薄氷のステージ4
「う~む、全然面白くも何ともない……」
「ひええっ!」
青騎士ルンバ・ラルの吐き捨てるような呟きに、冷や汗をかいたカヤタニは焦る焦る。
「同感だ。クスリともしませんな。現実世界のお笑い芸人とやらは、この程度の実力なのですかな?」
団長の失望感を強調するような冷めた台詞は、場の空気をエアコンの強設定並みに寒くする。
すかさずカヤタニが形勢逆転を狙うのか、空元気にクネクネ踊る。もはや、なりふり構っていられないのだ。
「つ、次ぃ! フォーメーション3いくで! このネタならば、異世界でも大丈夫なはず。……さあ皆さん、爆笑の渦に包まれましょう! コント、高齢化社会!」
カヤタニはダケヤマの背を引っぱたいて腰を曲げさせる。始まりは、彼のパートだ。
「……ワシらお笑い芸人にも、ついに高齢化の波が押し寄せてきたのう、カヤタニ婆さんや」
「そうさのう、ウチらもコンビを組んでもう50周年ですじゃ。ダケヤマ爺さんや」
「もう、そんなに! 時が経つのも早いものじゃ〜。そう言えば、総入れ歯」
「ところで~、あんた。さっきから一人でプルプルしながら、何をやっとるんじゃ?」
「おお、やる事もなくて暇なんでな、右の鼻の穴にある鼻クソを左側に移しとるんじゃ」
「きったね! 何を考えとるんじゃ、このボケ老人が! ドカッ!」
「ひええ~! 入れ歯が飛び出した! どこ行った~? 歯無しでは、話ができぬ~!」
「ふぐうっ……!」
笑い上戸のダイナゴンは、もう限界までこらえて涙目になり肩を震わせている。
なのに団長の無頼庵は、ため息をつきながら首を左右に振って肩をすくめた。
「駄目だ、本当につまらない。全く時間の無駄だ。観る価値もない」
ルンバ・ラルも腕を組んで渋い顔をした。
「この程度じゃ笑えない。我が国の道化師の方が、まだマシだ!」
騎士達の忖度なき言葉にダケヤマは、芸人のプライドがいたく傷つけられたのか、表情が一変した。
「い、いかん、ダケヤマ。堪えろ、キレたらアカン! キレたら……、もう私ら終わりやで」
カヤタニのヒヤヒヤ感丸出しの説得に、ダケヤマはニヤリと返した。
「お笑い芸人スカンピンの本領発揮は、こんなモンやないで。せやけど、真面目な正攻法のしゃべくりが全く通じひんのやったら、もう奥の手を出すしかないわ。俺をここまで追い詰めたのを、後悔させたる!」
「まっ、まさかお前! 変な事、考えとらへんやろな?! よせ! やめんか! マジでシャレにならへんで、ホンマに~!」
「う、うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお~ッ!!」




