヤタニ以外を相方にする気なんか全くないで! ピン芸人になる気も最初(はな)っからないし……!」


「……ダケヤマさん、お気持ちは、痛いほど分かりますが……!」


「これが落ち着いていられるかいな! コンビ解散の危機やねんで!? ああ~、もうどうしたらええんやあああ~!!」


 取り乱すダケヤマに、慰めの言葉など見付からなかった。辛うじてアビシャグが伝えられた事は……言葉を失っただけで、他は全く障害が残ってない事。外傷もなく健康体そのものであるという事だけだった。


「そ、そうや! あっちゃん!」


「は、はいいっ!?」


「魔法で呪いを掛けられたんやったら、あっちゃんの力で解除できひんのか?!」


「それができたら苦労しませんよ。お亡くなりになられた宮廷魔道師の舞鶴(マイヅル)ジャクソン様でも無理だったかもしれません。失語魔法(アフェイジア)を無効化するには、呪いを掛けた術者であるヘカテ本人に頼むしか……それは限りなく無理な話でしょうね……あるいは……」


「あるいは……何やねん!? 他に呪いを解く手立てはないんかいな……?!」


「あるとすれば、ネクロマンサー・ヘカテが死亡した時だけですね……」





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