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月立淳水の小説談義  作者: 月立淳水


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AIによる恋愛相談サイト

 先日ニュースになった、AIによる恋愛相談サイトについて。


 別にそのAIの仕組み云々を揶揄するつもりは全く無いんですけど、ニュースでの取り上げ方が、ね、「ついにAIが人間の心の問題にまで切り込んできた」みたいな文脈だったのがとても気になったのです。


 AI、人工知能、定義はさまざまです。ただ、単純な回答検索ではなく、何らかの高度なメカニズムで人間が行うのと同じように回答を導くもの、というように定義できそうです。


 さて、件のAI恋愛相談。仕組みは簡単。元々その会社はQ&Aサイトを運営していて、とてつもなく膨大なQとAがたまっています。さらに、最も良かったと思える回答を評価するシステムも持っています。となればあとは簡単です。語素解析でテーマとなっているキーワードを抽出し肯定的な文脈なのか否定的な文脈なのか、などなどなどの機械分析結果を作成し、同様にベストアンサー回答も機械分析しスコア化して、データベースに登録していきます。そして一番難しいのが、回答の『作文』。回答のストーリーを作成しそれに沿った接続詞と文を並べていくわけです。簡単に聞こえますが、ストーリー(プロット)を置くというのは、星新一賞に応募して一次選考を通過したAIにもできていない分野です(開発者がプロットを書いてAIがそれに沿って作文した)。おそらくこのシステムでは、かなりの量の雛形文章が定義されていて、そこに上手くキーワードをはめていく、そんなタイプの作文システムなんじゃないかと私は思いますが。


 このシステムのつくりだけを聞くと、どんな分野にでも応用できそうに見えてしまいますが、分かる人には分かる『問題点』が一つ潜んでいるのです。


 正解を見る前に考えてみましょう。このシステムの問題点は、どこに在るでしょう?


 チッチッチッ、ブブー。時間切れ。


 正解は、『正解を回答できない』という点です。


 えっ、できるじゃん、と思うかもしれません。

 でも、回答を作るシステムをよく見てみてください。どこにも『正しい解答を解析する』とは書いてありません。『ベストアンサーを解析する』と書いてあるんです。ベストアンサーが『正しい解答』であるかどうか、それは誰にも分かりません。私がその某Q&Aサイトで私の専門分野のQ&Aをざっくり見た感じでは、ベストアンサーに選ばれている回答が『正解』である率はせいぜい6割程度でした。4割は、全く勘違いの回答をしていて、それでも質問者が『よく分かりましたありがとうございます』とベストアンサーに指定しているんですよね。


 さあこれで、最初のニュースの文脈を私が気に入らない理由が見えてきましたね。

 「ついに人の心の問題に切り込んだ」……違うんです。このAIは、『正解のない質問にしか回答できない』んです。

 もっと言ってしまえば、『質問者が心地よいと感じる回答をするだけのAI』なんですね。


 恋愛は正解のないゲームである、みたいなことがよく言われますが、だからこそ、このAIのシステムに馴染むんですね。

 一方、たとえば家族がらみのトラブル相談なんかだと、多分馴染みません。家族に関する問題の多くに対しては、いろんな法律や判例が『正しい答え』を規定しちゃっているからです。もちろん「引きこもりの息子が部屋から出てきません」くらいなら良いんですけど、たとえば「二十年前に病死した曽祖父が隠し子をこしらえていたらしくその孫がその事実をたてに遺産を投じた共同事業を持ちかけてきていて困っている」……こんな質問、とりあえず弁護士に相談しろや、って言いたくなりますが、もしAIがうかつな回答をしてしまったら(運営会社的に)オオゴトになってしまいます。

 当然の話ですが、ちゃんと正解のある質問はもっと困ったことになります。「ペットボトル一本に含まれる水分子の数はおおよそいくつですか?」……いくつかの前提条件さえそろえればきちんと計算できますが、大体ベストアンサーに選ばれるのは、「宇宙の星の数より多いです」とか「1のあとにゼロが25個付くくらいです」なんていう分かりやすい比ゆ表現だったりします。実際、質問者もこんな回答を望んでいるんですが、それを『正解』としてAIが回答しちゃうのは、完全に誤りですよね。


 AIの中でもとくにこういうタイプ、『たくさんのA→Bの組み合わせから学習し任意のAに対する応答Bを導く』タイプのAIは俗にディープラーニングシステムなんて言われていますが、このように、『正解のない質問』にはめっぽう強い反面、厳密厳格な回答が求められる状況にはいまいち適応できないと言えそうです。東大入試に挑むAIのプロジェクトでも、数学や物理などはディープラーニングではなく専用のソルバー(解答演算機)を利用しているようです。


 何が言いたいかと言うと、とりあえずプロットに『正解のない』恋愛要素を取り込んどけば、キャラの不合理な行動だの性格設定ミスだのはあとでごまかしやすいよってことです。(←違う)



つづく?


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