シュナミティズム4
いつの間にかベッド周辺が、蛍の放つ淡い光……ルシフェリン反応のような蛍光に包まれてきた。それはアビシャグの回復魔法、シュナミティズムの始まりを告げるのだ。
「……あっ…………んんっ……!」
「だ、大丈夫か? あっちゃん! あんまし無理すんな」
目を閉じたままのアビシャグは呼吸が荒くなり、かなり没入しているようだ。
「だ、大丈夫です。この魔法は、かなり体にクルので……。最初の山さえ越えれば、後は……」
乱れるアビシャグにダケヤマは、思わず抱き締めたい衝動に駆られた。
「ダ、ダメですよ、ダケヤマさん! まだ、そんなに動いちゃダメです。魔法の回復効果が薄れます」
なるほど周囲の蛍光が、徐々にチェレンコフ光のような青白い光に変化を見せてきた。
「んっ……! ……や……ん……」
汗びっしょりで寄り添いながら、押し殺したような声を漏らすアビシャグ。
『い、いかん……。こんだけ喘ぐような声を耳元で聞かされたら……いくら何でもヤバすぎる』
ダケヤマは、早くも我慢する事ができなくなった。
「もうええわ! あっちゃん! もう俺の怪我はええから、楽にしてくれ」
「……ダ、ダケヤマさん!?」
「俺なんかのために、君がそこまで必死にならんでもええやん……そうやろ?」
「でも……これは私の……」
「ありがとう。ほんまに感謝してる。夜通しで、ずっとこうやって俺の怪我を癒してくれてたんやな……」
「ダケヤマさんは、命賭けで王国のために戦ってくれました。この位、何ともありません。それにこの回復魔法は勅命、つまりゼノビア王女から直々の依頼なのです」
「あのチビっ子お姫様からの?」
「そうです、良かったですね。シュナミティズムは、誰でも簡単に受けられる魔法じゃないんですよ」
「せやったら、あのお姫様に『もう完全に治りました。誠にありがとうございました』って言うといて。ほんまに、もう大丈夫やから」
眼鏡なしのアビシャグは、いつもと違う新鮮な印象だ。その両眼に、熱い何かが込み上げてくる。
「ダケヤマさん……ひょっとして私に気遣いを……やっぱり優しいのですね」
「そりゃそうやん。俺は女子には優しいから、結構モテモテやねんで」
「ふふっ……! そういう事にしておきましょう」
それからアビシャグは両手で顔を隠すと、モジモジしながら聞こえるか聞こえないかの小声で呟いた。
『イキナリじゃなくて、きちんと愛を育んでからなら……。私も覚悟できてたはずなのに……』
「ん? ……何やて?」
「何でもないです! 私には分からないのですが……男の人って、それほど女の人に触れてみたいものなんですかね?」
「う〜ん……大人の男なら清純過ぎるのも、また罪なんやで」
絡めてくる両手両足に、僅かな反応があった。体位を変えても、見事な形を保つ張りのある胸元に、ついつい目を奪われてしまう。
「じゃあ、ダケヤマさん、遠慮なさらず…………私を好きにしても……いいのですよ」




